年末特別企画 リテラの2014年振り返り

百田尚樹、佐野眞一、猪瀬直樹……2014ノンフィクション作家の事件簿

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第2位 差別と盗作事件で隠遁状態の佐野眞一が言い訳本出版も……

 その百田センセイに比べると、対照的にあまりにヘタレすぎるのがノンフィクション界の大御所・佐野眞一だ。佐野といえば、「週刊朝日」(朝日新聞出版)に掲載した橋下徹の評伝「ハシシタ 奴の本性」の出自に関する記述が橋下からの抗議を受けて中止になったことに加えて、佐野の過去の作品に多くの盗作疑惑がもちあがった。さらに「週刊ポスト」(小学館)で連載していた「化城の人 池田大作と創価学会の80年」に盗作があるとして、宗教学者・日隈威徳に訴えられたことで、佐野は一時、弱り果て、表舞台から姿を消してしまっていた。
 ところが、今年7月、その日隈との裁判で和解が成立。すると、佐野は12月に、一連の騒動を総括する『ノンフィクションは死なない』(イーストプレス)という新書を刊行したのだが、これがまあ、なんとも情けない内容なのだ。
 騒動の後、〈精神を平常心に保つのは想像以上に難しかった。橋下市長問題と創価学会問題がいつも心に重くのしかかり、みずからを責め苛む気持ちで精神がヘトヘトになった。(中略)誰からも電話は入らず、たったひとりぼっちで宇宙に投げ出されたように、孤独感は日々募っていった。突然、停年退職になったサラリーマンの気持ちがよくわかった。〉と、人間の心の内奥をさんざん描いてきたノンフィクション作家とは思えないような陳腐な泣き言を口にしたかと思うと、一転して〈私が危惧していた橋下に対するマスコミのタブー意識、支持率を背景にした独裁的手法が見事に露呈した瞬間だった。(略)書き手を問題にせず、メディア企業の弱みにつけ込む。抗議する側、すなわち橋下が親会社を攻めることでメディア媒体と書き手を分断させる手段に思えた〉と橋下批判を展開。さらに盗作についても〈言いがかりに近いものがほとんどだった〉と強気な姿勢を打ち出す。
 だったら、謝罪や和解なんてしないで徹底的に闘えよ、と思うのだが(実際、橋下の出自については「週刊文春」や「週刊新潮」もすでに報道していた事実であり、盗作とされたものも著作権法違反に当たらない客観的な事実関係の記述がかなりあった)、それができずに後で言い訳をするという中途半端なことになってしまうのが、佐野という作家のヘタレたるゆえんなのだろう。
 しかし、こんな人が一時、大御所作家として大きな顔をしていたのだから、ノンフィクション業界というのは相当に甘いところだといわざるをえない。

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