サザン桑田が新アルバムで反日バッシング対策!? 週刊誌にもコラボ企画でPR予算バラマキ

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ローソンで無料配布された「スペシャルマガジン 総力特集 サザンオールスターズ『葡萄』」

 今年3月31日に10年振りとなるアルバム『葡萄』(ビクターエンタテインメント)を発売したサザンオールスターズ。しかし、同作をめぐってはある疑惑がささやかれている。それは、このアルバムが例の“反日バッシング”対策でつくられたのではないか、という疑惑だ。

 周知のように、桑田佳祐は昨年末の紅白歌合戦で「ピースとハイライト」を披露し、大炎上した。歌詞が安倍政権批判だ、桑田のちょび髭姿がヒトラーを連想させる、としてネット上では「桑田は反日だ!」とネトウヨが大反発。また、これは横浜アリーナで行われていた年越しライブからの中継だったが、背後のスクリーンに映し出された日の丸にバツ印がついていたことや紫綬褒章をポケットから取り出したことにも非難が集中し、右翼系団体がサザンの所属事務所前に街宣車で乗りつけ、抗議活動を行う事態に発展した。

 正月明けになっても騒動は収まらず、週刊誌やスポーツ紙もこぞってバッシング報道を展開。1月15日には、桑田圭祐と所属事務所アミューズ名で謝罪文を発表している。

 そして、新アルバム『葡萄』にはどうやら、こうしたバッシングへの対策、貼り付けられた「反日」「国賊」というレッテルを払拭する意図が込められているようなのだ。

 そのひとつの表れが、アルバムに収録されている「Missing Persons」という曲だ。この曲は、北朝鮮による拉致問題をテーマにしており、《後が無いのは向こうさ 瀬戸際の状況さ》《愛しい人よ 今 逆転勝利へ》などの歌詞が盛り込まれ、《Megumi,Come back home to me.》と、拉致被害者の象徴的存在である横田めぐみさんの名前を歌い上げている。

 ──言わずもがな、拉致問題は安倍晋三首相のライフワークで、最大の看板にしている政治課題。そんなところから、桑田は“反日ではなく愛国者”“安倍首相支持者”であることをアピールする目的でこの楽曲をアルバムに入れたのではないか、と言われているのだ。

 実際、桑田はメッセージソングをいくつもつくっているが、これまでの曲に比べると、「Missing Persons」はあまりにも直接的だ。たんに拉致問題をテーマにしているだけでなく《後が無いのは向こうさ 瀬戸際の状況さ》など、安倍首相がしばしば口にしてきた主張をなぞるような歌詞、また、インタビューでも「2002年に拉致問題が認められて以来、なかなか状況は進展していない」「ご家族の帰りを待つ方々の気持ちを思えば、歯痒いなんて言葉では済まないと思うんです」(スイッチ・パブリッシング「SWITCH」Vol.33 )と、これでもかというくらいに拉致問題への思いをアピールしている。

「あのバッシング騒動が起きて、桑田さんは大きなショックを受けていました。右翼から抗議を受けたこともあって、かなり追いつめられ、アミューズとビクターは社をあげて必死で対策に走り回っていた。『Missing Persons』はその対策の目玉のひとつでしょう。『葡萄』の制作は昨年から始まっていましたが、今年になって急遽この曲がアルバムのメインになったという話もあります。実際、プロモーションでも『Missing Persons』を前面に押し出していますから」(ビクター関係者)

 さらにもうひとつ、桑田サイドはこの新アルバム発売にあわせて、露骨なバッシング対策を行っている。それは4月24日からローソンで無料配布された「スペシャルマガジン 総力特集 サザンオールスターズ『葡萄』」というPRマガジンだ。

 36ページからなるこのフリーペーパー、開いてみると「週刊文春」(文藝春秋)「週刊現代」(講談社)「週刊ポスト」(小学館)「週刊プレイボーイ」(集英社)「週刊SPA!」(扶桑社)という5つの週刊誌が4ページずつを受けもち、それぞれ『葡萄』の中の1曲をテーマに特集を展開している。いわば、“週刊誌の出張版フリペ”という体裁だ。

 また、それぞれの週刊誌の誌面でもこのフリペと『葡萄』の紹介記事がでかでかと掲載されており、ようするに、『葡萄』のプロモーションが週刊誌とのコラボレーションで大々的に行われているのである。

「これらの週刊誌には一誌当たり数百万円から1千万円の金が支払われているようです。サザンのプロモーション予算は億単位で、通常は映像にいちばん金をかける。しかし、今回はこの企画にもっともお金を使っているんじゃないでしょうか」(同)

 いったいなぜ週刊誌なのか。このコラボ企画について、PR記事を掲載した「女性セブン」(小学館)では、「桑田さんは毎週記事をチェックしているほど大の雑誌好きだそうです」という事務所関係者のコメントを紹介し、「今回の新アルバムはとくにピュアなラブソングから時事問題まで歌っていて、“なんだか週刊誌みたいなアルバムだな~”と話していてスタッフがこの企画を思いついたそうです」としているが、「週刊誌みたいなアルバムだから」というのはちょっと苦しすぎる言い訳だろう。

 そう。すでにお察しだと思うが、この企画は、桑田がこれ以上、週刊誌からバッシングを受けないように、所属事務所のアミューズが仕掛けたものなのだ。

「1月の終わりか2月のはじめごろ、アミューズのマスコミ担当幹部のN氏から各週刊誌にアプローチがあったようです。かなりストレートに『バッシングで困っている。助けてほしい』という要請だったようですよ。もちろん、週刊誌の側も売れ行き、広告出稿が激減している状況ですから、喉から手が出るほどありがたい企画で、ほとんどの週刊誌はこのオファーを一も二もなく受けたようです。断ったのは『週刊新潮』だけらしいですね。ただ、バッシングが起きてからもち上がった話だったため、アルバムの発売には間に合わず、1カ月遅れの配布になってしまったんですが……」(大手出版社社員)

 当然、フリペの内容もかなり露骨だ。巻頭では桑田と昵懇の音楽評論家・渋谷陽一が「ピースとハイライト」を〈歌のテーマに優劣はない。世界平和を祈る歌も、女とやりたいという歌も、そのテーマにおいて同等である〉と全面擁護。「Missing Persons」を取り上げた「週刊文春」では、横田めぐみさんの両親である横田滋・早紀江夫妻にこの曲を聴いてもらい、「この曲で桑田さんが歌われているように、有名な方が拉致問題のことを歌ってくれたら……と昔から思っていました。ですから、今ようやくその願いが叶った気がします」という感想を引き出している。

「もっとも影響力がある『文春』に『Missing Persons』を振るってあたりが露骨だなと思いますよね。もともと『文春』は、闘病後に復活した際も独占密着取材を行ったりとサザンと関係は深いですが、『文春』のイケイケ路線を考えるといつ寝返るかわからない。でも、これで関係は盤石。『文春』に限らず、『ポスト』や『現代』も、しばらくはサザンのバッシング記事を掲載しないでしょうね」(前出・大手出版社社員)

 実際、このプロジェクトがもち込まれた2月以降、桑田の紅白パフォーマンスに関する批判記事は週刊誌から完全に姿を消してしまった。

 金をばらまいて自分への批判を押さえ込もうとするアーティストと、その金を嬉々として受けとり、一転してヨイショ記事を書き始めるメディア……。なんともうんざりするような話だが、もっと暗澹とさせられるのは、あの程度のパフォーマンスでこうした裏工作までせざるをえない日本の芸能界の構造と言論状況だ。

 桑田は今回の紅白以前から、安倍政権に対してはかなり批判的な姿勢をとっていた。2009年には『桑田佳祐の音楽寅さん〜MUSIC TIGER〜』(フジテレビ系)でビートルズの「The End」の空耳カバーとして《安倍 安倍 永遠次年度トラブって 美しい国 夢》というようなフレーズを歌ったこともある。

 それが今回、前述した「SWITCH」のインタビューではわざわざこんな弁明をしている。

「僕には何か特定の主義もなければ思想もありませんし、右でも左でもリベラリストでもなけりゃ聖人君子でもない」

 おそらく桑田が言うように、彼自身にはなんの思想もない。しかし、欧米なら思想のないアーティストが軽い気持ちで政権批判をしたところでなんの問題にもならないだろう。政権批判に覚悟や思想を要求されるということ自体がこの国の「表現の不自由」を物語っている。
(田部祥太)

最終更新:2018.10.18 04:06

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