出馬表明の石原慎太郎がアメリカのスパイに操られているとの告発本が

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石原慎太郎公式サイト「戦線布告.net」より


 やっぱり出るのか。一旦は「肉体的な条件もあり、迷惑をかけてはいけない」と引退を示唆していた石原慎太郎が、結局、いつもの後だしじゃんけんで出馬を表明した。

 昨年、脳梗塞で倒れたため、健康不安説もささやかれ、「次世代の党」議席確保のためのお飾り出馬ともいわれているが、本人は意気軒昂。選挙の結果や改憲に向けた動きによっては、再び石原が政局のキーマンになる可能性もゼロではないだろう。

 そんな石原慎太郎だが、なんと“アメリカのスパイに操られている”という仰天すべき告発があるのをご存知だろうか。

 告発したのは元外務省官僚の孫崎亨。近年は評論家として日本外交について舌鋒鋭い批判を繰り広げているが、外務省ではソ連や米国大使館勤務を経て、主に情報分析畑を歩き、国際情報局長という要職にのぼりつめた人物だ。そんな孫崎が、尖閣諸島をテーマにしたノンフィクションノベル『小説外務省 尖閣問題の正体』(現代書館)を上梓し、その中で石原とアメリカとの密接な関係を暴いているという。一体どういうことか。

 2012年、東京都知事だった石原は突如、都で尖閣諸島の一部を買い取るという計画をぶちあげた。当時の民主党政権と外務省は追い込まれる形で国有化。これが、現在の日中関係悪化の最大の原因になった。

 石原の行動は当時、右派から「尖閣という領土を中国に侵犯されないために、動きの鈍い国のかわりに立ち上がった」とヒーロー扱いされたが、同書によると、石原の「尖閣購入」発言の裏には米国による巧妙に仕掛けがあったというのだ。

「東京都はあの尖閣諸島を買います。買うことにしました」

 石原が最初にこう発言したのは2012年4月16日、米国の研究所「ヘリテージ財団」主催のシンポジウムで講演した際のことだった。孫崎はその「ヘリテージ財団」の存在が“鍵”だという。

「ヘリテージ財団は単なる研究所ではない。スパイ活動と関係しているのだ」
「ヘリテージ財団は共和党系で最も力の強い研究所である。軍の増強を強く主張する研究所でもある」
「米国諜報機関のCIAや軍諜報機関のDIAを経験した者が勤務している」

 ヘリテージ財団は米国右派の拠点であり、非合法のスパイ活動も支援するという諜報機関の巣窟だというのだ。

 だが、一方の石原はというと、著書『「NO」と言える日本』(光文社)でも明らかなように、対アメリカ強硬論者として知られている政治家だ。その石原が“敵”の、しかも”スパイ”の拠点で「尖閣国有化」をブチ上げただけでも驚きだが、さらに驚くのはこの講演には仕掛け人が存在したことだ。

「米国国務省と石原知事の間を取り持ったのがメイ教授である」

 現在、スタンフォード大学名誉教授だという”メイ“は1972年、早稲田大学政経学部のリサーチ・アシスタントとして来日した。メイは流暢な日本語を話せたこともあり次第に日本社会の中心部に食い込んでいく。そして「日本の首相に会おうと思えばいつでも会える」立場を築いていったという。そんなメイに目を付けたのが米国諜報機関だった。

「米国の諜報機関がこうしたメイを放置しておくわけがない。彼はCIAと密接な関係を持ち始めた」

 いわばメイは“米国のスパイ”になったわけだが、そんなメイと親密になり、それを自慢しているのが他ならぬ石原だった。ある時メイは石原にヘリテージ財団での講演を提案する。

「(講演で)中国に対して厳しい発言をすれば、米国の保守系から大歓迎される」
「何か厳しい処置を具体的にとれれば、それほど素晴らしいことはない」

 石原の性格や“懐柔策”をメイは熟知していた。

「彼ほど評判と実体とが異なる政治家も珍しい。石原は一九八九年、ソニーの盛田昭夫会長と共に『「NO」と言える日本──新日米関係の方策』(光文社)を出版した。これで多くの人は対米強硬派と思っている。しかし実際は米国の評価を実に気にしている」
「彼には米国での評判が高くなる方法を教えればいい」
「自尊心をくすぐればよい」。

 メイにとって「最も操作しやすい」政治家こそ石原慎太郎だったのだ。

 こうして石原は米国諜報機関の思惑通り、ヘリテージ財団で講演を行い、「尖閣の購入」を表明する。これは当然、中国の反感を買ったが、そのことは同時に、日中関係の緊張を望むアメリカ保守派にとって「予想以上の成果」をあげたという。

 また、孫崎は石原の思惑についても、こう書いている。

「石原はいまだに国政の場での復帰を模索していた。それも首相としてである」「『自分が首相になるにせよ、息子(伸晃)が首相になるにせよ、米国の支援が必要だ』と思っている」

 もちろん、本書は小説と銘打ったものでこれだけで「石原がアメリカに操られている」と断定するのは無理があるだろう。また、著者の孫崎はこれまで「総理の首がすげ替えられる背後にはアメリカの謀略があった」「原発再稼働など一見アメリカと無関係に見える問題も、深い影響力が働いている」と多くの事象に“アメリカの謀略”を主張する人物でもある。

 そんな背景を考慮しつつも、しかし今回の『小説外務省 尖閣問題の正体』では、登場人物や事象も実際に起こったことがほぼ実名で書かれておりまた孫崎自身「尖閣問題をめぐる”真実”を書きました」と述べてもいる。そして何より、石原が最初に尖閣の購入をぶちあげた場がヘリテージ財団の講演だったというのはまぎれもない事実なのだ。

 しかも、石原がアメリカのスパイに操られていようがいまいが、この政治家の危険性に変わりはない。

 もともとタカ派的なスタンスで知られてきた石原だが、ここにきて戦争への欲望がより露骨になり、この夏には「週刊現代」(8月9日号)で、今の野望は何か、と聞かれて「支那(中国)と戦争して勝つこと」とまで口にした。こういう人物が安倍政権とドッキングして改憲に走る、なんてことのないよう願いたいものだが……。
(伊勢崎馨)

最終更新:2015.01.19 04:11

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