なぜ? リベラルの星・池上彰が韓国特番でネトウヨ、嫌韓本そのままのヘイトデマ解説

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 しかも、池上のヘイトデマはこれだけで終わらなかった。続いて、憲法前文に書かれている「大韓民国臨時政府」に実体がないとして、それが「日本と戦ったという伝統に基づいて今の国ができている、という建国神話」だと攻撃し始めたのだ。

「問題はですね、『大韓民国臨時政府』が、本当に臨時政府だったのかどうか、ということ。これに関しては、多くの歴史学者が、疑問を投げかけているんですね。『大韓民国臨時政府』っていうのはあくまで自称。自分たちで言っただけという部分がある、ということなんですね」

 ここでナレーションがこう補足する。

「中国の上海で設立された『大韓民国臨時政府』。その活動資金は中国から提供されていました。しかし、朝鮮半島からは遠く離れ、統治する国民すら持たなかったため、アメリカをはじめ、連合国のどの国も、政府として認めていなかったのです」

 番組は、まるで「大韓民国臨時政府」が韓国とは無関係に上海で勝手につくられたもののように説明しているが、けっしてそうではない。先述した三・一運動で2カ月にわたって朝鮮半島各地でデモ、暴動が巻き起こったが、朝鮮総督府が武力で弾圧に乗り出し、多数の死者が出る事態となった。運動家も次々に摘発されていった。

 そのため、独立運動家が海外に逃亡し、世界各地で亡命政府をつくった。それが統合されたのが「大韓民国臨時政府」だった。資金も蒋介石と協力関係を結んでからは中国に提供されていたが、それまでは朝鮮半島各地からの寄付で運営されていた。また、この臨時政府の初代大統領は後の韓国の初代大統領・李承晩であり、後に李承晩がやったことの評価は別にして、両者の間には明らかに継続性がある。

 そういう意味では、「大韓民国臨時政府」は第二次世界大戦中、ドイツによるフランス占領に反対して、シャルル・ド・ゴール元大統領ら亡命フランス人がイギリスで作った亡命政府「自由フランス」「フランス共和国臨時政府」とほとんど変わりはない。

 池上氏は連合国に認められなかったというが、正式な政府として認められるかどうかは国際情勢にもよる。実際、政府として認められなかった抵抗組織が第二次大戦後、独立の中心となって政府を樹立したケースはいくつもあるし、先述の自由フランス、フランス共和国臨時政府にしても、アメリカとの対立で終戦の少し前まで正式な政府として認められなかった。

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