タイ代理出産事件で大新聞が光通信御曹司の名前を伏せ字にした理由

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
hikaritsuushin_01_140826.jpg
「週刊文春」8月28日号(文藝春秋)

 なんとも奇怪な“事件”が日本を騒がせている。24歳の独身日本人男性がタイで体外受精と代理母を使い、自分の子どもを16人も出産させていた。しかも、この問題はメディアの奇怪な対応も引き出すこととなった。

 このニュースがタイからもたらされたとき、当初、疑われたのは人身売買や臓器売買だった。東南アジアでは幼児が誘拐され売春婦にされたり、臓器を取られたりという犯罪が頻繁に起きていることからの憶測だったが、そういう事実はなかった。そして、かわりにマスコミが色めき立ったのが、この男性の正体だった。男性は大手IT企業の「光通信」創業者・重田康光氏の長男だったのである。

「光通信」は今でこそIT企業の大手だが、90年代後半に携帯電話の販売で大きな注目を浴びたベンチャー企業だった。だが、その強引な手法は次第に大きな批判を浴びていく。それを決定づけたのが「文藝春秋」(2000年4月号)に掲載された記事だった。「光通信」が架空の契約書の捏造を行い、契約内容を偽って販売していたことなど、商法を批判したものだが、記事は創業者の重田社長(当時)が幼少期に飼っていたニシキヘビに生きたウサギを餌に与え「強い者が勝つんだ」と笑ったというような人格批判にも及んでいた。

 いずれにしても、これをきっかけに多くのマスコミが「光通信」商法への批判を強めていった。「実力主義、全員主義」という荒っぽい営業手法、ベンチャー企業への乗っ取りを前提とした出資攻勢などが問題とされた。そのため「光通信」の名前は今で言うブラック企業の代表として批判され、同時に株価の大暴落という事態を招き、さらにマスコミ報道は加熱していった。

 だが奇跡的というか重田の辣腕からなのか、その後はシャープやソフトバンクの営業を請け負うなどして奇跡的復活を果たし、現在にまで存続する大企業となっている。

 そんな過去の経緯もあり、週刊誌は御曹司の代理出産ネタをこんなふうに大きく取り上げた。

「毎年10人子どもを作り、最終的には100人か1000人ももうけたいと語っている」「カンボジアに子どもを育成する秘密の隠れ家を持っていた」
「光時の父親と母親も大量出産を支援している」「莫大な資産の相続税対策」
「多くの子どもを作るのは選挙に出て勝つための人員」「新たなカルト集団を作ろうとではないか」「光時と行動を共にしているパートナーは性転換した元男性」

 特に「週刊文春」「週刊新潮」では、「光通信」の社名と本人の実名をタイトルに使った特集記事を掲載した。

「タイ代理出産 光通信御曹司・重田光時 乳幼児『育成の農場』に初潜入!」(「週刊文春」8月28日号)
「億万長者『光通信創業者』ご長男の人間牧場」(「週刊新潮」8月28日号)

 だが、その一方で、新聞では不可解な事が起きていた。全国紙が載せた「週刊文春」「週刊新潮」の新聞広告を見ると、該当タイトルの固有名詞の部分に奇妙な白マルが並んでおり、伏せ字になっていたのだ。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

代理出産 生殖ビジネスと命の尊厳

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

タイ代理出産事件で大新聞が光通信御曹司の名前を伏せ字にした理由のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。マスコミ圧力田部祥太の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 久米宏が高まる東京五輪同調圧力に徹底抗戦!「大反対の気持ちは変わらない」
2 IR汚職“起訴”の企業会長夫人と同姓同名の人物が進次郎、鈴木道知事に献金も
3 エイベックス松浦会長が「安倍さんでなくて菅さん」
4 King Gnu・井口理が米イラン緊張で日本の戦争加担に危機感
5 葵つかさが「松潤とは終わった」と
6 「桜を見る会」問題で今度は推薦者名簿を“改ざん”
7 強制捜査受けた河井前法相と案里議員は菅官房長官より安倍首相のお気に入り!
8 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(前編)
9 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
10 ル・モンドが安倍の歴史修正主義批判
11 車庫飛ばしで公安に誤認逮捕された男性が語った取り調べの酷い中身
12 山口敬之逮捕を握り潰した“官邸の忠犬”中村格が警察庁ナンバー2に!
13 警視庁の「しばき隊メンバー」逮捕は“安倍やめろデモ”潰しだった!
14 安倍の成蹊時代の恩師が涙ながらに批判
15 秋元康の東京五輪に椎名林檎が危機感
16 松尾貴史「日本を壊しているのは安倍さん」
17 米イラン緊張のなかダルビッシュが排外主義と戦争反対を表明!
18 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(後編)
19 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
20 トリシマがドラゴンボールの失敗を…
1久米宏が「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」と真っ向批判
2安倍政権・厚労政務官が外国人在留申請で口利き「100人で200万円」
3 玉川徹がGSOMIA破棄で加熱するテレビの嫌韓煽動を批判
4明石家さんまが吉本上層部と安倍首相の癒着に痛烈皮肉!
5『ゴゴスマ』で今度は東国原英夫がヘイト丸出し、金慶珠を攻撃!
6『報ステ』の“安倍忖度”チーフPがアナやスタッフへの“セクハラ”で更迭
7『ゴゴスマ』で「日本男子も韓国女性が来たら暴行しなけりゃいかん」
8文在寅側近の不正に大はしゃぎの一方、安倍政権が厚労政務官の口利きに無視
9埼玉知事選で警察が柴山文科相への抗議を排除!柴山も表現の自由否定
10安倍首相がトランプからトウモロコシ爆買い
11菅官房長官「トウモロコシ大量購入は害虫被害対策」は嘘
12 GSOMIA破棄は安倍のせい 慰安婦合意から始まった韓国ヘイト政策
13安倍が後に先送り財政検証の酷い中身
14 GSOMIA破棄で日本マスコミの「困るのは韓国だけ」の嘘
15 松本人志や吉本上層部批判の友近、近藤春菜にバッシング、報復か
16『週刊ポスト』の下劣ヘイト記事は「小学館幹部の方針」の内部情報
17GSOMIA破棄!八代・有本ら安倍応援団は「嫌なら来るな」
18 『モーニングショー』で「暑さに耐えるのが教育」元高校野球監督は右派論客
19 古市憲寿の芥川賞候補作「参考文献問題」に選考委員が猛批判
20『関東大震災「朝鮮人虐殺」はなかった!』のデマとトリックを暴く

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄