高村光太郎夫人が描いた男性の股間から河西智美の手ブラまで…ヌードと国家の関係

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
nude_150322.jpg
『ヌードと愛国』(講談社現代新書)

 前田敦子、小嶋陽菜、大島優子――AKB48メンバーが手で胸を覆った「手ブラショット」を写真集などで披露するたび、ネットでは新たなNAVERまとめが誕生する。手ブラに代表されるセミヌード、陰毛解禁のヘアヌード、そして最後に行きつくのはそう、一糸まとわぬフルヌード。アイドルが「どこまで脱ぐか」は、これまで国民の一大関心事であり続けてきた。

 ただし、男性週刊誌に毎週グラビア写真が躍るこのご時世。「ちょっと脱いでみました」程度の写真ではもはや、さしたる驚きや感動は呼ばない。ヌード写真が特に世間の注目を集めるのは、何らかの事件性を兼ね備えた場合だ。近年ではAKB・河西智美の「手ブラ事件」が記憶に新しい。これは2013年、発売予定だった河西の写真集で外国人の少年が後ろから彼女に抱きつき胸を覆った表紙写真が問題となり、警視庁が版元である講談社に事情聴取をおこなうまでの事態に発展したものだ。

 しかし、である。これが単に河西自身による「手ブラ」だったら、あるいは河西の胸を押さえるのが少年ではなかったら、この一件はここまで問題となっていただろうか。騒動では「異国」の「子ども」が異性の性器に接触していることが児童ポルノ法に抵触するか否かが争点となった。ここからもわかるように、ヌードが問題になるのは何らかの社会的な条件が揃ったときだ。「服を着ていない」というだけでは一見どれも同じであるかのように思えるヌード写真には、それ以上の「意味」があるのだ。

〈ヌードは、裸体だが、『はだか』ではない。必ず意味が着せかけられている。(略)長い日本近現代史の中には、あらゆる文化ジャンルを横断しつつ、綿々と作り続けられてきた、「『日本』をまとったヌード」という系譜が、確実に存在している〉

 ――池川玲子『ヌードと愛国』(講談社現代新書)はそのものズバリの宣言から始まり、1900年代から1970年代のあいだに描かれ撮られた7体のヌードを取り上げ、ミステリー仕立てで分析してみせた一冊だ。美術作品といえど、国家と無関係ではいられない。国家への愛情や忠誠心としての「愛国」が要請される時代情勢、さらにはそうした情勢が当時の美術体制や個人にどのような影響を与えていたかに着目しながら推理が進んでゆく。

 新書という形を取ってはいるが、研究書顔負けのボリューム(約270ページ!)に圧巻される。それもそのはず、著者である池川は日本近現代女性史を専門とする研究者。「エッチな絵や写真がたくさん見られそう」程度の軽い気持ちで手を伸ばすと、反撃をくらった気分になるだろう。真面目な関心はあっても「読むのがしんどい」という方に向けて、その中身をご紹介したい。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

高村光太郎夫人が描いた男性の股間から河西智美の手ブラまで…ヌードと国家の関係のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。AKB48写真松岡瑛理河西智美高村光太郎の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 部落差別問題で長谷川豊と維新が露呈したトンデモぶり
2 安倍首相が新天皇に内奏の夜、「ドアまで送ってくれた」と自慢
3 安倍が拉致問題国民大集会を「公務」理由に中座、自宅へ!
4 『朝生』で百田尚樹が徹底論破され大恥
5 葵つかさが「松潤とは終わった」と
6 丸山穂高「戦争」発言で長谷川豊、百田尚樹がマスコミを批判
7 見城徹社長が騒動渦中、首相公邸で安倍首相と会食!?
8 長谷川豊が「プロ、犯罪の」と部落差別発言
9 安倍首相がTOKIOに続き大泉洋、高畑充希と会食PR
10 秋篠宮家の料理番がブラック告発
11 新天皇の即位パレードが自民党本部前を通るルートに
12 稲田朋美が「週刊新潮」に全面敗訴!
13 フジ『バイキング』で金美齢が部落差別
14 韓国K-POPスキャンダルをめぐるヘイトとご都合主義
15 幻冬舎・見城徹社長に寄せられた作家の批判総まくり!
16 つんく♂が秋元のメンバー差別に
17 読売が出会い系通い記事批判に失笑反論
18 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
19 百田尚樹vs古市憲寿、ウソついたのは
20 百田尚樹『日本国紀』批判で出版中止の津原泰水に直撃
1国民健康保険料が大幅値上げ、年間10万円増額も
2安倍首相と省庁幹部の面談記録ゼロ!安倍政権“公文書破壊”の実態
3石野卓球がワイドショーに勝利した理由
4忖度道路めぐり安倍の直接指示の新事実が
5安倍首相が「桜を見る会」に『虎ノ門ニュース』一行を堂々招待
6安倍が“忖度道路”の要望書を提出、山陰自動車道でも利益誘導
7上野千鶴子「東大祝辞」へのワイドショーコメントが酷い!
8 塚田「忖度」発言は事実! 麻生利益誘導の疑惑
9イチローに国民栄誉賞を断られ安倍政権が赤っ恥
10野党議員をデマ攻撃「政治知新」の兄・自民党県議を直撃!
11NHKで国谷裕子を降板に追い込んだ人物が専務理事に復帰
12維新勝利で橋下徹が「反対した年配の人が死んじゃった」
13中村文則が安倍政権批判に踏み込む理由
14 『あさイチ』の「中高生に韓国が人気」企画炎上の異常
15 安倍首相「桜を見る会」招待状が8万円で売買との報道!
16菅官房長官「令和おじさん」人気の正体!
17ゴーン逮捕“国策捜査説”を裏付ける経産省メール
18「あつまれ!げんしりょくむら」以外も…原子力ムラの醜悪SNS戦略
19衆院補選で安倍自民党が大惨敗の予想が!
20 ピエール瀧出演の『麻雀放浪記2020』に“安倍政権への皮肉”

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄