「あおり運転」で指名手配、晒し者逮捕…警察を過剰対応に走らせたのは異常なワイドショー過熱報道と安倍政権の閣僚だった

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
「あおり運転」で指名手配、晒し者逮捕…警察を過剰対応に走らせたのは異常なワイドショー過熱報道と安倍政権の閣僚だったの画像1
あおり運転をいち早く報じた『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)


 茨城県の常磐自動車道であおり運転をし、被害者を殴ったとされる宮崎文夫容疑者が18日、逮捕された。テレビのワイドショーは一斉にその逮捕の瞬間の映像を流し、「ようやく逮捕された」「これでモザイクが外せる」などと凶悪事件が解決したかのように大はしゃぎしている。

 しかし、考えてみてほしい。これ、本当にそこまで大騒ぎするような事件だったのか。たしかにドライブレコーダーに映し出されたこの男がやったあおり運転と暴行は犯罪だし、交通ルール上も危険な行為ではある。しかし、男は凶器を所持していたわけでも、殺人などの重大犯罪を犯したわけでもない。やったことはただの傷害なのだ。

 ところが、茨城県警はたかが傷害容疑のこの事件で容疑者を全国に指名手配し、さらには殺人や強盗事件を担当する捜査一課を投入。その後も大阪、名古屋、神奈川など男性の関係先に大量の捜査員を投入した。さらにこの宮崎容疑者の車に同乗し、ガラケーで暴行を撮影していた交際女性まで一緒に「犯人隠避」で逮捕してしまった。

 しかも、ひどかったのが、その逮捕の情報をマスコミに実況中継させたことだ。

「フジテレビや日テレなど複数の局が逮捕の現場にいて、その瞬間を映像に収め、放送していた。これは、事前に捜査当局から逮捕情報の日時や場所をリークされたとしか思えない。警察はマスコミ注目の事件を、格好のPRの機会にしようをと考えたんだろうが、こんな小さな事件で逮捕をショーにするというのは、明らかにやりすぎでしょう」(全国紙社会部記者)

 過剰としか言いようのない警察の対応だが、しかし、警察をこんな風に駆り立てたのは、明らかにマスコミ、特にワイドショーだ。

 そもそも今回の問題はテレビ朝日が被害者男性のドライブレコーター映像を入手、今月12日から13日にかけてニュースやワイドショーで放送したことが発端だった。この映像が大きな反響を呼んだのを受け、各局ワイドショーも一斉に後追い、連日、問題の映像を何度も繰り返し大々的に報道した。その報道時間は、35人もの死亡者を出した京アニ放火事件や、川崎市登戸のスクールバス襲撃事件を超える規模に思えたほどだ。

 報道量だけではない。コメンテーターたちも、まるで史上最悪の凶悪犯罪を語るような調子で、口々にこの暴行を働いた男を糾弾した。

 たとえば『直撃LIVEグッディ!』(フジテレビ)で安藤優子が「ここまで悪質なのは初めて見ました」「下手したら殺されてますよね」と大仰なコメントを発すれば、『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では玉川徹が「常識的じゃないっていうところを越えて、異常性を感じる」と猟奇犯のように糾弾。16日の『ひるおび!』(TBS)では、立川志らくが「どんな重い罪にしても、頭が悪いから理解できない」「人の心がないから、こういうのはどうにもなんない」「法律上ひどい目にあわせないと自分の身で痛い思いをしないと絶対にわからない」と、まるで“死刑にしろ”と言わんばかりのひどいコメントを垂れ流した。

 いや、暴行をはたらいた男に対してだけではない。同乗していた女に対しても、前出の志らくが「バカにバカがくっついてきて」、松本人志が「つがいでなんとか刑に処してほしい」と発言するなど、ヒステリックな糾弾が繰り広げられた。

 そして、こうしたワイドショーや世論の過熱に乗っかったのが、安倍政権の閣僚だった。15日、山本順三国家公安委員長が閣議後の記者会見で、この事件について「言語道断」「あらゆる法令を駆使した厳正な取り締まりを行い、抑止に努めたい」と発言。これを受け、翌日、茨城県警が豹変。「社会的影響の大きい事件」であるとして、異例の指名手配を行なったのである。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

「あおり運転」で指名手配、晒し者逮捕…警察を過剰対応に走らせたのは異常なワイドショー過熱報道と安倍政権の閣僚だったのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。あおり運転テレビ朝日ワイドショー伊勢崎馨安倍政権の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 葵つかさが「松潤とは終わった」と
2 れいわから出馬 水道橋博士が主張する「反スラップ訴訟法」の重要性!
3 高市早苗が統一教会問題でも“嘘”、領収書偽造、勝手に収支報告書修正も
4 あのチェーン店の料理がヤバい
5 放送法解釈変更は氷山の一角!安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧
6 三浦瑠麗問題に「週刊文春」「週刊新潮」は完全沈黙する理由!
7 古舘伊知郎が激白“テレビは噓ばかり”
8 安倍内閣「日本会議」の目的は徴兵制
9 田母神を担いだ百田、中西の責任
10 安倍政権の「放送法解釈変更」内部文書のリアルすぎる中身!
11 自民党がネトサポに他党叩きを指南
12 グッディ高橋克実が北朝鮮危機で本音
13 高市早苗と赤旗が「政治資金規正法違反」報道でバトル!
14 辻仁成が告白「彼女に新しい人が…」
15 吉高が“私の裸を見て”と迫った男
16 岸田には安倍が乗り移っている! 政策だけでなく答弁も
17 米イラン緊張のなかダルビッシュが排外主義と戦争反対を表明!
18 貧乏人の努力で教育格差の克服は無理
19 『報ステ』古舘が安倍に最後の反撃!
20 ジャニー喜多川社長の性的虐待問題を一切報じないマスコミ
1放送法解釈変更は氷山の一角!安倍官邸は同時期、あの手この手で言論弾圧
2安倍政権の「放送法解釈変更」内部文書のリアルすぎる中身!
3高市早苗が統一教会問題でも“嘘”、領収書偽造、勝手に収支報告書修正も
マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄