「侮辱罪の刑罰強化」の目的は政権批判封じ=ロシア化だ! 自民党PT座長の三原じゅん子は「政治家にも口汚い言葉は許されない」

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

世界の流れに逆行する厳罰化の真意 自民党が狙うロシアと同じ「言論弾圧できる体制」

 いや、それだけではない。このまま為政者などの権力者に対する批判が侮辱罪に適用されるかどうかが曖昧なまま厳罰化されれば、批判的な言論自体が萎縮していくだろう。実際、前出の山田教授は、法制審議会の議論において「抑制的な量刑の引き上げで萎縮効果は生まれないし、ネット上の表現行為にはより強い抑止効果が必要」という意見が続いたことに対し、〈その前提には現実社会に萎縮は起きていないという認識があるようだ〉と指摘した上で、〈近年続いている様々な集会や催し物における作品の撤去、デモや集会の中止といった、忖度による表現の自由の可動域の縮減は、萎縮そのものではないのだろうか〉と記述。また、札幌弁護士会憲法委員会委員長代行である田村智幸氏も〈厳罰化されれば長期間身柄を拘束される可能性が出てくる。多くの国民は批判的な表現をすることに抵抗を感じ、必要以上に消極的になるでしょう〉と述べている(北海道新聞1月12日付)。

 そもそも、世界的には侮辱罪や名誉毀損罪は非犯罪化の流れにあり、当事者間の民事訴訟で解決をめざす動きになっている。国連自由権規約委員会も2011年に名誉毀損や侮辱などを犯罪対象から外すことを提起、「刑法の適用は最も重大な事件に限り容認されるべきで拘禁刑は適切ではない」としている。ところが、今回の侮辱罪厳罰化は世界の流れに逆行するだけでなく、もっとも懸念すべき権力者への批判封じ込めに濫用されかねないシロモノになっているのである。

 山田教授は前述した琉球新報掲載のメディア時評のなかで、こう警鐘を鳴らしている。

〈日本では、政治家や大企業からの記者・報道機関に対する「威嚇」を目的とした訴訟提起も少なくない。いわば、政治家が目の前で土下座させることを求めるかのような恫喝訴訟が起きやすい体質がある国ということだ。そうしたところで、より刑事事件化しやすい、あるいは重罰化される状況が生まれれば、間違いなく訴訟ハードルを下げる効果を生むだろう。それは結果的に、大きな言論への脅威となる。〉

 ロシアの言論弾圧を目の当たりにしている真っ只中に、岸田政権が今国会での成立を目指す侮辱罪厳罰化。それでなくても自民党は、つい先日も情報通信戦略調査会に民放連とNHKの専務理事を出席させ、「不祥事を起こした政治家が不快な表情をする映像が流れていることに対しBPOは注意しないのか」などと質問した上、佐藤勉会長が「BPO委員の人選に国会が関われないか提起したい」と言い出す始末。政治や公権力からの圧力に抗して放送の自主・自律を守るための機関(「NHK放送文化研究所 年報2019 第63集」)であるBPOにまで介入しようとする言論統制体質は、安倍政権時代から何も変わっていないのだ。今後、侮辱罪厳罰化について国会での審議を注視していく必要がある。

最終更新:2022.03.15 05:01

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

「侮辱罪の刑罰強化」の目的は政権批判封じ=ロシア化だ! 自民党PT座長の三原じゅん子は「政治家にも口汚い言葉は許されない」のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。三原じゅん子侮辱罪木村花町山智浩編集部自民党の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

1 小林製薬「紅麹」で問題視される「機能性表示食品制度」は安倍案件!
2 櫻井よしこの朝日攻撃の「捏造」が法廷で
3 東山紀之が“反ヘイト本”を出版
4 乙武洋匡が不倫旅行、5人の女性と関係
5 安倍派裏金で読売新聞「非公認以上の重い処分」報道の違和感!
6 久米宏が終了決定のTBSラジオで田中真紀子と
7 セカオワFukaseのいじめ発言
8 葵つかさが「松潤とは終わった」と
9 安倍政権御用ジャーナリスト大賞(前編)
10 コロナ収束前の「Go To」予算1兆7千億円計上に非難殺到も田崎史郎は…
11 東山紀之、朝鮮学校無償化に言及
12 五輪延期で発覚!安倍のお友だち「アパホテル」に組織委用の部屋
13 石田純一がコロナバッシングで「組織に狙われている」と語った理由!
14 御用新聞・産経が安倍首相に食い下がった毎日記者を攻撃する露骨ぶり
15 安倍は辞任報道でもお友達優遇! 前回のTBS時代の山口敬之が
16 世界的建築家の「カジノありきの万博」批判に大阪市長が大ウソ反論
17 小泉進次郎が「靖国参拝」したのは父親と同じ右派支持狙いの戦略か
18 総裁選で自民党がまた新聞社に圧力文書!
19 松本人志『ドキュメンタル』のセクハラ
20 和泉・大坪の安倍側近“不倫コンビ”の新疑惑を政府機関の理事長が告発

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄