【検証!ブラックディズニーの恐怖 第3弾】

ディズニーのホスピタリティの正体は千葉のヤンキー文化だった!?

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 しかも、こうしたヤンキー的な空気と上下関係は、アルバイトになると、もっと濃厚に漂っている。それを如実に表しているのが、『社会人として大切なことはみんなディズニーランドで教わった』(香取貴信/こう書房、02年)だ。同書は東京ディズニーランドでアルバイトをはじめた元ヤンキーの高校生が「仕事」「教育」「サービス」に目覚めるという異色のディズニー本なのだが、徹頭徹尾ヤンキー的なエピソ―ドに彩られている。

 たとえばある日の終礼。多数の新人スタッフによる恒例の自己紹介が長引いたときのこと。「最初の何人かは興味があって話を聞いていた私ですが、だんだんと飽きてきます。それでとなりのスタッフにちょっかいを出したり、自己紹介にちゃちゃを入れたりして、楽しんでいました。だって、その場には厳しい責任者の町丸さんがいませんでしたから……。

 と、いきなりうしろから、思い切り回し蹴りが飛んできたのです。私はそのまま地面に転がり、振り向くと町丸さんが鬼の形相で立っています。(略)『てめぇー、自分は偉いから、新人がしゃべってても聞かねーでいいのか! はじめて大勢の前で話す人間の気持ち考えろ!!』」

 この事件をきっかけに厳しい責任者である「町丸さん」との間に“師弟”関係が生まれる……といったエピソードなのだ。

 先輩から回し蹴り!? 同書はメールマガジンに面白おかしく書き綴った文章の単行本化なので、多少の誇張が含まれている可能性もあるが、しかし、似たようなバイト指導が多くの場所で行われているのではないだろうか。

 そして、幹部社員たちの本を読む限り、東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランドも、こうしたヤンキー的な上下関係をうまく利用するかたちで、無給奉仕や過剰サービスなどのブラック労働にバイトをかりたててきたのだ。

 それにしても、あんなにかわいいシンデレラ城やイッツ・ア・スモールワールドやプーさんのハニーハントを支えているのが、“アニキ”や“土下座”や“先輩からの回し蹴り”だったとは……。

 しかし、これも考えてみたら、そう不思議はないのかもしれない。精神科医の斎藤環によれば、多くの日本人は結局のところ、ヤンキーの美学に魅了されているのだという。だとすれば、日本人がこんなにもディズニーランドが好きなのも、そこから漂うヤンキーのにおいをかぎとっているからなのではないだろうか。
(松井克明)

【検証!ブラックディズニーの恐怖シリーズはこちらから→(第1弾)(第2弾)(第3弾)】

最終更新:2014.11.17 12:11

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