本当にイスラム国をISILと呼ぶ必要があるのか!? 呼称問題を考える

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
abe_01_150206.jpg
1月20日の内外記者会見(首相官邸HP「政府インターネットTV」より)


「マスコミはいい加減、イスラム国と呼ぶのをやめろ」「イスラム国じゃなくてISILだろうが」

 いま、ネット上では過激派集団「イスラム国」の呼称問題が大きな議論を呼んでいる。イスラム国という呼称を使うことで、実際にイスラム国という国が存在するように誤解を招きかねない、というのがおもな指摘だ。自民党も先月1月26日に、アメリカに倣って「ISIL」と表記することに決定し、安倍晋三首相も30日の国会で「まるで国として国際社会から認められ、イスラムの代表であるかのような印象を与える。イスラムの人にとって、きわめて不快な話になっている」と、「ISIL」使用の理由を述べている。

 ISILとは「Islamic State in Iraq and the Levant」の略で、訳すと「イラクとレバントのイスラム国」となる。CNNの報道によれば、アメリカ政府がこの略称を使用する理由は「組織がイラクやシリア以外の国への拡大を視野に入れているとみられること」と「米政府はカリフ制イスラム国家を設立するという組織の計画を認めない立場を取っている」からだという。

 ちなみにそのCNNは「ISIS」を使用しているが、こちらは「Islamic State of Iraq and Syria」(イラクとシリアのイスラム国)の略。ISILにせよISISにせよ、あるいはISにせよ、どのみちIslamic State=イスラム国と入っていることになる。

 で、日本のマスコミはどうかというと、NHKにしても民放にしても、テレビでは「イスラム国」を使用。新聞も、政権にべったりの産経新聞も読売新聞も「イスラム国」で通している(2月5日現在)。こうした状況に苛立ち、ネット上では「日本政府に倣ってイスラム国の使用をやめろ!」という声が高まっているのだ。

 とはいえ、安倍首相が「ISIL」と言い出した理由は、結局アメリカに忠犬っぷりを示しただけだ。これまで本サイトで何度も報じてきたように、安倍首相は人質にとられた湯川遥菜さん、後藤健二さん救出に動かなかったばかりか、命の危険に晒すような暴挙にさえ出ていた。これは“見殺しにした”と言っても決して過言ではない問題である。必死にアメリカのご機嫌伺いをし、くわえて人質にとられている湯川さん、後藤さんのことよりも総選挙への影響を心配し、後藤さんが拘束された事実を洩らさないよう後藤さんの妻にまで口封じを行う……。一国の首相のこのような身勝手で非道な行為を、許すわけにはいかない。そのため本サイトでは、たびたび読者から批判を受けながらも、政府に倣うかたちでの「ISIL」を使用することは避けてきた。

 もちろん、本サイトが「ISIL」でも「ISIS」でも「IS」でもなく、「イスラム国」を使いつづけてきた理由はこれだけではない。もっとも大きな理由は、これまで伝えられ、周知されるようになった「イスラム国」の残忍なテロ集団という印象が、聞き慣れないアルファベットに置き換えることで薄れてしまうのを懸念したからだ。さらにいえば、読者のなかには当然、「イスラム国」という表記から「ISIL」「ISIS」「IS」などと変更されれば混乱をきたす者もいる。新聞・テレビがいまも「イスラム国」を使用しつづけるのも、きっと同じ理由からだろう。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

イスラーム文化 その根柢にあるもの

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

本当にイスラム国をISILと呼ぶ必要があるのか!? 呼称問題を考えるのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。イスラム国人質事件テロ安倍晋三編集子の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
いいね! 数
1 自民党大物職員の改憲PRソングが酷い
2 百田尚樹『日本国紀』に“Yahoo!知恵袋コピペ疑惑”
3 直木賞受賞『宝島』が突きつけた「沖縄問題」の本質
4 高須・橋下・ネトウヨのハンスト叩きを元山氏・村本が論破
5 三浦大知が歌う歌は天皇皇后の沖縄への想い
6 櫻井よしこは嘘つきだ!小林節が告発
7 ゆずの愛国心煽動ソングはここが悪質!
8 マツコ「安倍首相は馬鹿」にネトウヨが
9 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(後編)
10 和田政宗も絶賛「HINOMARU」とW杯
11 “バンクシー”のネズミはOKで安倍首相の顔写真にヒゲはNG?
12 稀勢の里「ナショナリズムのアイコン」の相撲人生
13 DA PUMPがEXILEに挑戦状
14 元旦朝生のウーマン村本は間違ってない
15 沖縄県民投票“不参加”指南の背後に安倍官邸の存在か!
16 三浦瑠麗が松本人志の悪質セクハラ発言を「問題ない」と擁護
17 百田尚樹の「改憲PR映画」がトンデモ!
18 つんく♂が秋元のメンバー差別に
19 柳瀬秘書官、安倍、加計が一緒にゴルフ
20 国連も「組み体操」の危険性を指摘!
1追悼!市原悦子が生前語った安倍政権への怒り、反戦の思い
2所ジョージが沖縄米軍基地反対ソング! 
3竹田恒泰が父の五輪汚職捜査に「フランスは皇室がないからひがんでる」
4ウーマン村本、ローラ…権力批判芸能人を排除する醜悪メディア
5安倍首相の“サンゴ移植した”嘘を追及しない本土メディア
6早野龍五・被曝論文に重大誤り!お墨付き与えた糸井重里の責任
7産経と菅官房長官が「辺野古赤土投入問題」追及の望月記者を攻撃
8 仏司法当局が東京五輪誘致汚職で竹田恒和JOC会長の捜査開始!
9日露外相会談の大失態を必死で隠す安倍政権
10沖縄県民投票“不参加”指南の背後に安倍官邸の存在か!
11 ゴーン前会長出廷で露呈した特捜部の無理スジ国策捜査
12外務省が日米地位協定のウソ説明をコッソリ修正
13安倍政権の反韓煽動が酷い!「韓国へ渡航禁止」まで主張
14三浦瑠麗が松本人志の悪質セクハラ発言を「問題ない」と擁護
15三浦大知が歌う歌は天皇皇后の沖縄への想い
16直木賞受賞『宝島』が突きつけた「沖縄問題」の本質
17“バンクシー”のネズミはOKで安倍首相の顔写真にヒゲはNG?
18松本人志が指原莉乃に悪質セクハラ差別発言! 
19自民党大物職員の改憲PRソングが酷い
20百田尚樹『日本国紀』に“Yahoo!知恵袋コピペ疑惑”

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄