凶悪犯を更生させるには? 被害者の声を聞かせるのは逆効果だった!

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷
kyouakuhanzaisha_01_150209.jpg
『凶悪犯罪者こそ更生します』(新潮新書)

 殺人、強盗、放火、強姦……凶悪犯罪は年々減少しているといわれるが、それでも警察庁の犯罪情勢によれば、2013年には1年間で6766件の凶悪犯罪が認知されている。昨年末から今年にかけても、前橋高齢者連続殺傷事件、和歌山男児刺殺事件など、多くの凶悪事件が発生した。

 こうした凶悪犯たちが検挙後に行くことになる刑務所のひとつがLBと呼ばれるものだ。LはLongの略で刑期が10年以上を意味し、Bは何度も犯罪を重ねて犯罪傾向が進んでいることを示す。いわば「更生不可能」とも見なされている者たちが収容される。徳島刑務所や岐阜刑務所、熊本刑務所などがこれにあたる。

『凶悪犯罪者こそ更生します』(新潮新書)は、そんなLB刑務所で「篤志面接委員」(民間のボランティアで受刑者の支援をする者)という肩書きで、外部の支援者として受刑者の個人面接をしたり、更生のためのプログラムをつくって授業を行っている岡本茂樹氏による書籍である。著者によれば、タイトルの通り、なんと凶悪犯罪者こそ更生するのだという。犯罪傾向の進んだ者が収容されるLB刑務所でのボランティア活動を通して、そう言い切るのである。ただ、それには条件がある。“反省”の仕方だ。

「受刑者は誰かに自分のことをしっかりと聴いてもらった体験がありません。彼らも自分のことを誰かに話しません。誰にも話さないので、自分のどこに問題があったのか、事件にかかわる自分の内面の問題について掘り下げて考えることはありません。そして、刑務所では、ただ反省を求められるのです。しかし反省の仕方が分からないので、反省しようと思う者は、とりあえず経を読んだり聖書の勉強をしたりして、何となく反省している気持ちになります。これは非常に危険なことです」

 著者いわく、刑務所では“反省”を求められるが、受刑者はその方法が分からないのだという。言ってみれば刑務所は「反省しろ」とはいうが、迷う受刑者にその方法を教えてはくれず、やみくもに「反省しろ」と促すのである。そのため、次のようなパターンに陥る受刑者は少なくないという。

「反省の仕方が分からない→宗教を学ぶ→否定的感情に蓋をする→いつまでももやもやとした気持ちがなくならない→さらに宗教を学ぶ→ますます自分の本音を抑圧する→出所するときには爆発寸前」

 せっかく長い刑期を終えてもこれでは、いわば多額の税金を投じて犯罪者に衣食住を提供しているだけの状態ともいえる。

「こうした現実があるだけに、刑務所側も何もしないわけにはいきません。『受刑者を更生させないといけない』と考えて、『反省させる教育』を行います。しかしLB指標の刑務所には数百人もの受刑者がいて、しかも彼らは全員10年以上もの刑期を抱えています。無期懲役囚も収容されていて、彼らの中には最長で実に50年以上、収容されている者もいます。10年から50年という幅のある刑期の受刑者に対して、矯正教育にかかる刑務官は数人です。人的資源と更生のためのノウハウがないだけに、『反省させる教育』といっても、カタチだけのものになります」

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

凶悪犯罪者こそ更生します (新潮新書)

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

凶悪犯を更生させるには? 被害者の声を聞かせるのは逆効果だった!のページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。刑務所寺西京子教育裁判員制度裁判所の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』は安倍政権のインチキの記録
2 中曽根元首相の合同葬「1億円税金」はやっぱりおかしい!
3 菅首相が『ひるおび』で安倍政権批判をしていた政治記者を首相補佐官に!
4 安倍前首相はやはり仮病だった!読売のインタビューでケロッと「もう大丈夫」
5 菅首相が訪問する福島の「伝承館」で国や東京電力の批判しないよう検閲
6 杉田水脈が自民党部会で「女性はいくらでも嘘をつけますから」
7 菅首相が山口敬之氏への資金援助を親密企業「ぐるなび」会長に依頼か
8 山口達也の事件をNHKが隠蔽していた
9 菅義偉首相が使った官房機密費の“ヤミ金”は合計78億円!
10 小倉優香の番組中「辞めさせてください」の本当の理由は番組のセクハラ
11 悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、電通が再び140億円
12 中曽根元首相が慰安所開設の証拠
13 安倍政権が消費者庁のジャパンライフ立入検査ツブシ、内部文書が
14 ジャパンライフの広告塔に田崎とNHK島田も
15 報道特集が中曽根の慰安所作りを報道
16 小泉今日子が怒りの反論「共産党から出馬」ガセ情報は内調の仕掛けか
17 東京五輪招致をめぐるICC買収に新証拠! 菅首相も賄賂に関与か
18 大坂なおみを賞賛し黒人差別に抗議した自民党議員がツイートを削除し謝罪
19 菅首相の叫ぶ「規制緩和」は30年前の流行語
20 安倍首相の病状説明に矛盾 「体調異変」と説明した時期にステーキ
1 安倍前首相はやはり仮病だった!読売のインタビューでケロッと「もう大丈夫」
2菅政権で「公費不倫」の和泉洋人首相補佐官が“再任、官邸官僚のトップに
3菅義偉首相が使った官房機密費の“ヤミ金”は合計78億円!
4中曽根元首相の合同葬「1億円税金」はやっぱりおかしい!
5デジタル担当相・平井卓也は電通と組んでネット情報操作を始めた張本人
6菅首相が山口敬之氏への資金援助を親密企業「ぐるなび」会長に依頼か
7ジャパンライフ山口会長逮捕 焦点は消費者庁の立入検査中止問題だ
8東京五輪招致をめぐるICC買収に新証拠! 菅首相も賄賂に関与か
9悪評「マイナポイント」事業の広報費は54億円、電通が再び140億円
10菅首相の叫ぶ「規制緩和」は30年前の流行語
11菅政権の官房長官に決定 加藤勝信厚労相がコロナ対応で見せた無能
12菅首相が訪問する福島の「伝承館」で国や東京電力の批判しないよう検閲
13大坂なおみを賞賛し黒人差別に抗議した自民党議員がツイートを削除し謝罪
14河野太郎のパフォーマンスがひどい! 行政改革目安箱を私物化
15菅首相が『ひるおび』で安倍政権批判をしていた政治記者を首相補佐官に!
16菅内閣が「第三次安倍政権」化! 6月の時点で密約説
17杉田水脈が自民党部会で「女性はいくらでも嘘をつけますから」
18『バイキング』坂上忍パワハラ報道は政権批判潰しだった!
19ぼうごなつこ『100日で崩壊する政権』は安倍政権のインチキの記録

カテゴリ別ランキング

マガジン9

人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄