東京ディズニーランドでキャラクターショー出演女性が“パワハラ”を提訴!「死んじまえ」「ババァはいらない」

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『9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方』(中経出版)

 今年、開園35周年を迎える東京ディズニーリゾート。この猛暑でも着ぐるみたちは、ショーやパレード、ゲスト(客のこと)と触れ合うグリーティングに大活躍だ。しかし、着ぐるみをはじめとするキャスト(従業員のこと)に対する待遇はブラック企業そのものだ。当サイトではその「夢の国」の華やかさに隠されたブラック企業ぶりを明らかにしてきたが、ついにそのブラック企業ぶりは裁判所でも争われることになった。

 東京ディズニーランドで、キャラクターの着ぐるみを着てショーやパレードに出演してきた女性社員2人が7月19日、運営会社であるオリエンタルランドが安全配慮義務を怠ったために、「過重労働」や「パワーハラスメント」で体調を崩したとして、計約755万円の損害賠償を求める訴訟を千葉地裁に起こしたのだ。

 報道によると、1人の女性社員(28歳)は総重量10~30キロの様々なディズニーキャラクターの着ぐるみを着てショーなどに出演。約2年ほど業務を続けた結果、上肢にしびれや激痛が生じる「胸郭出口症候群」を発症。彼女は昨年8月に労災申請が認められ、現在は休職しているが職場復帰を希望しており、「労災認定後も会社側が安全対策の不備を認めない」として提訴した。

 もう1人の女性社員(38歳)も、ディズニーキャラクターに扮してショーなどに出演していたが勤務中に喘息を発症したため楽屋の環境改善を訴えたところ、上司などから「病気なのか。それなら死んじまえ」「30才以上のババァはいらねーんだよ」などの暴言を受け、精神的なショックで体調を崩したという。

 今回、本サイトは訴状を入手したが、そこで「夢の国」の舞台裏におけるキャストへの陰湿なパワハラ言動の数々が明らかにされている。

 二人の待遇だが、20代の女性は2015年2月、時給1100円の契約社員として雇用され、30代の女性は2008年4月、時給1630円の契約社員として雇用されている(現在も契約更新中)。

 オリエンタルランドでは、キャストの9割が正社員ではなくアルバイトなどの臨時雇用者。それにもかかわらずオペレーションがうまくいっているのは、キャストたちが教え合う素晴らしいシステムがあるからだと謳い、2010年には、ディズニーのバイト教育にスポットを当てたビジネス書『9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方』(福島文二郎/中経出版)が発売、シリーズ90万部を突破したベストセラーになった。以来、日本型ホスピタリティ、おもてなしの代名詞のようにされてきたのだが、現実には臨時雇用者の使い捨てで成り立っているシステムだ。

 20代女性は、総重量10~30㎏の着ぐるみを着用し、一回あたり40分~45分のショーや、来場客と記念撮影や握手をするグリーティングを一日に複数回行っていた。2016年12月の記録では、30分のグリーティングの後10分休憩し、すぐにまた次のグリーティングのために着ぐるみを着用する、という繰り返しを7回行っている。なお、女性労働基準規則では満18歳以上の女性は20㎏以上の重量物を取り扱う業務への従事は禁止されている。キャラクターによっては手を肩より上に上げて振らなければならず、こうした動作が肩や上肢への負担が大きくした。

 しかも、これらの職務により「胸郭出口症候群」を発症し、労災保険給付の申請を行おうとした際には、上司からは「まず認められないから申請はやめた方がいい」などと申請をしないように求め、申請後にあっても、申請を取り下げるように執拗に求めたのだ。

過酷な労働を押し付けるディズニーランド3つの“魔法の言葉”

 もう一人の原告である30代女性も同様に労災申請の協力を拒絶されたことがある。2013年1月、グリーティングの際に、成人男性の客から故意に右手薬指を反対側に折られたために負傷し、労災申請をしようとしていた時、女性の所属するグループのスーパーバイザーらから、労災申請への協力を拒絶されたのだ。「エンターなんだから、それ位我慢しなきゃ」「君は心が弱い」などと言われたという。

 2016年1月6日のショーの打ち上げの飲み会では、女性から喘息の相談をされたユニットマネージャーが 「病気なのか。それなら死んじまえ」「30歳以上のババァはいらねーんだよ。辞めちまえ」 「俺の前に汚ねえ面見せるな」などと発言していたというのだ。また、ある時には先輩アクターからは「お前みたいにやる気の無い奴は、全力でつぶすから」と言われるなど、上司を含む従業員12人からパワハラを受けていた。

 今回の女性二人も所属するオリエンタルランドユニオンへのこれまでの取材では、こうしたパワハラ的発言はよく聞かれるものだった。ディズニーリゾートの現場では、システムをうまく機能させるための3つの“魔法の言葉”があるのではないかとされてきた。「体調管理もあなたの仕事」「あなたのレベルが低いから」「あなたの根性が足りない」、という3つの言葉が従業員に過酷な労働と責任を押し付けるために使われてきたというのだが、告発が事実なら、舞台裏の現場ではそれ以上のパワハラ発言が横行していたことになる。

 こうした背景には、大きな権限を与えられたリーダーのさらに上からの圧力の問題や、立場の弱い従業員がそうした緊張感とストレスのはけ口にされている、という側面もある。

 日本型ホスピタリティ、おもてなしの代名詞のようにされてきたディズニーの臨時雇用者の使い捨てで成り立っている現実はどういったものなのか。裁判は秋から始まる。注目したい。

最終更新:2018.08.13 11:04

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