新潟知事選選で花角陣営の“女性蔑視”応援演説をごまかすために保守勢力と応援団が姑息なデマ攻撃

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花角英世公式サイトより

 6月10日に投開票日を迎える新潟県知事選挙。新人3人が立候補しており、自民・公明が支持する花角英世氏(前海上保安庁次長)と、立憲民主など野党5党が推薦する池田千賀子氏(前新潟県議)による事実上の一騎打ちという構図だ。マスコミ各社の情勢調査によれば、終盤戦において両候補は拮抗か「花角氏がややリード」とのデータが出ている。

 政局的には「安倍首相の総裁3選を占う一戦」とも言われているが、最大の争点は明確だ。原発再稼働に邁進している安倍政権のもと、新潟の柏崎刈羽原子力発電所をどうするのかに尽きる。

 池田氏は、選挙公約の第一に「“原発ゼロ”のにいがた」を掲げ、具体的には県民投票で是非を問うと約束。毎日新聞によるアンケートにも「不要」と断言している。一方の花角氏は、原発は前知事による「三つの検証」の結果を見極めるとの姿勢こそ見せているが、当選すれば、原発再稼働に踏み切る可能性は非常に高いといわれている。

 実際、毎日新聞のアンケートでも「将来的には原発に依存しない社会の実現を」などと書きながらも同時に「(原発が)ベースロード電源との、国の位置づけは承知」などと含みをもたせたり、また朝日新聞のアンケートでも柏崎刈羽原発の賛否を問う質問で池田候補が「反対」と明確に答えているのに対し花角候補は「どちらとも言えない」と濁している。全国紙政治部記者もこう冷ややかに評する。

「花角氏は旧運輸省で二階俊博・現幹事長の大臣秘書官も務めた人物で、明らかにバックには自民党がついている。しかも、花角氏は海上保安庁時代、自民党、安倍政権の意向にそって、沖縄の反基地運動に対して弾圧をしたり、ツイッターでネトウヨのアカウントを大量にフォローするなど、ゴリゴリの右派ですからね。住民の反対が強い案件については、当選するまでは旗幟を鮮明にせずに、当選した途端に一気に政権の意向を受けた政策を推進するという、これまでの自公候補の典型的なパターンになるでしょう」

 そういう意味では、新潟知事選は柏崎刈羽原発の再稼働を大きく左右することになるが、テレビや新聞などであまり話題にされていないこともあって、全国的には注目度がいまいちだ。地元の新聞記者は「いえ、新潟では注目されていますが」と前置きしつつ、「このままですと与党系候補が逃げ切る可能性は高い」と分析する。

「与党候補の花角陣営はやはり組織票がありますからね。花角候補を創価学会が支え、選挙戦で大きな役割を狙っていることはしばしば報道されていますが、もうひとつ、原発ムラも裏で相当に動いています。表立った動きは控えていますが、東京電力が社員や関係企業を通じて、強力に組織票を固めている。これまでの“脱原発系知事”に煮え湯を飲まされてきた東電としては、なんとしても花角氏を当選させて、柏崎再稼働を実現させたいんでしょう。県民世論調査では再稼働に反対が65パーセントと圧倒的ですが、無党派層の投票率が伸びなければ与党候補が競り勝つとみられます」

花角候補の応援演説「新潟県に女性の知事はいらない」発言はデマではない

 しかし、その花角候補陣営がいま、ナーバスになっているのが、女性差別問題だ。5月31日の魚沼市での街頭演説で、応援演説をした地元商工会の会長が「新潟県に女性の知事はいらない」と発言した問題だ。当然、「女性蔑視だ」という批判が集中した。

 もともと、この商工会長の発言は、現地を取材したフリーライター・畠山理仁氏が5月31日にTwitterでいち早く伝えたもの。ところが、これに花角氏の応援を自認するアカウントやネット右翼らが噛みつき「デマ言うな!」などと攻撃したのである。

 こうした根も葉もないバッシングを受け、畠山氏は2日、撮影した動画を自身のブログにアップ。そこには、商工会長と思われる人物(動画では匿名処理の配慮がなされている)が花角候補のとなりに立ち、このように演説する姿がおさめられていた。

「花角さん、経験すごく豊かです。副知事時代から商工会を、すごく応援してくれてます。新潟県には、女性の知事は、必要ないです。経験豊かな花角さんをひとつよろしくお願いいたしまして〇〇(引用者注:聞き取れず)にさせていただきます。お願いいたします!」

 間違いなく、花角氏の応援に駆けつけた商工会長が「新潟県には女性の知事は必要ない」と発言していたのだ。なお、花角氏はこの発言の直後に何か否定的な反応を見せるわけでもなく、笑顔で頭を下げていたことが確認できる。

 この商工会長の発言は、朝日新聞も3日付新潟版で伝え、日刊ゲンダイや「ハーバービジネスオンライン」など複数メディアも報じた。6日には商工会が「お詫び」と題した文書をホームページで公表。「新潟県商工政治連盟 堀之内支部長 (堀之内商工会長)」の肩書きで、〈結果として女性蔑視とも受け取られかねない表現となってしまったことに、心から反省すると共に、多くの皆様、そして花角陣営に、多大なご迷惑をおかけしたことにお詫びを申し上げる次第です〉などとした。

 ところが、発言が事実であることが客観的に明らかになって以降も、性懲りもなく一部でバッシングが続いている。

花角陣営目線であることを隠さず「女性蔑視応援演説」報道を攻撃するアゴラ

 たとえば、保守系ウェブサイト「アゴラ」は4日付で、「新潟知事選、下劣な花角氏へのネガキャンに開高健が泣き、産経も唖然?」と題した記事を公開。同サイトの新田哲史編集長が〈その事実が自身のウラ取りや選挙戦への影響を十分斟酌した末で提示した「事実」なのか〉〈「本音は池田候補を勝たせたいがための印象操作やネガティブキャンペーンを確信犯で行っている」という疑いがつきまとっても仕方がない〉などとがなりたて、畠山氏を個人攻撃したのである。

 はっきり言って、いちゃもん以外の何物でもない。そもそも、知事選候補者という公人の応援演説をした人物が「新潟県には女性の知事は必要ない」と発言したとの事実を伝えるのは、至極まっとうな報道行為である。有権者は候補者の表面的なプロフィールや公約だけを見ているわけではない。どういった人たちが支持・支援しているのか、それもまた社会の正当な関心事であり、その材料として応援演説での発言事実を提示することは、まさに報道に求められる公益性そのものだからだ。

 どうも「アゴラ」の記事を読む限り、そんな当たり前のこともわかっていないとしか思えないのだが、しかも笑えるのは、新田編集長がこんなことを述べて畠山氏を批判していることだ。

〈花角氏が本件をどう思っているかは知らないが、少なくとも応援にきてもらった陣営サイドとしては本意ではないようにみえる〉
〈花角候補本人にとって「ありがた迷惑」であろう発言を動画で拡散させ、そのマイナスの影響を考慮したようにはみえない〉

 一見、正論風に語っているが、「マイナスの影響」とか「ありがた迷惑」とか花角陣営目線の言葉を平気で使うなど、「アゴラ」こそが露骨に花角候補を応援していることがバレバレなのである。「アゴラ」がいったい何に忖度して花角陣営に入れ込んでいるのかはよくわからないが、とにかくこの過剰な反応を見ていると、花角陣営がいかにこの女性蔑視問題にナーバスになっているかがよくわかる。

 いずれにしても、新潟知事選は柏崎原発再稼働と安倍首相の総裁3選を左右する大きな節目になる。新潟の有権者はどうか選挙に関心をもって、投票所に足を運んでもらいたい。

最終更新:2018.06.07 08:29

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