共同通信が西村康稔コロナ担当相の“休業補償拒否発言”を報じた記事をこっそり差し替え! 裏で西村サイドから圧力か

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内閣府HPより


 相変わらず、新型コロナで検査・医療体制の整備や国民の生活支援より報道や批判への抗議・圧力に必死になっている安倍政権。厚労省のツイッターがデマを駆使して『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)や「Yahoo!ニュース」などに反論したのに続いて、安倍首相も17日の会見で、布マスク問題を質問した朝日新聞記者に対して「御社も3300円の布マスクを販売していた」などと攻撃を仕掛けた。

 そのフェイクまみれのやり口については、昨日の記事(https://lite-ra.com/2020/04/post-5379.html)で検証したが、しかし、報道への圧力はこうした表の動きだけではなさそうだ。

 ここにきて、西村康稔経済再生・コロナ担当相の補償拒否の姿勢を報じた共同通信が記事を差し替え、裏で圧力があったのではないかと話題になっている。

 問題となっているのは、11日に共同通信がネットに配信した記事。共同通信は同日18時過ぎに、「西村氏、国の休業補償改めて否定 7都府県知事の要請に応じず」とタイトルを打ち、こう伝えていた。

〈西村康稔経済再生担当相は11日、新型コロナウイルスに備える改正特別措置法(新型コロナ特措法)の緊急事態宣言の対象となっている7都府県の知事らとテレビ電話で会談した。7都府県は、休業要請に応じた事業者らに国が補償するよう求めたが西村氏は「世界のどの国も休業補償していない」と述べ、応じない考えを改めて示した。
全国知事会長の飯泉嘉門徳島県知事も11日、7都府県とは別に西村氏とテレビ会談し、休業補償を「国の責任で支援の在り方を工夫してほしい」と要望。休業補償に対する国と自治体の温度差が改めて浮き彫りになった。〉

 ようするに、記事の内容は、知事たちが休業補償を求めているのに、西村コロナ担当相が頑として認めない、というものだった。しかも、西村コロナ担当相が言ったという「世界のどの国も休業補償していない」は、この少し後、安倍首相が口にした「休業補償は世界に例がない」という発言と同様、デタラメだ(https://lite-ra.com/2020/04/post-5370.html)。

 当然、この記事が配信されると、SNS上ではこの西村コロナ担当相の発言を批判する投稿が殺到したのだが、問題はそのあとに起こる。

 22時26分にこの記事が上書きされ、タイトルが「西村氏、休業協力金への活用も 臨時交付金、国の補償は否定」と変更。記事もこんな内容に変わってしまったのだ。

〈西村康稔経済再生担当相は11日、新型コロナウイルス特措法に基づく緊急事態宣言の対象となっている7都府県の知事らとテレビ電話で会談した。西村氏は会談後に記者会見し、国が自治体向けに創設する1兆円の臨時交付金の使途について、東京都が休業要請に応じた事業者に支払う協力金のような活用ができるか「これから考えたい」と述べ、選択肢として検討する姿勢を示した。一層の外出自粛の呼び掛けも求めた。
7都府県は休業要請に応じた事業者らに国が補償するよう求めたが、西村氏は国による休業損失の穴埋めは重ねて否定した。〉

 もとの記事は、知事らがテレビ会談で国による休業補償を求めたのに対して西村大臣が「世界のどの国も休業補償していない」と発言して補償を拒否したという内容だったのに、変更後は、テレビ会談後の記者会見で、自治体向け交付金の活用を検討するという正反対のトーンに。問題の発言も削除されてしまっていたのだ。

「世界で見当たらない」発言は誤報ではない! 西村担当相はテレビや国会でも同様の発言

 この不可解な改ざんに、全国紙の政治部記者がこう首をひねる。

「もし、最初の記事が間違っていたり、西村大臣が言ってもないことを書いていれば、『訂正』という措置をとるはず。ところが、それをやらずに、記事をこっそり正反対の論調に変えてしまった。これはやはり、裏で何か圧力があったとしか考えられない」

 実際、周辺を取材してみると、やはり、西村サイドから圧力がかかっていたようだ。

「この記事は経済部が出した記事なんですが、西村サイドからかなり強硬な抗議が来たという話を聞きました」(共同通信関係者)

 もっとも、共同の最初の記事が誤報だったわけではない。知事とのテレビ会談で、西村コロナ担当相が、記事にあったような“休業補償している国は世界にない”という意味の発言をしていたのは事実だ。ところが、西村大臣は、発言の引用が正確でない、と言ってきたらしい。

 実際、記事の抜粋を掲載するネット版の記事では〈西村氏は「世界のどの国も休業補償していない」と述べ〉という記述は削除されていたが、加盟社向けに配信した正式な記事では、この記述は残っており、〈西村氏は休業補償として一定割合の損失補填を行っている国は「(世界で)見当たらない」として〉に修正されていた。

 つまり、西村大臣が「(世界で)見当たらないと言ったのは休業補償ではなく、事業者への損失補填だ」と抗議してきたということだろう。

 しかし、共同は最初の記事でも地の文で、「事業者への補償」と明記しており、発言の意味を歪めているわけではない。

 しかも、西村大臣自身が翌12日、NHKの『日曜討論』に出演した際も、「事業者に対する損失補填とか休業補償の枠組みは、諸外国、我々もすべて当たりましたけども、そういう仕組みを取っているところは見当たりません」と発言しているし、13日におこなわれた参院決算委員会でも、「諸外国の例を見ても事業者に対する休業補償をやっている例は見当たらない」と雑駁に答弁しているのだ。

「共同の記事が出たあと、イギリスやドイツの例を出して西村大臣の発言を『嘘だ』と非難する声が殺到したため、慌てて抗議したんでしょう。『休業補償ではなく損失補填と言った』と細かい違いを持ち出し、記事を訂正させることで、自分への批判を抑え込もうとしたんじゃないか」(前出・全国紙政治部記者)

共同通信は会見からの締め出しに怯えたのか コロナ対策よりメディア圧力の安倍政権

 また、西村サイドは共同に、発言の訂正だけではなく、書き加えまでさせている。それが〈国が自治体向けに創設する1兆円の臨時交付金の使途について、東京都が休業要請に応じた事業者に支払う協力金のような活用ができるか「これから考えたい」と述べ、選択肢として検討する姿勢を示した〉という部分だ。

「共同の当初の記事は、知事たちが休業要請に基づく補償を求めたのに西村大臣が拒否したことが中心の記事だったため、気に入らなかったんでしょう。おそらく『切り取りだ』とかなんとかいって、臨時交付金の活用への検討を口にしたことを加えさせたんじゃないか。西村大臣が知事たちとのテレビ電話会談や会談後の会見で語ったのは『これから考えたい』というだけのもので、とても記事にできるレベルじゃなかったんだが……」(前出・全国紙政治部記者)

 権力者が口にしたどの部分をクローズアップするかは、それこそ報道の自由。これまた、イチャモンのレベルと言っていいだろう。

 しかし、だとしたら、共同通信はなぜこんな圧力に屈して記事を改ざんしたのか。

「実はうちの経済部は、経産省記者クラブで世耕弘成氏を経産大臣時代に怒らせて会見から締め出されたことがあり、それがトラウマになって、政権にかなり弱腰になっているんです。今回も、会見からの締め出しに怯えたんじゃないでしょうか。西村大臣の会見に出られなくなったら、コロナの経済政策の動きがまったくわからなくなると、理不尽な要求を呑んだとしか思えない」(前出・共同通信関係者)

 この緊急時に取り組まなければいけない課題が山ほどあるのに、イチャモンレベルの抗議やメディアへの圧力に必死な政府と、その言いなりになるメディア。その結果、国民は真実が知らされないまま捨て置かれる。安倍政権下で進行してきた「報道の自由」の崩壊が、コロナ禍でさらなる危機を生み出していると言っていいだろう。

最終更新:2020.04.19 11:59

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