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ASKA不起訴・釈放で警察の捜査ミスが明らかに! クロと決めつけASKAをいじり倒したマスコミも責任をとれ
YouTube『ANNnewsCH』より
さんざん大騒ぎしたマスコミはいったいどう責任をとるつもりなのか。覚せい剤を使用したとして2度目の逮捕をされていた歌手のASKAが一転、不起訴処分で釈放された。
ASKAはすでに19日午後7時10分頃、拘留されていた東京湾岸署から釈放されたが、詰め掛けた報道陣からの問いかけには、うなずくような仕草をみせたものの、憮然とし、無言で車に乗り込み走り去っている。さらに9時には自身のブログで〈無罪です。 様々なことは、また、改めて書かせていただきます。〉などと書き込んだ。
今回、不起訴理由として、任意提出されたASKAの“尿”について「本人の尿だと立証することが困難だったため」などと報じられているが、しかしこうした警視庁の釈明は不可解としかいいようがない。
そもそも、ASKAが逮捕されたのは、逮捕の3日前の11月25日、自ら「盗聴とか盗撮されている」という110番をしたことだった。この際、ASKAがろれつが回らない状態だったため、任意で尿を採取、その後の本鑑定を行ったところ陽性反応が出たことで逮捕に至った、とされた。
この際、警察官とASKAの妻がトイレのドアを開けて尿を採取する様子を背後から見て確認していた。ところが、尿は微量だったためすべてを鑑定のために使用。さらに採尿カップは破棄されてしまったという。そのため、覚せい剤の成分が検出された液体が尿なのか、ASKAが供述した「あらかじめ用意しておいたお茶を尿の代わりに採尿カップに入れた」ものなのかどうか鑑定できず、この供述を覆すことができなかった。また逮捕から時間が経ってしまったことで尿の再度の採取、鑑定は行われず、今回の不起訴、釈放となったという(産経ニュース)。
たしかに今回、逮捕の決め手となったASKAの尿から検出されたアンフェタミンについては、尿鑑定で検出されるのは1〜3日間といわれる。しかし逮捕した以上、当然、毛髪検査をやっているはずで、毛髪検査は約90日前の使用でも検出されるといわれている。起訴できなかったというのは、つまり毛髪検査ではシロだったということではないのか。
ところが、警視庁はマスコミに対し「すでに釈放されていて、プライバシーに関わることなので、回答は控える」などと、毛髪鑑定の有無さえ“隠蔽”してしまった。
ASKA自身、逮捕前から「陽性は、ありません。100%ありません」と主張し、さらに逮捕後も「事実に反します。1回目の逮捕のあと、薬は見ていません。絶対やっていません」と一貫して容疑を否認。また警察が自宅や滞在先のホテルを捜索し、携帯電話やタブレット端末まで押収したにもかかわらず、覚せい剤という“ブツ”だけでなく、注射などの覚せい剤に関係する道具さえ一切見つからなかった。
加えて1度目の逮捕の際、ともに逮捕された元愛人の覚せい剤に関する警察の鑑定も疑惑に満ちたものだった。元愛人は逮捕直後から一貫して容疑を否認したが、1回目の毛髪鑑定で陽性反応が出る。ところが2度目に行われた毛髪鑑定ではなぜか陰性が出たのだ。白黒が分かれた鑑定結果だったが、「1回でも陽性反応が出ればクロ」として、最後まで3回目の鑑定を行うことはなかった。
そう考えると、今回のケースでは、そもそも微量の尿による本鑑定の陽性反応という結果さえ怪しいものであり、ASKAの2度目の逮捕ははっきり言って警視庁組織犯罪対策部5課による冤罪事件、誤認逮捕だ。
今後、警察の捜査に対する検証が必要だし、またその責任を大きく問う必要がある。だが本サイトでもASKA逮捕前から疑問を呈してきたが、これまで“むちゃくちゃな”な報道を繰り広げたマスコミもまた、ASKA不起訴に対し、どう責任をとり、落とし前をつけるつもりなのか。
実際、今回のASKA報道は逮捕前から異様としかいいようがないものだった。テレビ各局は先月28日午後2時半頃、逮捕状すら出てない段階にもかかわらず、警視庁のリークに乗っかって「ASKA元被告 逮捕へ」と一斉に報道。当のASKAが自分のブログで逮捕も覚せい剤の陽性反応も完全否定したが、ASKAの自宅前にマスコミが集結。午後10時前に警視庁に身柄確保の瞬間まで、あらゆるメディアで実況中継されるという事態に発展したのだ。
その後もASKAが事実関係を否定し、物的証拠も出ていないのに、ASKAの言動をすべて覚せい剤中毒に結びつけ、あることないことを暴き立てた。不起訴の原因となった尿鑑定にしても「警視庁科学捜査研究所の本鑑定の精度は100%」などと警察の尾尻に乗って“クロ”の報道を繰り返した。そこには推定無罪という近代法の基本原則すらない。
取材のやり方もルール無視のひどいものだった。フジテレビに至っては、ASKAが逮捕前に乗ったタクシーのドライブレコーダーを、タクシー会社から“強奪”した。また、ブログが異様だなどととりあげて、“おかしい言動を繰り返すASKAの逮捕前の様子”を見世物にしようとしただけだ。事件を煽り、視聴率を稼ぐために、である。
こうした事態に、一部でワイドショーに対する批判も巻き起こったが、しかし『スッキリ!!』(日本テレビ)の加藤浩次は「ああいう犯罪に手を染めてる人間だから、レコーダーを公開したってもいいんだ」と嘯いた。
また『情報ライブ ミヤネ屋』(読売テレビ)では、ASKAが芸能レポーターの井上公造に送っていた未発表曲のデモテープを許可なく放送。番組終了後には、その井上に逮捕約5時間前のASKAの携帯電話に直接連絡させ、引き継いだ宮根誠司が巧妙に話を聞き出し、それをそのまま翌日29日の放送で「独占スクープ ASKA容疑者逮捕直前の激白」と題して流した。
これら一連の報道は警察と、それに無批判に乗っかるマスコミの危うい体質を浮き彫りにしたものであり、薬物依存に対して間違えた認識を植え付けるものだ。
これもまた本サイトで度々指摘していることだが、薬物依存症は欧米ではすでに犯罪ではなく病気として対応するのが主流になってきている。そしてASKAがこれまでブログなどで主張してきた、盗聴・盗撮集団や秘密結社によるストーカー被害などの言動のおかしさは、薬に起因する疾患、あるいは持病の併発の可能性が高い。
しかし、ワイドショーは覚せい剤依存を「重大犯罪」のようにただひたすら糾弾し、異物として排除しようとする。さらに依存に苦しむASKAをおもちゃのようにイジり、見世物にして、嘲笑する。これはASKAだけでなく、すべての薬物依存者にとって更生を阻害するもので、また社会にとって害悪とさえいえる。
おそらく明日のワイドショーは朝からASKA不起訴を大々的に報じるだろう。しかしその内容は、自身のこれまでのデタラメ報道を反省するものではなく、「誤認逮捕とは思っていない」という警視庁の言い訳を批判することなく垂れ流すものになるはずだ。そして「尿をすりかえた」「わざと微量しか尿を提出しなかった」などとさらにASKAを攻撃することで、言い訳に始終するにちがいない。
いまさらこの国のワイドショーに期待などするつもりはないが、それにしても権力にへつらい、本質を歪め、弱者を叩くその姿勢は、うんざりするばかりだ。
(伊勢崎馨)
最終更新:2017.11.12 03:44
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