小泉今日子はなぜ「劣化」しないのか? 「変化する力」「プロデューサー目線」を育んだ母親との歪な愛のかたち

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〈当時はまだ多くの人が聴いたことのない、もしかしたらとっつきにくい音楽だったかもしれないけど、私という存在自体は分かりやすいですから。仕事の現場や遊び場で知り合った近田さんや藤原さんのファンの間に私が入れば、聴いていただけるとは思っていました。だって私自身、「ハウスが好きか?」と聞かれれば、別に好きじゃないですから(笑)。
 もちろんカッコいいとは思っていたけど、“ハウスの人”になりたいわけじゃない。言ってしまえば、冷やかし気分だったからこそ、みなさんにとってちょうどいいカッコよさを探れたんでしょうね〉(「日本経済新聞電子版」2012年4月2日)

 これらの発言を受け、助川氏はこう語る。

〈なんとなくハウスに憧れている「部外者」だったからこそ、一般人にとって「ちょうどいいカッコよさ」を探れた。自分について、ここまで冷静な発言をできる人物は滅多にいません。普通の歌手なら「もともとハウスに熱心で、けっしてニワカじゃなかった」と弁明するところです。
 こんな具合に、みずからの価値を冷徹に見切れるのが小泉今日子の「らしさ」です。新しいことに次々挑戦して失敗しないのも、この特質のおかげといえます〉

 時代の流れに合わせて次々と変化していき、新たな世界を表現することで決して古びた存在にならなかった小泉今日子。そのことには、本人も自覚的だったようだ。ブレーン的存在として彼女にサブカル的な知識をふんだんに与え、アイドルからの脱皮への道を用意したライター・川勝正幸の著書『ポップ中毒者の手記(約10年分)』(河出書房新社)の解説に、小泉はこんな言葉を残しているという。

〈世間のみなさんは、私はトンがったことを発信するアイドルだと思っただろうし、実際そう見えていたと思います。でも、本当の私はそういうことを自発的に発信するタイプではないんです。(中略)私に何か才能があるとすれば、人が提案したものを吸収して「自分らしい形」にすることなんです〉

 自分に向けられた要求や提案には真摯に応えてみる。そうやって「変化」していく小泉今日子の姿勢はライターの藤吉雅春氏が〈小泉さんの凄みとは、過激な企てを平和にやりのけてしまうところです。しかも、本人が一番面白がっている〉(「週刊文春」文藝春秋/13年8月15日・22日号)との言葉を残すなど、周囲の人々も認めるものだった。なにせ、前述の川勝はどんな知識でもおむつのように吸収する彼女の姿勢を見て「パンパース小泉」というあだ名をつけるほどであった。

 このように柔軟な小泉の姿勢が彼女にもたらしたものを助川はこう語る。

〈「された当人」に応える姿勢があるから「周囲の提案」がプラスに働く。応えてもらえるから提案する側もさらにアイデアを出したくなる。若き小泉今日子と身近な「知恵者」たちのあいだには、そうしたサイクルができていたようです〉

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