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新元号「令和」への官邸誘導はやっぱりあった! マスコミが報じない有識者懇談会、衆参両院正副議長意見聴取の内幕
新元号発表後の首相会見(首相官邸HPより)
本サイトで繰り返し指摘しているように、4月1日に決まった新元号「令和」の決定経緯はまさに「官邸の私物化」といえる代物だったようだ。安倍晋三首相が「万葉集」を典拠にした点に執拗にこだわり、「国書から初めて引用した」と自画自賛した笑み満面の会見を見るにつけ、この政権が新元号の制定を政権浮揚のために利用したことは歴然としている。
実際、決定直後の各社世論調査をみると、「新元号に好感を持っている」と回答したのは73%(共同通信)~62%(読売新聞)と高い数字をはじき出している。ついで尋ねた内閣支持率も、共同通信の調査では前回(3月)に比べて9.5ポイントも上回る52.8%へと急上昇した。
「あれほど安倍政権に批判的だった新聞まで改元を前に旗を降ろしてしまい、政権批判の鳴りはピタリとやんでしまった。まさに安倍政権のシナリオ通りだったということでしょう」(全国紙社会部記者)
しかも、ここにきて、新元号「令和」決定過程の疑惑も明らかになっている。安倍首相の会見やNHK岩田明子記者ら安倍応援団などの解説などから、「令和」が安倍首相や官邸主導であらかじめ決められていたのではないかという疑惑は根強く囁かれていたが、共同通信が3日の朝刊向けに、官邸の誘導を示唆する記事を配信したのだ。
記事は、前回の「平成」が決まる際、誘導があったという当時の元号担当・的場順三元内閣内政審議室長の言葉を紹介したうえ、今回、政府が誘導性を排除する狙いから、近現代の元号の頭文字「M(明治)」「T(大正)」「S(昭和)」「H(平成)となっている案を除外したと書いている。
また、有識者懇談会などで配布した原案書(A3判1枚)には、6案が「英弘(えいこう)」から五十音順に並べられ、「令和」は最後に記載されていたことを紹介。「結論ありきと疑われる要素は極力排除した」という政府証言を引用した。
ここまで読めば、安倍政権の“無罪”を立証するような内容なのだが、注目すべきは、その後の官邸内の様子を描いたくだり。
官邸では、「広至(こうし)」は「字画は良いが書きづらい」、「万和(ばんな)」「万保(ばんぽう)」は「子どもには読みづらい」と指摘される一方で、「令和」については、新春の梅を描いた万葉集を典拠として「情景が浮かぶ」といった賛同の声が官邸内で相次ぎ、本命視されていたというのだ。この「情景が目に浮かぶ」というのはまさに、安倍首相が決定後に会見やテレビで説明した言葉と同じ表現だ。共同ははっきり書いていないが、どうやら新元号を「令和」にすることは、官邸内であらかじめ決定されていたらしい。
実際、この共同の記事を受けて、元号選定に詳しい関係者を取材したところ、こんな内幕を明かしてくれた。
「共同の記事が書いている官邸内の評価そのものが有識者懇談会で伝えられた可能性は高い。それに6案のなかにある『万和』と『万保』みたいに同じ漢字を使った元号案が含まれているのもおかしな話。万の字を好むメンバーの賛成票を散らすことになってしまうからね。それだけ巧みな誘導がおこなわれたにもかかわらず、懇談会のメンバーから『令和』以外の案を推す意見も実際出たんだ。そうしたら、同席していた官邸の事務方が『一般の人名や会社名で使われている』とマイナスの要素を説明したらしい」
これは、明らかに、官邸が有識者懇談会を誘導したということではないか。実際、有識者懇談会のメンバーからも、そのことを示唆する発言が出てきている。民放連会長の大久保好男・日本テレビ社長が「事前に候補を教えてもらったわけでもなく、準備できなかった。感想のようなものを述べたにとどまる」と懇談会が事後承認の機関に過ぎなかったことを認めたのだ。
官邸の強引なやり方に赤松広隆・衆院副議長が激怒! 意見聴取で「令和」への異論も
新元号をめぐる安倍政権の強引な姿勢は、有識者懇談会に対してだけではない。その後の手続きでも露わになった。有識者懇談会が終わると、新元号案について衆参両院の正副議長への意見聴取をおこなうが、そのやり方をめぐって、衆院の赤松広隆副議長が激怒したのだという。
「官邸側は当初、新元号に関する衆参両院の正副議長への意見聴取を、国会内でおこなうことにこだわっていた。そして『発表までおとどまりいただきます。携帯電話は預からせていただきます』と書いた文書を正副議長に通知したんです。これに対し、国会は国権の最高機関であるとして赤松氏が猛反発。菅官房長官がなだめようと何度も電話をかけても赤松氏は携帯電話に一切出なかったほど。結局、衆院議長公邸で意見聴取がおこなわれたのですが、その後も赤松氏の怒りは収まらず、『安倍の安の字が元号に入っていたら絶対反対する』と周囲に話していました」(全国紙政治部デスク)
結局、「安」の字は元号に入っていなかったものの、前出の関係者によれば、「令和」についても、「令」の字が「政府による国民や立法府への命令をイメージさせ、新元号に上意下達の印象を与える」という趣旨の見解が意見聴取の際に示されたという。
ところが、こうした異論の存在は一切公にされず、まるで「令和」が国民総意の決定であるかのような世論づくりがおこなわれ、その結果、安倍政権は冒頭で説明したような政権浮揚にまんまと成功したというわけだ。全国紙社会部記者がため息交じりに語る。
「マスコミはその政権浮揚に完全に手を貸したかたちになりましたね。新聞・テレビは新元号が決まるまで特集記事や特番を組みながらカウントダウンし、国民的イベントを演出。その仕上げとして、決定後、安倍首相を出演させ、PRを垂れ流したわけですから」
いまからでも遅くはないだろう。政権浮揚に担がれたマスコミは、その元号決定までの経緯を子細に検証し、いかに政治的な産物だったかを白日の下に晒すのがせめてもの責務ではないか。
(編集部)
最終更新:2019.04.04 07:04
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