欅坂46ナチス問題でユダヤ人をファンと高須らネトウヨが「被害者ビジネス」と攻撃! 広がる無自覚な歴史修正主義

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 ナチスの残党を法的に裁くための活動を行ってきたジーモン・ヴィーゼンタールは、著書『ナチ犯罪人を追う』(下村由一、山本達夫訳/時事通信社)のなかで、〈相変わらずナチの細胞は残っており、それが社会状況の変化とともにまたしても生命を脅かす腫瘍に転じない保障はない〉といい、その要因をこのように指し示している。

〈これらの煽動の最も重要な要素となっているのは、いまも昔も外国人憎悪である。イギリスであれフランスであれオーストリアあるいは合衆国であれ、ネオナチはどの国でも多数者に対し、「外国支配の増大」を阻止せよと訴える。イギリス植民地からの有色人種の流入反対、またユーゴスラビア人やトルコ人労働者流入反対、メキシコ人やプエルトリコ人の流入反対という具合である〉

 この指摘もまた、在日朝鮮人・韓国人攻撃をはじめとするゼノフォビアが幅を利かせている日本の現状に当てはまるものだが、著者は、未来を担う若者たちへ向けてこのようなメッセージを“遺言”として残している。それは、わたしたちがいま置かれている状況の“その先”を予見するものだ。

〈現代が若者に求めるのは消費だけだ。だがそれにも限界があり、人生を意味あるものにするにはどうしたらよいかと彼らは思い悩んでいる。
 私の懸念は、かつては貧困と飢餓と失業がそうであったのに対し、これこそが新しい独裁の前提になるのではないかということである。独裁体制は常にまず、意味を見失ってしまった若者をとりこにした。独裁体制は彼らに狂った意味を教え込んだ。そのうえで制服を着せて一日中戦争ごっこをさせた。最後には彼らは本当の戦争もこなすようになり、英雄的な死に憧れ、死が実際にはどんなにつまらなく汚く醜いものであるか、まるでわからなくなってしまった。若者には無意味さを逃れるために死に走る傾向がある。独裁体制はこの傾向にはけ口を用意する。民主主義諸国は意味を与えることを学ばねばならない〉

 外国人への憎悪が蔓延るなかで、「悪意はないのに」という歴史認識の甘さからくる主張がまかり通ってしまう現況は、過去の歴史が辿った道を再び歩もうとしているような危機感を覚える。だからこそ、若い人には、「悪意はない」ではなく、「なぜ、ナチスに似た衣装で踊って歌ってはいけないのか」を立ち止まってよく考えてみてほしい。
(酒井まど)

最終更新:2016.11.06 02:45

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