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五輪不正KADOKAWA夏野剛社長に反対派への新たな“暴言”発覚! 一方、「ニコ動があるのは森元首相のおかげ」の茶坊主発言も
KADOKAWAオフィシャルサイトより
どんどんと広がりを見せている東京五汚職事件。6日には電通専務で東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の理事だった高橋治之容疑者側に賄賂を渡したとしてKADOKAWAの幹部2人が逮捕されたが、五輪関連部署の担当室長を務めていた馬庭教二容疑者は東京地検の取り調べに対し、大会スポンサーに選定された謝礼として高橋容疑者側に計約7600万円を送金したという趣旨の供述をしているという。
KADOKAWAは2019年4月にオフィシャル出版サービスサポーター契約を締結し公式ガイドブックやプログラム、競技図鑑など多数の五輪関連書籍を出版してきた。だが、そうした利権をKADOKAWAは不正な手段によって得ていたのだ。メディア企業としてあるまじき行為であり読者の信頼を失墜させる深刻な事態であることは言うまでもないが、しかし、こうした局面で無責任さを丸出しにした人物がいる。ほかでもない、現在KADOKAWAの代表取締役社長を務める夏野剛氏だ。
夏野社長はKADOKAWAに捜査が及んでいると報じられた3日、メディアの取材に応じたのだが、「スポンサー契約後の業務に対する報酬だった」と主張。当時、自分は社長ではなかったとした上で、「高橋容疑者側から便宜図ってもらったことは?」という質問に「関係者は『ない』と言っている」と回答したほか、「(スポンサー契約に問題はなかった)と、我々は思いたい」「(不正かどうかは)わからない」などと他人顔で回答した。
たしかに、KADOKAWAが高橋容疑者に約7600万円を10回に分けて入金したのは2019年7月から2021年1月までといわれているが、夏野氏が社長に就任したのは2021年6月であり、夏野氏は今回の事件とは直接的にかかわっていないと見られている。だが、たとえそうだとしても、自身が社長を務める企業が不正な手段で利権を得ていたという疑惑が持ち上がり、捜査がおこなわれているとなれば、現在の責任を問われるのは当然だ。しかも、夏野氏は賄賂が入金される以前の2019年6月にKADOKAWAの取締役に就いており、経営責任の一端を担う立場にあった。
にもかかわらず、夏野氏は当時社長ではなかったことを盾にし、自分はまるで外部の、何も関係がない人間であるかのように振る舞ったのである。
また、前述したように、夏野社長はこのとき、「関係者は『ない』と言っている」「(問題はなかった)と、我々は思いたい」など、社内で不正は認識されていないことを主張していたが、これについても疑問の声が上がっている。
というのも、逮捕された馬庭元室長が逮捕前におこなわれたKADOKAWAの社内調査で、高橋容疑者側に送金したコンサルタント料計約7600万円について〈スポンサー選定に対する元理事側への謝礼の趣旨が含まれていたと説明〉していたと、8日付の毎日新聞が報じたからだ。
毎日新聞は6日付記事で、KADOKAWAが7月に社内調査を実施したと伝えており、これが事実なら、3日時点で「関係者は『ない』と言っている」と発言していた夏野社長も、実際はすでに不正の事実を知っていた可能性があるということではないか。
夏野剛「クソなピアノ発表会」以外にも暴言! 五輪めぐる新飛行ルート反対派住民に「B-2爆撃機でそのへん、絨毯爆撃したらいい」
また、仮に、夏野氏がKADOKAWAの贈賄について、幹部2人が逮捕されるまで本当に知らなかったとしても、同氏には倫理的に責任を問われなくてはならない大きな理由がある。それは、夏野氏がメディアやSNSで、こうした不正の温床となり、自社も犯罪に手を染めていた東京五輪の旗振り役をつとめてきた、という事実だ。
夏野氏は2014年に東京五輪組織委の参与となり、“パクリ疑惑”によって撤回されたあとのエンブレム委員会やマスコット審査会、チケット委員会、メダル委員会などを歴任。メディアに登場した際もさかんに東京五輪開催の意義を語ってきた。
そして、周知のように、東京五輪に反対する国民の声を、とんでもない「暴言」で封じ込めようとした。
新型コロナの感染拡大渦中の東京五輪の開催強行をめぐって、反対の声が広がるなか、夏野氏は『ABEMA Prime』(ABEMA)で「そんなクソなね、ピアノの発表会なんか、どうでもいいでしょう、五輪に比べれば。それを一緒にする、アホな国民感情に、やっぱり今年、選挙があるから乗らざるを得ないんですよ」などと発言。大きな批判を浴びたのである。
このとき本サイトでは、東京五輪オフィシャルサポーターとしてKADOKAWAが利権に食い込んでいることを挙げ、夏野氏は五輪開催強行によって自分の会社の利益を守りたいために開催に反対する一般市民を攻撃しているのだと批判をおこなった。
だが、今回、KADOKAWAの贈賄が事件化したことで、夏野氏のこの発言にはもっと下劣な意味合いが付与されたことになる。自分が社長を務める会社が不正に手を染めて利権を獲得しているイベントを擁護するため、公共のメディアを使って反対意見を封じ込める暴言を吐いたことになるからだ。
その上、夏野氏をめぐっては、ここにきてさらに、もっとひどい暴言も発掘されている。
それは、2017年に「ニコニコ生放送」で配信された東浩紀氏と三浦瑠麗氏、津田大介氏との鼎談「安倍離れ?内閣改造について言いたい事を言う生放送」でのこと。このなかで東氏が「オリンピックで羽田の侵入経路が緩和されて五反田の上に(飛行機が)通るんだって。これに反対してる(人たちがいる)わけ」と言うと、夏野氏は飲んでいたワインのつまみであるチーズの包装を破きながら、こんなことを口にするのだ。
「その航路を開くときに、取り合えずB-2爆撃機でそのへん、絨毯爆撃したらいいよ。そいつら全員コロせ。いらねえよ」
東京五輪に伴う新飛行ルート運用に反対する市民に対し、あろうことか組織委参与の立場にあった夏野氏が「絨毯爆撃したらいいよ」「そいつら全員コロせ」と言い放つ──。絶句せざるを得ない暴言中の暴言であり、いまメディア企業のトップに立っていること自体が許されない発言だろう。
夏野剛「僕があるのも森元首相のおかげ!」と持ち上げたことも 森喜朗・前組織委会長の関係は学生時代から…
このように、東京五輪をめぐって下劣な態度をあらわにしてきた夏野氏。しかも、さらに指摘しておきたいのは、夏野氏が今回の汚職事件の本丸のひとりでもある森喜朗・前組織委会長と“ベタベタの関係”にあることだ。
森前会長といえば、贈賄容疑で逮捕されたAOKIホールディングスの青木拡憲・前会長が「現金200万円を手渡した」と供述していると報じられ、受託収賄罪あるいは収賄罪の疑いが浮上。さらに8日発売の「週刊文春」(文藝春秋)では、東京五輪のスポンサーとして立候補していた講談社を、過去にスキャンダルを報じられたという“私怨”によって排除したと森氏自身が豪語していたことを報じている。
森氏はKADOKAWAがスポンサーに選定されたのは講談社を排除したあとだと説明しているが、記事のなかで元東京地検特捜部副部長の若狭勝弁護士は「森氏に金銭が渡っていなくても、高橋容疑者がKADOKAWAから賄賂を受け取っていることを分かった上で、講談社にスポンサー契約を辞退するよう迫っていた場合、収賄の共犯になる可能性があります。恣意的な思惑で辞退を強く迫った場合は、業務妨害罪に抵触しかねません」と指摘。また森氏が高橋容疑者とともに角川歴彦KADOKAWA会長と面会していたことも判明している。KADOKAWAルートの汚職における森氏の関与は定かではないが、少なくともスポンサー選定で森氏が絶大な力を持っていたことが裏付けられたかたちだ。
そして、この“東京五輪のドン”である森氏と、夏野氏は昵懇の間柄にある。夏野氏は参与就任直前に朝日新聞の連載で森氏と対談。森氏が「無報酬。これで、組織委員会として5千億円の仕事をする」と得意げに語ると、夏野氏は「いい仕事をするには無報酬はいけない」などと口にしている。また、2018年のインタビューにおいても森氏は、マスコット選びについて「面白いアイデアを言ってくれたのが夏野剛先生」とわざわざ名前を挙げて称賛していた。
だが、ふたりの間柄はたんなる「組織委会長と参与」というようなものではない。じつは、夏野氏は早稲田大学在学中、森氏の事務所に通っていたというのだ。
実際、2012年におこなわれた「ニコニコ超パーティー」では、最終日のゲストとして森氏が登場し、「あのね、みなさんね、夏野さんはね、学生時代は私の事務所にいつもいたんです。本当だよ」「ちゃんと就職できるようになったのは私のおかげなんですから」と発言。森氏は学生時代の夏野氏の写真を持参してその場で見せびらかすほどだったのだが、対して夏野氏は、こう呼応したのだ。
「ITがあるのも森元首相のおかげ! ニコ動があるのも森元首相のおかげ! 僕があるのも森元首相のおかげ!」
「僕があるのは森元首相のおかげ!」──もちろん、会場の観客を盛り上げるための煽り文句の意味合いもあったのだろうが、ようするに夏野氏は森氏の“茶坊主”的存在だったというわけだ。
東京五輪のスポンサー選定で絶対的発言力を持っていた森前会長、そして森氏を“育ての親”に持ち、市民を足蹴にしてまで東京五輪の旗振り役を担ってきた夏野氏。たとえ夏野氏がKADOKAWAの汚職事件に直接関与していなかったとしても、その責任は重大だ。
しかも、五輪開催に伴う羽田新飛行ルート運用反対派住民に対する前述の「B-2爆撃機で絨毯爆撃」「全員コロせ」発言。こんな人物がメディア企業のトップに立ち、メディアでニュースの論評をしていいのか。
汚職事件が発覚しても他人ヅラを決め込む夏野氏には、今回の事件を機に、ぜひ一刻も早くメディアの世界から姿を消していただきたいものである。
(編集部)
最終更新:2022.09.09 12:01
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