百田尚樹『海賊とよばれた男』は愛国ポルノ! 主人公のモデルは皇国史観丸出し、右翼殺人テロまで礼賛していた!

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 とにもかくにも、まずは『海賊〜』のあらすじを簡単に述べておこう。同作は、明治から昭和にかけて石油事業で財を築いた主人公・国岡鐵造(出光佐三)の半生を描いた〈ノンフィクション・ノベル〉(講談社BOOK倶楽部内容紹介より)。敗戦で資産を失った鐡造はGHQにより公職追放されながらも、再び田岡商店の店員とともに再び石油事業に乗り出す。そして1953年、イギリスを中心とする国際石油カルテルに反発したイランに、鐡造は密かにタンカー・日章丸を送り、石油の輸入を実行する──。

 百田自身、同作を「戦後、焼け野原になった日本を立て直すために懸命に頑張った経営者の物語」(「WiLL」13年10月号/ワック)と語っているとおり、鐡造は作中で何度も「日本を立て直すのだ」「国のためだ」と連呼する情熱的な経営者で、社員もそんな鐡造の熱さや人情にほだされて尽力する。端的に言えば、『海賊〜』は“国を想う経済戦士たちの行動が、戦後の日本を復興に導いた”と誘導する物語だ。

 だがしかし、先に触れたとおり、この「ノンフィクション小説」のモデル・出光佐三は、かなり偏った民族派右翼であった。皇国史観、日本の侵略戦争の否定、さらには右翼殺人テロの称揚……。ようするに、百田は主人公からこういう極端な右翼性をネグることで、大衆に受け入れやすくしていたのだ。

 はなから決めつけてそう言っているわけではない。これは、百田も熟読したであろう佐三の著書をみても明らかだ。たとえば『永遠の日本』(平凡社、1975年)という本がある。国内外の大学教授、メディア人、経済人との対談集で、『海賊〜』の参考文献にもあげられている一冊だ。そのなかで佐三は、元寇から満州事変まで「日本はいかなる場合でも自衛の戦争ですよ」と言い切り、先の戦争についてこう述べている。

「それ(引用者註:満州事変)から先は、それが動機となって中国の各地で日本人が危害を受けるようなことがあり、そのうちに世界戦争が起こって、日本もそれに巻き込まれたのであって、満州事変までは自衛の戦争である。いつ日本から攻め込んだか、どこまでいったって自衛の戦争だといって、みんながそうだといいましたがね。
 ただこういうことはいえるんです。日本の軍隊は戦争になるとどういうわけかわからんが、強いでしょう。それで何か日本が好戦国のようにうけとられているんですね」

 日本は戦争に巻き込まれただけで、中国や英米などの連合国が悪い……あからさまな侵略の否認である。これだけでもおったまげるが、佐三はまた前掲書でこのようにも語っている。

「私は昭和二十年の終戦のときに『日本は負けてない』といったのです。『敗戦という事実がなければ、本当の日本には帰らない。敗戦という事実があって本当の日本に帰るのだから、愚痴をいうな。そして三千年の皇室中心の日本の歴史を見直せ。そして今日から立ち上がれ』といって、世間から気違い扱いされた」

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