経営陣は責任とらず社員を大量リストラ…SONYにもあった「追い出し部屋」の全容

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 前掲の『切り捨てSONY』によれば、そのリストラの規模はすさまじいものだ。

「ソニーの早期退職者募集は2008年以降を見ても10回近くに上る。▽2008年(全社員対象)▽2010年(部門限定募集)▽2011年(キャリア開発室対象)と続き、『ストリンガーチルドレン』と呼ばれた平井一夫氏が社長として登場した2012年に入ると、間接部門(総務や人事部門など)を含め、1年間に3度も実施されている。その後も2014年(本社間接部門対象)、今年もまた2月から始まっている」(同書より)

 さらに、自発的に辞めたケースもあり、リストラされた従業員数は14年度末で7万8000人に上る計算だ。コストのかかる正社員から、安い非正規従業員に切り替えるリストラの結果か、最近のニュースによれば、16年3月期の連結営業利益は約3000億円と前期の4倍強に増える見通しだという。これは08年3月期(4752億円)以来の水準で、パソコン事業売却、スマートフォン(スマホ)事業の減損損失などリストラ費用の計上が一巡したことが大きいという。

「リストラ部屋」であるソニーキャリア開発室の最近の在籍者数(15年1月)は4人と減りつつある。しかし、今もリストラ部屋は形を変えて存続しているという。

「ソニーの内部文書にはこんな趣旨の記載があった。
〈2010年から、キャリア室の長期滞留者(6カ月経過時)にPDF業務をさせる〉〈2012年からSTC(ソニーテクノクリエイト)業務サービス部に出向業務を移管し、2年経過した長期滞留者はSTCに出向させる〉
 STCは業務支援サービスを行うソニーの子会社で、旧本社隣のソニー3号館にある。(略)『リストラ部屋』に対する批判が強まったためであろう、肩たたきを拒んだ社員たちをリストラ部屋からこんな子会社に次々と送り込み、単純作業をさせているわけだ。『他にも隠れリストラ部屋と言われる部署があります』と社員たちは証言する」(同書より)

 リストラは2015年以降も続く。一方で、新商品開発に関しては経営陣はリスクをとることに二の足を踏み、アップルなどのライバルに先を越されてしまう。

 創業者・盛田昭夫の「むしろ経営者がその責任を負うべきであって労働者をクビにして損害を回避しようとするのは勝手すぎる」という批判は皮肉なことに、そのままハワード・ストリンガー前会長兼CEO、平井一夫現社長兼CEOにあてはまる。経営陣は何の責任もとらないままだ。

「やらないとソニーはダメになる。まだまだ絞り足りない。不採算事業をどんどん切りなさい。濡れぞうきんを絞れば出てくるでしょう」と強くリストラを推し進めたストリンガーは「凋落を続けるソニーから総額8億8200万円(2011年3月期)の高額報酬を受けとっていた」うえに「米国在住のストリンガーが、東京・恵比寿ガーデンプレイスにあるウェスティンホテルのスイートルーム(1泊50万円以上)を常時貸し切り契約して、いつでも宿泊できるようにしてい」たという。

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