井筒監督が「在日差別」描いた映画めぐるマスコミの差別的対応を暴露! 電通が土下座、産経は取材ドタキャン

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 そして、極めつきは、映画に関して取材を申し込んでおきながら、映画の内容を見て急にドタキャンしてきたメディアまであったということだ。二人はこう語っている。

李「産経新聞なんてインタヴューを申し込んできて、やっぱり無理ですって言ってきて。なぜですか?って聞いたら、上から“うちの社は、強制連行は無かったという方針なので掲載できません”と。思い返すと、そういうことばっかりだったんですよ」
井筒「やっぱりスゴい新聞社でほんとに笑った」

 産経新聞のひどさは井筒監督にして「スゴい」と皮肉を言わせるほど一貫していたものであったわけだが、一連の軋轢から李氏はこんな感想を漏らす。

「結局、メディア側の人たちが最も臆病で、最も何かを変えたくない人たちなんだなっていうのは凄く身に染みてわかりましたね」

 そのようなマスコミの差別意識に関する遅れは、これまで挙げてきたような広告や報道の世界だけではない。芸能界も同様だ。先ほど紹介した通り、続編となる『パッチギ!LOVE&PEACE』では、女優となったリ・キョンジャが徹底してその出自を隠すことを迫られたり、在日であることが分かると一斉にバッシングが起こるという理不尽な状況が描かれる。同対談で井筒監督はこのように語る。

「実際、映画界もテレビ界も多いし、露骨だよ。10年前、『パッチギ!』の時でも、キャンペーンでテレビにたくさん出たけど、控室にいたらプロデューサーが『監督! 映画、すごいっすねぇ』って来てね。『ありがとうございます』言ったら、『僕らも若い時にチョン高のヤツら、殺してやろうかと思いましたよ。まんまですもんね、この映画』って。それ、ただの懐かしさだけで片付けてんのか? って(笑)」

 差別があった過去を振り返り、その反省をこれからの未来につなげようという映画のメッセージがこのプロデューサーには何も伝わっていなかったわけである。

 芸能界における差別意識はひどいものだ。「キネマ旬報」(キネマ旬報社)07年5月15日で井筒監督はこのようにも語っている。

「芸能界というのは、いい加減な社会の縮図ですよ。突飛なことをすれば撥ね除けられ、朝鮮人だと分かるとスポイルされる。力やコネクションを持った人だけが生き残る。これは典型的な日本社会の縮図です。でもキョンジャのような在日の若い子たちは、OLや銀行員にはなれませんから、ホルモン屋で働くか、華やかなことをしたいと思うと芸能界に入るしかない。その芸能界は、何か共同体が生まれるわけではなくて、自分の出自を隠して絶えず孤独に晒される、ゲットーみたいなものなんです。そのことを描きたかった」

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