ドローン男の不当起訴は官邸の報復だ!「デモ以上テロ未満」を擁護せよ!

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 だが、一方で、Yは加藤死刑囚のように実際に無差別殺戮を起こしたわけではない。ドローンという最先端のテクノロジーを使い、誰も傷つけることなく、自民党政権=官邸が生み出した福島の汚染土を官邸に返してみせた。それはある意味、とても見事な政治的パフォーマンスだったといっていい。

 しかも、彼がこの方法をとったのはたまたまではなかった。退職後の14年7月18日のエントリーで、Yはこう書いている。

〈3.11後は盛り上がってた・・・それでも大飯は再稼動した/デモは各地で続いてる・・・らしい・・・マスコミも取り上げなくなった/デモで再稼動は止まらない・・・暴動にもならない/再稼動まで時間ないからデモは一旦パス・・・/再稼動に反対する活動ではなく再稼動を止める活動をしなくては・・・〉
〈破壊活動とテロの区別・・・難しいな・・・/今は何でもかんでもテロ扱いだから・・・/殺傷せずに何かを破壊・・・デモ以上テロ未満・・・/いや・・・再稼動を止めるためにはテロをも辞さない/再稼動すれば加害者・・・なら再稼動を止めて加害者のほうがいい/具体的に何をするか・・・何ができるか・・・〉(エントリー・「ゲリラ戦」より)

 そう、彼はデモというやり方に限界を感じながら、しかし、テロにはならない方法を模索していた。「デモ以上テロ未満」のパフォーマンスを狙っていたのだ。その結果がドローンによる官邸への“汚染土返却”だったのである。

 その意味で、Yの行為は加藤死刑囚の無差別殺戮とはまったくちがう、むしろ1960年代に前衛芸術家たちが行っていた反社会的パフォーマンスと通じる部分もある。ハイレッドセンターの赤瀬川原平が千円札を模写して起訴された千円札事件や、秋山祐徳太子、ゼロ次元が反万博の活動として全裸パフォーマンスを行い、逮捕された事件……。いや、ある種の狂気を孕んでいるという意味では、天皇参賀で昭和天皇に向かってパチンコ玉を放った奥崎謙三のほうが近いというべきか。

 だが、いずれにしても、Yと彼らの決定的なちがいは、それを取り巻く世間の反応だ。当局に逮捕されながらも、同世代の若者からリスペクトを集め、メディアでも称賛された60年代の前衛芸術家とは異なり、あるいは、その狂気が一部の熱狂的な支持を集め、反天皇制と戦争責任追及のイコンともなった奥崎とはちがい、Yの行動は反原発の論議を呼び起こすこともなく、ただただ「アブナイ男のはた迷惑な犯行」として処理されようとしている。

 それは、たんに、パフォーマンスのクオリティや方法の問題でなく、「お上にたてつかない」「目立たずに同調する」ことこそが求められるようになった日本社会の変化が大きく関係しているはずだ。

 Yはブログで「官邸も守れない、汚染土も管理できない国が原発を・・・てのは多分マスコミが言ってくれるか・・・」と書いているが、そんなことを大々的に語るメディアは、今のところ皆無だ。

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