サンフランシスコ慰安婦像問題拡大の原因は日本の歴史修正主義! 公聴会で慰安婦を攻撃し「恥を知れ」と説教されていた

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朝日の誤報を利用して「慰安婦はウソ」というデマを拡散した

 こうした構図は、今回のサンフランシスコ市に限った話ではない。世界中で起きている慰安婦問題の再燃、旧日本軍の戦争犯罪糾弾の動きは、日本の右派勢力、そして安倍政権の歴史修正主義と明らかに相関関係にある。

 周知の通り、安倍政権と右派は、2014年の朝日慰安婦報道問題で一気に勢いづき、手を組む形で問題の本質を捻じ曲げ、「慰安婦」自体がまるでいなかったかのように世論を誘導していった。連中は、朝日新聞がいわゆる吉田清治氏の虚偽証言を掲載したことだけを集中的に攻撃し、「朝日の誤報が国際社会の誤解を生んだ」「国連のクマラスワミ報告の撤回を要求せよ」と大合唱した。

 クマラスワミ報告というのは1996年に国連人権委員会が日本の従軍慰安婦制度を「性奴隷」と認定した報告書だが、この根拠になっているのが吉田証言だとして、朝日はその責任を取れと迫り、最終的に“吉田証言はウソ→性奴隷もウソ→慰安婦は全部ウソ”という図式を捏造しようとしている。しかし、実際にクワラマスミ報告をきちんと読んでみると、吉田証言に触れているのは50ページ近い報告書のうち、序文のなかの数行だけで、報告の根幹ではない。しかも、保守系の歴史学者である秦郁彦氏による吉田証言への反論も併記されていおり、実は吉田証言と国連の「性奴隷」の認定にはなんの関係もなかったのである。

「強制連行」についてもそうだ。言うまでもないが、慰安婦の強制連行説は吉田証言のみに立脚しているものではない。日本政府および歴史修正主義者たちは「日本軍が直接、女性を銃剣で脅して人をさらうこと」などと狭義の設定をして「直接示す証拠はない」と強弁するが、軍が斡旋業者を使うなどして女性を騙したうえで連れ出した証拠や証言などは、多くの公式記録として残っている。

 たとえば、1996年に警察大学校で発見された複数の公文書は、日中戦争開始直後、日本国内の行政を担う内務省の警保局が慰安婦の募集や渡航に関する報告をしていたことを示している。その公文書のうちのひとつ、上海総領事館警察署長が長崎水上警察署長に送った依頼文「皇軍将兵慰安婦女渡来ニツキ便宜供与方依頼ノ件」(37年)では、「前線各地における皇軍の進展に伴い」、「施設の一端として前線各地に軍慰安所」を「設置することとなれり」と記されている。また陸軍省副官から北支那方面軍および中支那派遣軍参謀長にあてた依命通牒「軍慰安所従業婦等募集ニ関スル件」(38年)を見ると、慰安婦の募集にあたっては地方の憲兵や警察当局と連絡をとるようにと中国駐屯の日本軍が命じられていたことがわかる。

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