年末特別企画 リテラの2014年振り返り

百田尚樹、佐野眞一、猪瀬直樹……2014ノンフィクション作家の事件簿

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
nonfiction_141230.jpg
左『さようならと言ってなかった わが愛 わが罪』(マガジンハウス) 中『殉愛』(幻冬舎) 右『ノンフィクションは死なない』(イースト・プレス)


 ノンフィクションの時代は終わったといわれて久しい。たしかに立花隆や沢木耕太郎といったスターがジャンルを引っ張っていた時代は遠く彼方。「月刊現代」(講談社)や「論座」(朝日新聞社出版局)など、総合月刊誌の休刊、そして週刊誌の売れ行き低迷とともに、数少ないノンフィクション作家も開店休業状態に陥っている状況だ。

 ところが、この1~2年、終わったはずのノンフィクションがらみの話題がやけに多くなっている。「ノンフィクション」と銘打たれたベストセラーもいくつか登場した。果たして、ノンフィクションの復活はあるのか。あるいはやっぱり死んでいるのか。年の瀬特別企画として2014年ノンフィクション事件簿をまとめてみた。


第1位 捏造発覚も出版タブーに守られた百田尚樹、終息宣言で逃げ切り?

 やはり第1位は百田尚樹センセイの『殉愛』(幻冬舎)騒動、これをおいてないだろう。リテラでも何度も指摘されていることだが、その手法はノンフィクションとしてはありえないものだった。
 さくら夫人の結婚歴を書かなかっただけでなく、独身エピソードを捏造し、一方的にたかじんの娘やKマネージャーの誹謗中傷を書き、夫人がたかじんの遺書にあった寄付先に寄付放棄を要求する交渉の場にまで同席……。これではノンフィクションどころか、遺産争いでさくら夫人を有利に導くための謀略本といわれてもしようがない。
 ところが、このセンセイにそんな説教は通用しない。逆に週刊誌やネットを「ウソだらけ」と攻撃し、自分たちは被害者を気取る始末だ。
 まあ、『SMAP×SMAP』(フジテレビ系)に出演した際、「わたしも、ノンフィクション書くとき、平気でいっぱいウソ入れてます。ほんまにそのまま書いたら、おもろない」とうそぶいたご仁である。きっと「この程度のツクリで何をごちゃごちゃぬかしとるんや」という感覚なのだろう。

 だが、問題なのは、その百田センセイを止められない出版社とノンフィクション業界だ。出版社系週刊誌は批判どころか百田の求めに応じて擁護記事を掲載し、大御所ノンフィクション作家たちもなんら百田を諌めることなく沈黙を守っている。
 これはようするに、ノンフィクションやジャーナリズムももはや倫理もくそったれもない「売れれば勝ち」な世界になってしまったことを意味している。
  実際、百田センセイは「売る」ことに並々ならぬ執着をもっているらしく、新刊が出ると出版社の編集者数人を引き連れ、全国の書店を回ったり、書店に直接電話をすることもあるらしい。
 しかし、売ることに熱心な作家は、本が売れない出版社にとってはとても貴重な存在なわけで、おそらくこれから先も出版社は百田に原稿を書かせ、その本を出版し続けるはずだ。しかも、百田センセイはここにきてツイッターで〈考えるところがあって、『殉愛』に関連したことは、このツイートを最後に、当分の間つぶやきません。〉と一方的に『殉愛』騒動終息宣言を発した。ノンフィクションの世界を荒らすだけ荒らしての逃げ切り。厚顔無恥ぶり恐るべし、というしかない。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

ノンフィクションの「巨人」佐野眞一が殺したジャーナリズム 大手出版社が沈黙しつづける盗用・剽窃問題の真相 (宝島NonfictionBooks)

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

百田尚樹、佐野眞一、猪瀬直樹……2014ノンフィクション作家の事件簿のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。ノンフィクション出版業界振り返り本間究の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 大坂なおみを賞賛し黒人差別に抗議した自民党議員がツイートを削除し謝罪
2 安倍政権が消費者庁のジャパンライフ立入検査ツブシ、内部文書が
3 自民党のネット誹謗中傷対策メンバーの平井卓也が女性蔑視書き込み
4 ジャパンライフ山口会長逮捕 焦点は消費者庁の立入検査中止問題だ
5 デジタル担当相・平井卓也は電通と組んでネット情報操作を始めた張本人
6 三原じゅん子が「政権を握っているのは総理大臣だけ」と無知発言
7 三原じゅん子の演説がカルトすぎる!
8 ジャパンライフの広告塔に田崎とNHK島田も
9 安倍晋太郎が山口会長に「金儲けの秘訣を教えて」と懇願した夜
10 菅政権で「公費不倫」の和泉洋人首相補佐官が“再任、官邸官僚のトップに
11 倒産したジャパンライフと安倍側近
12 香港の国家安全法制報道で安倍応援団の「デマ認定」フェイクに本田圭佑が
13 小籔だけじゃない、おかずクラブや尼神インターも政府PR
14 区立中学の性教育に自民党が圧力!
15 大新聞が光通信の名前を伏せ字に
16 警視庁捜査、ジャパンライフと安倍政権
17 『バイキング』坂上忍パワハラ報道は政権批判潰しだった!
18 「桜を見る会」ジャパンライフ招待問題にマスコミが消極的な理由
19 菅政権の官房長官に決定 加藤勝信厚労相がコロナ対応で見せた無能
20 東芝崩壊と“影の総理”今井首相秘書官
1菅政権で「公費不倫」の和泉洋人首相補佐官が“再任、官邸官僚のトップに
2菅官房長官がテレビでもポンコツ露呈!『報ステ』では徳永有美に陰険クレーム
3 菅官房長官のトークのポンコツぶりが話題に!
4安倍首相は本当に病気だったのか? 辞任表明以降一度も病院に行かず
5つるの剛士が畑泥棒を「近くの工場で働いてる外国人」「あそこ怪しすぎる」
6デジタル担当相・平井卓也は電通と組んでネット情報操作を始めた張本人
7安倍首相が昨晩、フルコースを完食しワイン、ゴルフの約束まで! 
8菅政権の官房長官に決定 加藤勝信厚労相がコロナ対応で見せた無能
9菅義偉“総理”誕生で権力のために不正を働く「忖度官僚」だらけに
10総裁選で自民党がまた新聞社に圧力文書!
11大坂なおみの黒人差別抗議マスクに冷ややかなマスコミとスポンサー
12台風を理由にテレビ討論欠席も菅官房長官は“災害対応おざなり”の常習犯!
13小泉今日子が怒りの反論「共産党から出馬」ガセ情報は内調の仕掛けか
14大坂なおみを賞賛し黒人差別に抗議した自民党議員がツイートを削除し謝罪
15ジャパンライフ山口会長逮捕 焦点は消費者庁の立入検査中止問題だ
16菅内閣が「第三次安倍政権」化! 6月の時点で密約説
17『スシローと不愉快な仲間たち』11 「ほんこんおもんない」が証明したもの
18日産への政府保証1300億円は「半沢直樹」のモデル日本航空の倍!
19三浦瑠麗が特別講師「N高政治部」で麻生太郎が民主主義否定の暴言
20『バイキング』坂上忍パワハラ報道は政権批判潰しだった!

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄