役者が血尿、電車に飛び込みそうに…本谷有希子の劇団でのキチクぶりがスゴい!

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 しかも、情緒不安定な人に「しんどくて電車に飛び込みそうになりました」と言われたエピソードも公開。戌井が「まあ、本当に死なれちゃうと嫌だけど」とフォローしても、こう返すのだ。
 
「でもさ、どっかで何とも思わない自分もいない?」

 こうしたシビアさは公演中にも発揮されるようで、毎回客席の後ろで観ている本谷。本番中にも楽屋に乗り込んで「何であんな女優演技すんだ! 何してくれんだ!」とダメ出し。常連の役者から「役者が混乱するから」「本番中に本谷のこと、考えたくない」と楽屋への出入り禁止を言い渡されたこともあるという。それで、しようがなくノートを付けながら観ていたら、役者の演技が嫌で自分でも気づかないうちに6頁にわたって「嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ止めろ」とびっしり書き殴っていたこともあるらしい。

 とにかく自分の作品世界を守ることが最優先で、役者はそのためのモノ扱いという感じだが、本谷自身「最初、役者を人として見てないんだよね。演出家って嫌な人多いのかも(笑)」とそのことを認めている。

 やはり、どこかに人を人とも思わないような狂気がなければ、表現者として新しいものをつくれないということなのだろう。実際、本谷にかぎらず、劇作家にはこういうタイプは多く、戌井も劇団を始めた頃に「俺がやりたい事をやるから、君たち、演技とか考えないでね」とまで言っていた事を明かしている。

 ところで、そんな本谷も最近は「感謝が分かってきた」らしく、今の自分と怖かった頃の自分が「自分の中でつながらない」という。そして、「でも、演出家としては、人のことを一切考えなかった頃、好き勝手わがまま言ってまわりを振り回していた時の方が、よかったかもしれないと思うこともある」と感想を語る本谷。

「演出家たるもの、役者やスタッフに『殺してやりたい!』って思われるくらい横暴じゃないとね、って思うことはあります」

 いや、編集者に聞くと、本谷さん、小説家としては「かなりメンドくさい」という評判もあるので、まだまだ大丈夫だと思うのだが……。
(島原らん)

最終更新:2017.12.09 05:13

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