憲法記念日特別企画

改憲派の憲法学者が安倍政権の改憲を批判する理由…愛国の義務化で“非国民”再教育制度が!

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 そのころの改憲論者は、タカ派の軍国主義者や自民党でも右寄りの人たちばかりだった。そんななか、「憲法守って国滅ぶ」などの過激な言説で知られるようになった小林氏は「改憲を唱える憲法学者」として珍重され、講演や勉強会で引っ張りだこになる。以来30余年にわたって自民党改憲派の“知恵袋”として暗躍するが、この間に政治家側の世代交代が進み、二世三世の世襲議員が増えるにつけ、その質的劣化が目を覆うばかりになってきた。それでも「改憲」という大きな目標に向かって進むのならと我慢して付き合ってきたが、自民党が具体的な「憲法改正草案」を出したところで糸が切れたのだという。

〈私はこれで具体的な改憲論議を始める叩き台が出来たと、素直に喜んだ。しかし、中身を読んで、私は落胆し、遂には怒り出していた〉

 何が問題なのかというと、どれだけ口をすっぱく教えても憲法とは何か、立憲主義とは何かがまったく理解できない人たちだったということだ。議論の前提となる基礎知識すら共有できないのだから話にならない。改憲をこんな奴らにやらせたら、トンデモないことになるというのが小林氏の言い分だ。では、憲法とは、立憲主義とは何なのか。

〈そこで、いま、改めて原点を確認しておきたいが、憲法の本質は、主権者・国民が権力担当者に課す制約である。(中略)憲法は、主権者・国民大衆の中から例外的に選ばれて個人の能力を超えた力を託された人々(つまり権力者)が、人間の本来的な不完全性ゆえに、その権力を乱用することがないように、権力に歯止めをかける規範である〉
〈言うまでもないことであるが、心配だからあえて言うが、憲法とは、主権者・国民・大衆が、一時的に「権力」という大きな力を国民から託された権力者(つまり政治家と公務員)がその権力を濫用しないように「権力者に課した制約」である。それが権力者によって無視されたら、もはや日本も例えば北朝鮮と違いがなくなってしまう〉

 同書には、こうした表現が繰り返し出てくる。ところが自民党の草案は、この立憲主義の大原則を踏み外し、国家が国民を縛るかたちになっているというのである。2012年版「自民党憲法改正草案」第102条に「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」とあるのはその象徴だ。憲法を尊重しなければならないのは、国民でなく権力者だ。また、第100条では国会が憲法改正を発議する要件を、(現行憲法96条で定められた両院のそれぞれ3分の2の賛成から)2分の1に緩和するとしている。権力者を縛るはずの憲法を権力者が“改悪”しやすいように手続き要件を緩和するというのだ。憲法や立憲主義に関する基礎的素養が備わっていないことの証だった。〈そこで、改憲論者である私も、最早これまでと思い、反対の論争を始めた〉のだ。

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