ヘイトを利用する自民党のネット戦略(下)

ネトウヨの温床「ニコ動」と自民党の関係 麻生太郎の親族も取締役に

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 整理するとこうなる。自民党は“ローゼン閣下”の人気をみて、ネット民に目をつけた。そして、ネット右翼の嫌韓・反マスメディア感情を現実の政治へと注ぎ込む漏斗として、麻生一族が関わるニコニコ動画を活用した。さらに、他党へのネガティブキャンペーンを行う別動部隊としてJ-NSCを組織化し、ネトウヨを動員した。

 前回の冒頭で民主党の選挙運動を妨害する“マンセー隊”について紹介したが、その正体は在特会関係のデモに参加する者たちであり、彼らの一部は、ネット上で醸成されてきた嫌韓言論やヘイトデマによって成長し、路上に進出してきたネット民である。これと自民党によるネット世論工作はひとつの線で結ばれているように見える。ネットの排外主義・人種差別を制するどころか、政治に利用した結果、自民党は“ヘイトの増幅器”と化してしまったと言っていいだろう。

 そして、ネトウヨによる他党攻撃に、与党自民党が間接的に加担しているということは、日本の政治が地に落ちてしまったことを意味している。つまり実際には、この国の与党は“ネトウヨなしではまわらない”のである。

 現在、安倍政権はヘイトスピーチに対して表向きは「日本人の誇りを傷つける。しっかり対処しなければならない」「極めて残念で、あってはならない」などといった見解を示している。だが、これは明らかに建前にすぎない。「河野談話や村山談話を継承する」としている従軍慰安婦問題や侵略戦争問題でもそうだが、安倍首相は表向き、国際社会に配慮した発言をしつつ、実際にはまったく逆のことをやっている。穏健リベラル派の議員を冷遇し、歴史修正主義的発言を連発する極右・ヘイト系の議員を重用。さらに、ヘイトまがいの若手候補者を次々に公認する……。

 おそらく、こういうダブルスタンダードを使い分けながら、じわりじわりと、国のかたちを変えていこうというのが安倍首相のもくろみなのだろう。その最終形は憲法改正、国防軍創設、そして国民の人権を制限する国家主義の構築。そのためには、ネトウヨを使って近隣諸国への憎悪を煽ることは不可欠な手段なのである。
(梶田陽介)

最終更新:2017.12.09 04:48

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