東京大空襲の語られない事実…住民に逃げるなと命令、米の空襲司令官に日本が勲章授与

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
kushu_150318.jpg
『東京大空襲~昭和20年3月10日の記録~』(岩波書店)

 東京大空襲から70年ということで、先週は多くの報道を目にした。しかし、「10万人が一夜にして亡くなった」「民間人への無差別爆撃」といった悲劇が強調される一方で、あまり知られていない意外な事実もある。

 昭和17年4月18日の初空襲以来、東京区部では死者が出ているだけで56回もの空襲があった。しかし、クローズアップされるのはやはり、終戦の年である昭和20年3月10日、約10万人の死者を出した「下町大空襲」だろう。実際、後にも先にもこれだけの犠牲者を出した空襲はない。

 だが、下町大空襲は爆弾投下量などにおいて必ずしも最大規模の空爆ではなかった。それ以降にも、さらなる規模の空襲が行われていたことが、戦後のアメリカ側の資料などから明らかになっている。

 昭和20年3月10日の下町大空襲では279機のB29が来襲、1665トンの焼夷弾が現在の台東区、墨田区、江東区などを中心に投下されたという。

 だが、その約1ヶ月後の4月13日に行われた「城南大空襲」は、520機のB29で3646トンの焼夷弾が投下されるという、ほぼ倍近い規模の空襲であった。

 また、5月25日、26日の「山の手大空襲」でも、464機、3258トンという記録が残っており、この4、5月の空襲によって、東京の区部はほぼ焼け野原になった。

 にもかかわらず、これらの空襲の死者は合わせても約7300人。東京大空襲全体の犠牲者の実に9割以上は、下町大空襲に集中しているのである。

 空襲の規模に比例しない被害者の実数。これはいったいどういうことなのか。一般的には3月10日が冬型の気圧配置で強風が吹いて大火災になったことや、木造家屋の密集した下町地区、しかも川が多く避難が難しかったといった地理的な状況が被害の拡大を招いたと言われている。

 しかし、東京大空襲の記録運動の第一人者である作家・早乙女勝元氏は、『東京大空襲~昭和20年3月10日の記録~』(岩波書店)の中で、その原因として当時の警視庁の防空体制を指摘しているのだ。

〈3月10日までは、バケツリレーに火たたきなどで「備えあれば憂いなし」と息まいていたものが、その「備え」の非現実性があきらかにされ、なまじわが家を守ろうとぐずぐずしていると、かえって、そのために大量の死者を出すことになると反省したのだろう。警視庁は「防空体制」の方針をきりかえた〉

 “火たたき”とは、長い竹竿の先に縄の束を取り付けただけの道具。当時は火元をそれで叩いて火を消せば大丈夫、という何とも呑気な消火方法が指導されていた。もちろん、そんなものでは焼夷弾のナパーム剤を鎮火させることなどできない。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

東京大空襲 昭和20年3月10日の記録

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

東京大空襲の語られない事実…住民に逃げるなと命令、米の空襲司令官に日本が勲章授与のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。マスメディア市井伊織東京大空襲警察防災の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 検察が河井陣営への“安倍マネー1億5千万円”で自民党本部関係者を聴取
2 恩知らずはメリー! 飯島マネの功績
3 テラハ木村花さんの死を政権批判封じに利用する政治家と安倍応援団
4 つるの剛士「安倍首相にお疲れ様を言いませんか?」の的外れ擁護
5 検察庁法案改正賛成でわかった維新と吉村洋文知事の正体!
6 橋下が「人格障害」名誉毀損裁判で敗訴
7 新国立競技場はザハ案のパクリだった!
8 木村花さんの死の責任はSNS 以前にフジ『テラスハウス』にある!
9 安倍首相が「日本のコロナ対策が世界をリード」と自慢するトンデモ!
10 宮台真司「ネトウヨは感情の劣化」
11 安倍首相「黒川検事長の“訓告”は検事総長の判断」はやはり嘘だった
12 葵つかさが「松潤とは終わった」と
13 河井克行前法相は東京の“緊急事態宣言解除”の直後に「逮捕許諾請求」
14 田崎史郎が河井案里問題で“安倍首相は無関係”を主張も自滅
15 未成年飲酒疑惑の手越が日テレW杯番組に
16 松本人志が「黒川検事長は新聞記者にハメられた」と陰謀論で擁護!
17 石原都知事時代の贅沢三昧は舛添以上
18 内閣支持率「27%」だけじゃない、安倍政権の危機を表すデータ
19 自民党がネトサポに他党叩きを指南
20 官邸が黒川検事長の“賭け麻雀”を悪用、稲田検事総長に「辞職」圧力
1官邸が黒川検事長の“賭け麻雀”を悪用、稲田検事総長に「辞職」圧力
2検察庁法案改正賛成でわかった維新と吉村洋文知事の正体!
3窮地の安倍首相が櫻井よしこの「言論テレビ」に逃げ込み嘘八百!
4松本人志が「黒川検事長は新聞記者にハメられた」と陰謀論で擁護!
5安倍首相が「日本のコロナ対策が世界をリード」と自慢するトンデモ!
6検察庁法改正で松尾元検事総長が安倍首相を「中世の亡霊」と批判!
7安倍首相「黒川検事長の“訓告”は検事総長の判断」はやはり嘘だった
8 つるの剛士「安倍首相にお疲れ様を言いませんか?」の的外れ擁護
9黒川検事長と賭け麻雀、産経記者が書いていた黒川定年延長の擁護記事
10検察OB意見書にあったロックの言葉を訳した安倍の大学時代の教授が
11内閣支持率「27%」だけじゃない、安倍政権の危機を表すデータ
12河井克行前法相は東京の“緊急事態宣言解除”の直後に「逮捕許諾請求」
13田崎史郎が“黒川検事長と賭けマージャン”を正当化!
14テラハ木村花さんの死を政権批判封じに利用する政治家と安倍応援団
15検察が河井陣営への“安倍マネー1億5千万円”で自民党本部関係者を聴取
16 百田尚樹と対照的! 橋本愛が「文化・芸術は死んだ心を生き返らせる」
17検察庁法改正でダダ漏れ指原莉乃の政権批判を封じたい本音
18木村花さんの死の責任はSNS 以前にフジ『テラスハウス』にある!
19岡村隆史問題で松本人志の逃げ方、古市憲寿のスリカエがひどい
20箕輪のセクハラを告発した女性が暴露したエイベックス松浦の疑惑
マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄