安易な生活保護バッシングに走る前にこのマンガを読め! 福祉事務所職員が直面する現実

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
seikatsuhogo_150521.jpg
『健康で文化的な最低限度の生活』(柏木ハルコ/小学館)

 住民投票で否決された「大阪都構想」。ここでまたぞろ湧いて出てきたのが“生活保護バッシング”だ。

 本サイトは先日、今回の住民投票の背景にあったのは弱者デモクラシー=格差対決ではないかと分析したが、しかし、反対票が過半数を獲得した地域の生活保護受給率が比較的高いとされることを根拠として、ネット上では受給者に対するこんな暴言が飛び交っているのである。

「生活保護の選挙権を剥奪するしかない」
「自分のことしか考えていない者に投票権を与えること自体が間違っている」
「あらゆる権利を取り上げろ。こいつらに人権なんぞない」

 念のため言っておくが、生活保護制度は憲法で保障された生存権に由来するものであって、個人が生活保護を受けていること自体をバッシングするのはありえない。よしんば「不正受給」にのみ批判の的を絞っているのだとしても、実はその「不正受給」の内容は大きな誤解に晒されているのだ。

 そのことについて教えてくれるマンガがいま、話題を集めている。『健康で文化的な最低限度の生活』(柏木ハルコ/小学館、現在2巻まで刊行中)だ。本作は、生活保護のケースワーカーとして配属された新人公務員「義経えみる」の活躍をメインに描いている。「生活保護のケースワーカー」という知られざる職業を取り上げたお仕事マンガとしても十分に楽しめる作品だ。

 作者の柏木は本作の連載を始めるにあたり、約2年間の取材を行ったことをウェブサイト「まんがStyle」のインタビューのなかで明かしていている。

 確かに、作品中の一コマ一コマには生々しい現実感が漂う。

 例えば、声だ。えみる達が働く福祉事務所には、様々な声が溢れている。生活保護受給者の声はもちろん、それに対応する職員の声。そして電話からは不正受給を告発する怒声……。

 さらに第1話では、生活保護受給者の1人が自殺したことを告げられて呆然と立ち尽くすえみるに向かって、ある同僚がこうささやく。

「どうしようもなかったよこの場合……て言うか、
 正直
 この仕事しているとたまにあるからこういうこと……」
「まっ
 ここだけの話、一ケース減って良かったじゃん」

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

健康で文化的な最低限度の生活 1 (ビッグコミックス)

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

安易な生活保護バッシングに走る前にこのマンガを読め! 福祉事務所職員が直面する現実のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。森高 翔生活保護貧困の記事ならリテラへ。

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄