『あさイチ』の「中高生に韓国が人気」は事実なのになぜ炎上? K-POPや韓国コスメまでタブーになった嫌韓日本の異常

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韓国人気の企画を放送した『あさイチ』(番組HPより)


 徴用工問題やレーダー照射問題をきっかけに、エスカレートしている嫌韓、韓国ヘイト。少しでも韓国に肯定的な意見を口にしようものならすぐに「反日」「売国奴」と攻撃がとんでくるのはもちろん、メディアが韓国の文化や観光を紹介するだけで、大炎上する事態となっている。

 その典型が、4月3日に放送された『あさイチ』(NHK)だ。この日の『あさイチ』は「大人は知らない!? 最新 中高生トレンド」という特集を放送したのだが、そのひとつとして取り上げられたのが「韓国カルチャー」だった。

 ティーン向けファッション雑誌「ニコラ」(新潮社)モデルの涼凪と藤本林花美愛を案内人に東京・新大久保を散策。インタビューなどを交えながら、いまの中高生がK-POP、韓国コスメ、韓国グルメ、ハングルなどの韓国文化に夢中になっている様子を紹介した。

 ところが、放送終了後、ネトウヨからNHKに抗議が殺到。ツイッターにはこんな書き込みが溢れた。

〈今朝のNHKあさイチの韓国特集は酷かった。間違いなくBPO案件〉
〈NHKは韓国のテレビ番組だよ!! 嘘ばっかり流す異常な国営放送 どこの国の国営放送や 朝鮮国営放送やん〉
〈あさイチ、不意に「新大久保」とか韓国キーワード入れるなぁ。そんなに韓国とズブズブなのか。駄目すぎ。〉
〈韓国ブームとやらを放送したそうですね??今大問題中に日本の公共放送がやることでしょうか?受信料返してほしいですね!!〉
〈もうNHKは見ない。大河も朝ドラも気持ち悪い。NHKはそんなに韓国好きなら韓国で放送して、日本で放送しなくてもいい。〉

 韓国というだけで、ヘイト丸出しの抗議をするファナティックさにはうんざりだが、なかでも、多かったのが、『あさイチ』の放送内容を「嘘」「でっちあげ」と攻撃するツイートだった。たとえば、こんな感じだ。

〈中学生の親ですが、一度も韓国好きな子聞いたことない。大人も。極極少数派を取り上げないで欲しい。NHKは、ひどい嘘を流しすぎ〉
〈また嘘ばっかりの印象操作番組つくって放送したのか あいかわらず気持ちの悪い放送局だ NHK 韓国人の局員何人いるんだろうか?気持ち悪い〉
〈一般的に日韓関係が冷え切っている状況で韓国ブームはあり得ない。現在ニュースで放送している内容は何? 無理矢理流行を作ったり嘘のニュースを流す時点で公共の意味を理解していないのでNHKの役割は終わったってコト。〉
〈誰も好きじゃないのに、中高生みんな韓国好きって、堂々と嘘の放送したわけか。〉
〈ウチの娘、JCですけど1mmも流行ってないって言ってますけど。数人はハマってるのがいるみたいだけど、冷たい目で見られてるとさ。〉

 しかし、韓国ヘイトに必死なネトウヨのみなさんには残念な話だが、若者の間で韓国カルチャーが大人気になっているのは、まぎれもない事実だ。BTSやTWICEをはじめとするK-POPアイドルはジャニーズをはるかにしのぐ人気だし、チーズホットクやチーズタッカルビなどの韓国グルメもブーム。なかでも過熱しているのが韓国コスメで、韓国で流行のファッションやメイクをまねる女性が急増している。世は、“第3次韓流ブーム”というより韓国人気は完全に根付いているのである。

ジャニーズをしのぐK-POP人気、ファッション誌に「韓国っぽ」とハングル

 嘘だと思うなら、一度書店かコンビニで女性ファッション誌の棚の前に立ってみればいい。韓国コスメにK-POP、韓国旅行などを特集している雑誌をすぐに見つけることができるだろう。なかには表紙に「韓国っぽ」という流行のフレーズ(「韓国っぽくてかわいい、かっこいい」という意味)が踊っている雑誌もある。

 たとえば、今月で言えば、ファッション誌「Ray」(主婦の友社/2019年5月号)。表紙には、韓国の女性アイドルグループ・Red Velvetがフィーチャーされ、「「きれい」を磨く〈美容天国〉へようこそ! 韓国には可愛い❤がつまってる」というキャッチコピー。ページを開くと、韓国でのコスメやメイクのトレンドについてはもちろん、「超可愛い」といった意味の「チョルギ」や、「みんなの注目を集めるイケてる人」を意味する「インサ」といった韓国で流行りの若者言葉が普通にハングル表記付きで使われている。

 各種調査でも韓国はダントツの人気だ。『あさイチ』が学生を対象にした「はやっているもの」アンケートで1位が「TikTok」、2位が「韓国」だったことを紹介していたが、ほかの10代の調査では、K-POPや韓国コスメが1位になっているケースも珍しくない。

 韓国旅行も急増している。2018年に韓国を訪れた10代の日本人は2015年に比べると、254%も増えている。リトルコリア新大久保も10代の若者にとって原宿以上の人気スポットになっており、修学旅行のコースにも組み込まれているほどだ。

 こうした現象が起きているにもかかわらず、「嘘」「でっちあげ」といちゃもんをつけるとは、頭の悪さにもほどがあるだろう。

 ただ、こうした若者の韓国人気を知らないのは、韓国のポジティブな話は一切なかったことにしてしまうネトウヨのみなさんだけではない。『あさイチ』でも、キャスターの博多大吉が「外交はちょっとモメてるじゃないですか。僕らは韓国ってそんなに流行ってるのかなと思いますけど」と言っていたが、ネトウヨじゃない普通の人でも大人はほとんど知らないのだ。

 いったいなぜか。それは、テレビが韓国カルチャーを一切取り上げなくなってしまったからだ。

中高生の韓国ブームが知られてないのはネトウヨの攻撃とテレビの自主規制のせい

 それは、最近のことではなく、第2次韓流ブームがピークを迎えた2011年から始まったものだ。当時は、KARA、少女時代、東方神起などのK-POPやチャン・グンソクのドラマなどが大人気で、テレビも連日、音楽番組にK-POPアイドルを出演させ、韓流ドラマ枠もどんどん増やしていた。

 ところが、これに在特会をはじめとするネトウヨが反発。2011年から2012年にかけてフジテレビに大規模な嫌韓デモが仕掛けられる。さらに、2011年12月、紅白にKARA、少女時代、東方神起と3組のK-POPグループが出演すると、NHKにも激しい抗議が加えられた。 

 政界からの圧力も起きた。2012年3月、片山さつき参院議員が国会でNHK会長に「NHKのミュージックジャパンという番組では過去1年間、出演者の韓国人タレント占有率が36%。(中略)このあたりはどういう基準でやっておられるのか」と韓国差別丸出しの質問。しかも実際は36%という数字は誤りで、11%だったのだが、片山議員は生活保護バッシングのときと同じく、ネトウヨのデマに乗っかって、NHKに韓国の音楽を扱わないよう圧力をかけたのだ。

 まったく度し難い偏狭と排外ぶりだが、これでテレビ局は一変してしまった。炎上や抗議を恐れて、軒並みK-POPを排除し始めたのだ。韓流ドラマも地上波での放映をやめて、BSに追いやった。NHKも翌2012年の紅白ではK-POPグループを1組も出演させず、そのまま2017年にTWICEが出演するまで、K-POPグループゼロを続けた。

 ようするに、テレビは、今回、まさに『あさイチ』に加えられたような炎上攻撃が原因で、韓国カルチャーを扱わなくなったのである。その結果、オールドメディアでしか情報を得ていない中・高年層の間では、韓国ブームはどこかへ消えたことになってしまったのだ。

 しかし、実際は韓国ブームは衰退したわけでもなんでもなかった。ネットやSNSで若年層を中心にブームはその後も広がり続け、BIGBANG、EXO、SHINee、SUPER JUNIORといった人気K-POPグループが次々登場。テレビが扱わないだけで、東京ドームなどで開催されるライブは盛況が続いていた。

 そして、2017年になると、アメリカでもブレイクしたBTSやTWICEが牽引するかたちでブームはさらに拡大。しかも今回は、コスメやファッションにまで広がるこれまでにない大規模なブームになっているため、さすがに、テレビも無視できなくなり、少しずつではあるが、“第3次韓流ブーム”としてK-POPや韓国カルチャーを取り上げるようになった。

 ところが、これに対して、再びネトウヨが攻撃を始め、2011年と同じことが繰り返されようとしているわけだ。

BTSやTWICEへの攻撃、韓国文化を紹介した本田真凜や藤田ニコルにも…

 その象徴的な例が、昨年秋に勃発したBTSの「原爆Tシャツ」騒動だろう。BTSは昨年11月9日テレビ朝日の『ミュージックステーション』にゲスト出演する予定だったが、ネトウヨたちが難癖をつけて騒ぎ立てていた「原爆Tシャツ」問題を理由に、前日になって出演をドタキャン。これがネトウヨのヘイト攻撃にお墨付きを与えたようなかたちになり、ネトウヨによるバッシングをさらに過熱させてしまった。この動きに他局も追随『FNS歌謡祭』(フジテレビ)なども出演をキャンセル、『NHK紅白歌合戦』に至ってはBTSとまったく関係のないTWICEへの出演オファーについて苦慮しているという報道まで出るなど、K-POPアーティストというだけで排除するという異常事態に発展した。

 テレビだけではない。韓国カルチャーについて語った有名人やタレントも攻撃を受けている。たとえば、フィギュアスケートの本田真凜選手は2017年に世界ジュニアで銀メダルを獲得した際、練習と試合を頑張った自分へのご褒美として韓国旅行に行きたいと明かし「ファッションが好きなので、楽しみ」と語ったところ、大バッシングを受けた。
 
 乃木坂46(当時)の生駒里奈もブログ(2017年2月28日)に〈最近K-POPの素晴らしさに魅了されました。ルックスも、ダンスも歌もすごいっっ気づいたらずっとMVみてます。はぁ、同い年、年下の方もいて、こんなレベルでアイドルしてちゃダメだなと反省。頑張ろうとやる気も湧きます!ルックス、体型は無理だから、せめて技術だけでもあげなきゃね〉との投稿をして、少なくない数の攻撃を受けた。

 そのため、タレントの側も自主規制をして、どんどん韓国カルチャーにふれなくなっている。藤田ニコルは2019年1月20日放送の『サンデー・ジャポン』(TBS)で、こんな複雑な心情を告白している。

「私が韓国旅行に行ったりだとか、K-POPの音楽を聴いているだけで、一部の人からけっこう言われたりします。そういう言葉を一部の方から、ツイッターとかインスタグラムとかで来るので、『あ……、こういう感じなんだなぁ……』って」

 K-POPが好きとか韓国旅行に行ったというだけで非難されるとは、現在の日本でいかに差別主義やネトウヨ思想が蔓延っているか思い知らされるが、本当にこうした事態が起きているのだ。そして、今回の『あさイチ』炎上。おそらく、テレビはさらに、韓国カルチャー排除という自主規制を強めていくはずだ。

若者の韓国ブームは日韓対立と排外主義を乗り越える大きな希望だ

 しかし、ネトウヨがいかに冷や水を浴びせようと、メディアがいくら自主規制しようと、若者に広がる韓国ブームは止められないだろう。なぜなら、今のブーム自体がネットやSNSで広がったものであり、テレビは1ミリも寄与していないからだ。

 実際、BTSは地上波テレビから締め出されたが、それでも人気は落ちるどころか上がり続ける一方で、7月に行われる静岡エコパスタジアム(収容人数5万人)とヤンマースタジアム長居(収容人数4万7000人)でのスタジアムツアーも、これだけの収容人数にも関わらずチケットは入手困難の状況になっている。

 また、TWICEは先月から今月にかけて、京セラドーム大阪、東京ドーム、ナゴヤドームを回るドームツアーを行っているが、そのチケットはわずか1分で完売している。

 他にも、BLACKPINK、GOT7、iKON、Red Velvet、SEVENTEEN、NCT127など、1万人以上の規模のコンサートを行う人気のあるK-POPグループは数多い。

 しかも、重要なのは、韓国カルチャーに傾倒した若者たちが、表層的な流行にとどまらず、ポップカルチャーを通じて韓国文化への理解を深め、日韓の対立を乗り越えるような動きを見せていることだ。

 BTSが韓国バッシングの道具として利用され大炎上した昨年秋にも、K-POPのファンたちが「#ArmyAgainstRacism」(ARMYはBTSファンの総称)というハッシュタグを用いて、対立を煽るネトウヨ層への抗議を行ったことは記憶に新しいし、今回の『あさイチ』のなかでも、TWICEのファンとして登場した男子高校生が、日韓関係についてこんな言葉を語っていた。

「サッカーとかでもよく因縁の日韓対決とか言ってるじゃないですか? なんでそんな因縁なのかなとか思ったりもするんですけど。隣の国同士なので、もっと仲良くやってほしいなって」

 安倍政権の煽りに乗ってテレビメディアまでが無自覚に韓国ヘイトを撒き散らすことが日常の風景となってしまったこの国において、こうした若者の動きは大きな希望でもある。

最終更新:2019.04.08 08:39

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