都構想の否決を「シルバーデモクラシー」と批判する人の正体

「情弱の高齢者が都構想をツブした」というデマをふりまく知識人達よ、情弱はお前らだ!

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都構想の否決を老人のせいにする新自由主義者たち(左「堀江貴文サロン」オフィシャルページ/右「小泉進次郎 Official Site」より)


 反対が賛成を上回った「大阪都構想」の住民投票の結果について「これはシルバーデモクラシーだ!」という批判の声が広がっている。またの呼び名を「老害投票」とか言うらしい。

 たしかに各社の出口調査では、70歳以上の投票者だけが「反対」に大きく振れていた。本サイトで既報のとおり、テレビキャスターの辛坊治郎氏が、この数字をもとに「将来の大阪を決めるという意味においては、今後何十年も住んでいく賛成の人たちは圧勝しているんだけども」などと主張し、生活保護者や老人を貶める下劣な負け惜しみを口にしていたが、しかし、なにもこのデータに飛びついたのは“橋下シンパ”の彼だけではない。他にも都構想賛成派や評論家が一斉に「結果は少子高齢化による世代間格差のあらわれ」なる論をもっともらしくぶち上げているのだ。

 たとえばツイッター上では、経済評論家の池田信夫氏が「これが日本の諸悪の根源。老人の老人による老人のための政治」といちゃもんをつけ、また、ブロガーのちきりん氏は「今日負けたのは、橋下さんじゃなくて、日本の若者だよね」「票の価値を平均余命とリンクさせるべきだよね」とあからさまに世代間の分断を煽るツイートを投稿。

 ホリエモンも自分の衆院選に出馬した際のことを示唆しながら「なんだかもっと大阪都構想本気で応援してりゃよかった」とつぶやいたし、KADOKAWA・DWANGO取締役の夏野剛氏も、「結果的にはシルバーデモクラシーだと思うが」と投稿。そして「敗因は生活保護受給者や貧困層を見捨てたことにある」とフォロワーにつっこまれると、「橋下さんっていう何と正しい感覚の持ち主なんだ!」と橋下擁護のリアクションをしている。

 若手論客の宇野常寛氏にいたっては「今に始まったことではないけど、選挙とは情弱高齢者をいかに騙すかで決まるゲームになってしまってるのだな、と改めて痛感した次第です。はい」と、“老人=情報に疎いバカ=反対派”とまで言い切っている。

 さらに政治家の小泉進次郎氏はトークイベントで「よく、シルバー民主主義って言われることもある。高齢者の意向に左右されているような日本の構造、そのことの象徴的なものだったのかも」と発言しており、あたかも今回の住民投票が“世代間格差”を浮き彫りにしたという分析が定説みたいになっているのだ。

 だが、普通に考えてみれば、これらの言説は論理的に破綻していることがわかるはずだ。彼らの論拠は出口調査の賛成票と反対票の“年代別のパーセンテージ”なのだが、ここではそもそも母数、つまり“年代別人口”に対する勘案がまったくない。

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