「大嘗祭」の秘密の儀式とは! 新天皇が寝座のある部屋に一晩こもり…秋篠宮は“宗教色”の強さを指摘し国費支出に異議

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秋篠宮は大嘗祭の“宗教色”を指摘し、国費でまかなうことに疑義

 平成の大嘗祭を取材した元朝日新聞皇室担当記者でジャーナリストの岩井克己氏は、当時のことを〈午後五時過ぎから午後九時過ぎまで約四時間にわたって天皇の悠紀殿の儀が行われたが、殿内での天皇の「秘儀」はもちろん、廻廊を歩む姿も諸役の動きも全く見えない。奏されたという神楽歌など楽部の奏楽もほとんど聞こえず、ただひたすらじっと座って寒さを我慢しただけで終わった〉と振り返っている(「選択」2014年1月号)。

 今回も、殿内での儀式は当然のように非公開にされている。政府は大嘗祭を「国事行為」ではなく「皇室の行事」と位置付けることでお茶を濁すと同時に「公的性格がある」という二枚舌を使う。その費用は宮廷費つまり公費から支出されることにかわりはなく、大嘗祭だけで約24億4000万円が費やされる予定だ。

 むしろ、その宗教性と国民主権・民主主義の“本質的な不和”については、現在の皇室のほうが自覚的ですらある。昨年、秋篠宮文仁親王は誕生日に際した記者会見で、「宗教色が強いものを国費でまかなうことが適当かどうか」などと公に疑義を呈した。

「大嘗祭については、これは皇室の行事として行われるものですし、ある意味の宗教色が強いものになります。私はその宗教色が強いものについて、それを国費で賄うことが適当かどうか、これは平成の時の大嘗祭の時にもそうするべきではないという立場だったわけですけれども、そのころはうんと若かったですし、多少意見を言ったぐらいですけれども。今回も結局、その時を踏襲することになったわけですね。もうそれは決まっているわけです。ただ、私として、やはりこのすっきりしない感じというのは、今でも持っています」

 だが、宮内庁は「聞く耳を持たなかった」という。秋篠宮文仁親王は記者会見で「そのことは私は非常に残念なことだったなと思っています」とまで踏み込んでいたが、結局、安倍政権は皇室が懸念する「宗教色の強い皇室行事」をなし崩し的に、事実上の国家行事にしてしまった。

 いずれにしても、大嘗祭の宗教性は明らかにもかかわらず、なし崩し的に本番を迎えようとしている。大嘗祭をめぐる国民主権と民主主義、そして政教分離の原則の議論は深まらないままだ。政治権力が天皇と皇室を国家神道に組み入れることで国民を支配した、明治から終戦までの大日本帝国。この国の政府と有権者は、いったい、いつまで“戦中”を引きずるつもりなのだろうか。

最終更新:2019.11.14 10:59

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