産経、読売、フジテレビの女性議員“セクハラ作戦”報道はデマだ! 糾弾すべきは、自民党の女性国会職員に対するパワハラ行為

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
tujimoto_150917_top.jpg
辻元清美WEBより


 ついに安保法制が特別委員会で可決され、参院本会議に持ち込まれることとなった。しかし委員会採決は、与党がどさくさに紛れて勝手に断行、議事録に何が行われたのかさえ記録されていない異常な採決だった。

 本会議では与野党の攻防はさらに激しさを増すと思われるが、昨夜の委員会採決を阻んだのは、野党の強い抵抗があったからだ。だが、そのなかで、野党の女性議員たちが鴻池祥肇・参院委員長を室内から出さないよう理事会室前で行ったバリケード作戦が、いま、批判に晒されている。

 というのも、女性議員たちは彼女たちを排除しようとした与党男性議員たちに「触るな、セクハラだ!」と抵抗したといい、これに対して「女を使うのはずるい」「女を利用している」「ヒステリーだ」「セクハラ冤罪なのでは?」と大きな非難が巻き起こっているのだ。

 この件を伝えている産経新聞では、〈理事会室前には、社民党の福島瑞穂前党首や民主党の小宮山泰子、辻元清美両衆院議員ら複数の野党女性議員が、いずれもピンクのハチマキ姿で集結。与党の男性議員が触れるたびに「セクハラを働いた」などと騒いでいる〉と書かれている。

 同様に読売新聞は〈民主党などの野党は(中略)女性議員を「盾」にするなど、なりふり構わぬ抵抗を繰り広げた〉とし、〈与党議員が封鎖を解除しようとすると、「セクハラだ。懲罰だ」などと絶叫した〉と伝えた。

 はたして、ほんとうに女性議員たちは「セクハラ」と騒ぎ立てたのか。そこで女性議員たちの事務所に確認してみたが、辻元清美議員の事務所は「現場はかなりの混乱状態にあってもみくちゃにはなりましたが、辻元は『セクハラ』とは言っていません。また、少なくとも辻元があそこにいた時間帯に、そのような発言をした人はいませんでした。あの場にいた女性議員全員がセクハラとずっと騒ぎ続けていたかのような報道は明らかにミスリードです」と回答した(他の議員にも取材を行ったが、委員会出席や攻防の最中の時間帯であったため、この原稿には回答を掲載することができなかった)。

 また、「その場に居合わせた」という大手新聞社政治部記者にも話を聞いてみたが、「『女性の声を聞け!』という言葉は聞いたけど、セクハラだ、などの声は聞いていません」と言う。

「でも、昨日はものすごく混乱していたので、どこかで誰かがそう言った可能性は否定できません。ただ、みんなして『セクハラだ』などと叫んだりはしてない。だって、福島瑞穂さんみたいによく声が通る人が叫んでいたら、それはさすがに気付くと思うから(笑)。基本的にはみんな安保法案に対する反対や強行採決への抗議を口にしていましたよ」

「セクハラ」発言が起こったかどうかは不明だが、少なくとも女性議員たちが口々に「セクハラ」とがなり立てていたということはなさそうだ。産経と読売がこれまでも一貫して安倍政権擁護、野党批判を行ってきた経緯を鑑みても、かなり誇張して記事にし、女性議員批判を煽っているというのが真相だろう。とくに大多数のメディアや世間は、怒りの声をあげる女性を「跳ね上がりだ」と徹底して嫌う。そうした女性嫌悪の心理を当て込んで、あるいは記者自身の感情から、「セクハラ」攻防がミスリードされていったのだろう。実際、このミスリードが効いたのか、ネット上では女性議員たちに対する批判の声が圧倒的だ。

 しかも、今回、抗議を行った「怒れる女性議員の会」は、野党の超党派からなる団体だ。彼女たちは垣根を越えて自分たちから手を結び、立ち上がった。その目的はもちろん、民意を無視し、説明もろくになされていない安保法案を数の力で採決しようとする暴挙を食い止めるためだ。「野党は正しい議会運営を行う義務を放棄している!」と怒る人たちもいるが、それは大きな間違いで、この穴だらけの法案を押し通すことこそが議会を軽視した、民主主義に反する行為なのである。

 それでなくても、国会においては、女性議員の数は男性にくらべて圧倒的に少ない。そんななかで女性たちが徒党を組んでも何もおかしな話ではないが、産経や読売は“野党は女をバリケードに使うなんて卑怯だ”と論陣を張る。すなわち、野党の男たちは女を利用している、と言いたいのだ。

 しかし、「女を利用」したのは、むしろ与党のほうだ。この「怒れる女性議員の会」を排除するために、山崎正昭参院議長は女性の衛視を送りこんできた。衛視というのは議院の警務を担当する職員のこと。野党の女性議員たちのボルテージがもっとも上がったのも、この女性衛視が投入されたときだったという。

「現場は本当にもみくちゃ状態でかなり危険だった。危険な現場とわかっていながら、あえて女性の衛視を送り込んできたことに、女性議員たちから強い抗議の声があがっていました」(前出・政治部記者)

 このとき、民主党の小宮山泰子衆院議員が「女を利用するな! こんな時だけ女性を前に出して。こうやって女を使うんだな、今の政権は」などと抗議したことは、産経新聞も報じている。だが、この抗議に対しても、ネット上では「女性を利用しているのは、あんたらだ!」「どっちが女を利用してるんだ」「ブーメラン」など非難の声が浴びせられている。これはネットだけではなく、実際に現場でも「自民党議員は『女を使ってるのは、お前らだろう!』と言い放っていました」(前出・政治部記者)と証言する。

 しかし、考えてみてほしい。自分たちの意志で集まった女性議員たちと、議長からの命令で強制的に投入された女性職員。これはまったく意味がちがう。職員たちは命令には従わざるを得ないわけで、文字通り「女性を利用」したのである。セクハラどころかパワハラと言ってもいい悪質な行為だ。このパワハラ行為に女性議員たちがもっともヒートアップしたというのは、当然の話だろう。

 しかし、メディアは自主的に集まった女性議員たちの抗議を“野党の姑息な手口”だと誘導しても、一方の与党が命令して女性職員を強制的に投入したことを“女性を利用している”とは決して指摘しない。

 そしてもうひとつ、言及しておきたいのは、彼女たちがバリケードを張った相手である鴻池参院委員長による“セクハラ発言”についてだ。

 今週発売の「週刊ポスト」(小学館)によれば、鴻池参院委員長は今月9月2日に開かれたオフレコの懇談会で、記者たちを前にしてワイン片手にこんな話を披露したという。

「蓮舫あれはいい女や〜」
「(強行採決で蓮舫が詰め寄ってきたら)抱きしめちゃう」
「(福島瑞穂は)総理に質問しているのに、委員長の俺の目を見ている。俺のことが好きなのか?」

 女性議員たちは、国会において社会の問題を提議するため、母として、仕事をする女性として発言することがある。あるいは社会的弱者の女性たちの声を届けるため、「同じ女性として」と言葉にすることもある。だが、それは女性という立場を「利用」しているわけではない。安保法制についての議論でも、彼女たちは一議員として疑義を呈してきた。なのに、鴻池参院委員長の発言からは、結局、女性議員を性的な存在としてしか扱っていないことが伝わってくる。

 今回の女性議員たちの自発的な行動は「女を利用した」ものではないと考えるが、もしそうだとしても、このように一議員としてではなく性的な女としてしか取り合わない男性議員に対して、戦略的に女として対抗して何が悪いというのだろうか。

 本サイトは、野党女性議員たちの行動を支持するし、民主主義をないがしろにする政治に抵抗した行動を“女のヒステリー”にすり替えようとする産経、読売などの卑怯な報道には断固抗議したい。ヒステリーを起こしているのは、あなたたちが書き綴った記事のほうだ。
(水井多賀子)

最終更新:2015.09.18 10:28

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

家父長制と資本制―マルクス主義フェミニズムの地平 (岩波現代文庫)

  • amazonの詳細ページへ

新着 芸能・エンタメ スキャンダル ビジネス 社会 カルチャー くらし

産経、読売、フジテレビの女性議員“セクハラ作戦”報道はデマだ! 糾弾すべきは、自民党の女性国会職員に対するパワハラ行為のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。マスコミ水井多賀子の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 ジャニー社長の容体巡るジャニーズ事務所の情報統制の裏
2 三原じゅん子の演説がカルトすぎる!
3 中華料理チェーンを不当解雇され訴えたら…
4 安倍首相が辛坊治郎の番組で“参院選の事前運動”!
5 秋篠宮家の料理番がブラック告発
6 葵つかさが「松潤とは終わった」と
7 恵俊彰が田崎史郎を「政権の代弁者」と
8 吉本興業会長が沖縄米軍基地跡地利用の有識者懇メンバーに
9 堀江貴文が「デモの絵面がヤダ」「税金泥棒は捨て台詞」
10 東山紀之が“反ヘイト本”を出版
11 テレ朝が政権批判した経済部長を報道局外し
12 ジャニーさん“緊急入院”でマスコミは病院に詰めかけたが…
13 DT浜ちゃんの息子がシティボーイ!?
14 マツコ「安倍首相は馬鹿」にネトウヨが
15 堀江貴文「税金泥棒」発言で晒した年金問題への無知と頭の悪さ
16 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
17 交番襲撃“父親が関テレ常務”より「元自衛官」
18 「週刊文春」に公選法違反を報道された和田政宗が被害妄想丸出し反論
19 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
20 拍手・起立を井筒監督と松尾貴史が批判
1 安倍首相と省庁幹部の面談記録が一切作成されなくなった!
2 くりぃむ上田晋也が“政権批判NG”に敢然と反論
3 金融庁報告書で厚労省年金局課長の驚愕無責任発言
4 産経新聞コラムが「引きこもりは自衛隊に入隊させて鍛え直せ」
5 安倍首相が「老後2000万円」追及に逆ギレ!
6 菅官房長官が望月衣塑子記者への“質問妨害”を復活
7 金融庁「年金下がるから資産運用」報告書で麻生太郎が開き直り!
8 F35捜索打ち切りと大量購入続行でNHKが「背景に政治性」と報道
9 金融庁炎上の裏で安倍政権が「年金」の“不都合な事実”を隠蔽!
10 防衛省イージス・アショア失態 、玉川徹が原因を喝破!
11 長谷川豊が部落差別発言「謝罪文は馬場幹事長が作った」
12 講談社「ViVi」の自民党広告は公選法違反か!
13 映画『主戦場』上映中止要求の右派論客に監督が徹底反論!
14 渡辺謙が語った『ゴジラ』出演と震災、原発、戦争
15 マンガ『スシローと不愉快な仲間たち』第1話
16 田崎史郎「65歳から年金もらってます」
17 川崎殺傷事件「不良品」発言こそ松本人志の本質だ!
18 香港市民はデモの力示したが、日本は…
19 松本人志が「不良品」発言問題で謝罪も説明もなし!
20 農水元次官子ども殺害正当化は、橋下徹、竹田恒泰、坂上忍も

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄