STAP細胞はやっぱりなかった! 小保方晴子氏を踊らせたのは誰なのか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • 印刷

 そもそも、科学に投じられる国費は、公共事業などに比べても、国民に手放しで許容されがちなジャンルである。例えば公共事業の一例として、治水は5942億円、道路整備は1兆323億円、新幹線は706億円(いずれも2013年度予算)であるのに対し、科学技術予算には9713億円(2014年度予算)が充てられており、予算枠として上昇カーブを続ける稀有な領域だ。著者は「安倍政権がアベノミクスの『第三の矢』として再生医療分野に目をつけているのも時代の趨勢と軌を一にしている」と指摘し、その結果、「研究に際しては建物や設備などの拡充が不可欠で、こうした国家による設備に対する投資は事実上の公共事業として機能している」とする。

 確かに、小保方が「ネイチャー」誌にSTAP論文を発表するや否や、下村博文文科相は興奮気味に「若手研究者や女性研究者が活躍しやすい環境づくりを推進し、関連施策を充実することで、第2、第3の小保方氏や、画期的な研究成果が生み出されるよう応援してまいります」と宣言し(1月31日定例会見)、官邸は彼女に総合技術科学会議への出席まで要請した。つまり、政府は「女性が輝く社会」の筆頭に小保方を据えようと画策していたわけ。“長ネギ”の小渕優子、“うちわ”の松島みどり、それぞれ失脚した女性大臣の登用に先んじて、“STAP細胞”の小保方で失敗していたわけだ。

 本書の著者は、小保方が記者会見をしたその日のうちに、旧知の脳神経外科の臨床医から連絡を受けている。臨床医は「実験室の様子が映っていたが、あれは本当に実験をやってるラボの姿じゃない」「研究室の棚は試薬もなくスカスカ、机上にはなぜか空の試験管、論文に登場した独ライカ製の20年前のアンティークな顕微鏡も見当たらない」「あそこでは実験なんか、やってない」と指摘。ワイドショーが「小保方さん効果で割烹着が売れています!」と興奮している間に、これは怪しい、間違いなく黒だと見抜かれていたわけだ。

 ヒロイン役の小保方晴子に対して、先生役を担ったのが笹井芳樹。彼は京都大学医学部史上最年少で教授に上り詰めたエリートだったが、山中伸弥・京都大学iPS細胞研究所所長のノーベル賞受賞で、自分が追いかけてきたES細胞が再生医療の世界で亜流となってしまった。ES細胞については、2005年に韓国の黄禹錫(ファン・ウソク)教授の論文捏造により信頼度が低くなっていた最中であり、更に劣勢に追いやられてしまった。この捏造事件について、山中伸弥教授は自著『山中伸弥先生に、人生とiPS細胞について聞いてみた』(講談社)の中で「このスキャンダルのあおりを受け、自分たちの論文を出したくても出せなくなった」と苦々しく振り返る。

 山中がノーベル賞を受賞すると、言わずもがな、笹井には対抗心が芽生えた。理研はSTAP細胞を嬉々と発表する際に「iPS細胞は癌化するけれどこちらは……」と比較しながら語っており、山中側にギャフンと言わせてやろうという感情論も渦巻いていたことが分かる。捏造発覚後も、往生際の悪い理研内には、これまでの山中論文に疑義がないか、必死に調べ上げる働きかけすらあったという。

「いいね!」「フォロー」をクリックすると、SNSのタイムラインで最新記事が確認できます。

この記事に関する本・雑誌

STAP細胞に群がった悪いヤツら

  • amazonの詳細ページへ
  • 楽天ブックスの詳細ページへ
  • Yahoo! ショッピングの詳細ページへ
  • セブンネットショッピングの詳細ページへ

新着芸能・エンタメスキャンダルビジネス社会カルチャーくらし

STAP細胞はやっぱりなかった! 小保方晴子氏を踊らせたのは誰なのかのページです。LITERA政治マスコミジャーナリズムオピニオン社会問題芸能(エンタメ)スキャンダルカルチャーなど社会で話題のニュースを本や雑誌から掘り起こすサイトです。小保方晴子武田砂鉄理研の記事ならリテラへ。

人気記事ランキング

総合
ツイート数
1 安倍政権・厚労政務官が外国人在留申請で口利き「100人で200万円」
2 玉川徹がGSOMIA破棄で加熱するテレビの嫌韓煽動を批判
3 『モーニングショー』で「暑さに耐えるのが教育」元高校野球監督は右派論客
4 くりぃむ上田晋也が“政権批判NG”に敢然と反論
5 橋下徹に恫喝された女子高生が告白!
6 『なつぞら』が宮崎駿・高畑勲も闘った「東映動画・労使紛争」を矮小化
7 GSOMIA破棄!八代・有本ら安倍応援団は「嫌なら来るな」
8 久米宏が「テレビが反韓国キャンペーンをやってる」と真っ向批判
9 「あおり運転」警察の過剰捜査とワイドショーの異常報道
10 嫌韓批判で炎上も…石田純一はブレない
11 葵つかさが「松潤とは終わった」と
12 古市憲寿の芥川賞候補作「参考文献問題」に選考委員が猛批判
13 吉川晃司が「俺は現政権がでえっ嫌い」
14 安倍イラン訪問でNHK岩田明子記者がまた安倍フェイクPR
15 自衛隊スパイ事件、官邸が解禁の理由
16 古市憲寿「平成くん、さようなら」と「終末期医療打ち切れ」論
17 ウーマン村本がよしもと社長からの圧力を激白!
18 池上彰が朝日叩きとネトウヨを大批判
19 陸上・朝原宣治がスポーツの政治利用に危機感
20 小木「松本さんが裏で牛耳ってる」文春も松本の吉本支配を批判
1安倍首相と省庁幹部の面談記録が一切作成されなくなった!
2くりぃむ上田晋也が“政権批判NG”に敢然と反論
3金融庁報告書で厚労省年金局課長の驚愕無責任発言
4産経新聞コラムが「引きこもりは自衛隊に入隊させて鍛え直せ」
5安倍首相が「老後2000万円」追及に逆ギレ!
6菅官房長官が望月衣塑子記者への“質問妨害”を復活
7金融庁「年金下がるから資産運用」報告書で麻生太郎が開き直り!
8F35捜索打ち切りと大量購入続行でNHKが「背景に政治性」と報道
9金融庁炎上の裏で安倍政権が「年金」の“不都合な事実”を隠蔽!
10防衛省イージス・アショア失態 、玉川徹が原因を喝破!
11長谷川豊が部落差別発言「謝罪文は馬場幹事長が作った」
12講談社「ViVi」の自民党広告は公選法違反か!
13映画『主戦場』上映中止要求の右派論客に監督が徹底反論!
14渡辺謙が語った『ゴジラ』出演と震災、原発、戦争
15マンガ『スシローと不愉快な仲間たち』第1話
16田崎史郎「65歳から年金もらってます」
17川崎殺傷事件「不良品」発言こそ松本人志の本質だ!
18 香港市民はデモの力示したが、日本は…
19松本人志が「不良品」発言問題で謝罪も説明もなし!
20農水元次官子ども殺害正当化は、橋下徹、竹田恒泰、坂上忍も

カテゴリ別ランキング


人気連載

アベを倒したい!

アベを倒したい!

室井佑月

ブラ弁は見た!

ブラ弁は見た!

ブラック企業被害対策弁護団

ニッポン抑圧と腐敗の現場

ニッポン抑圧と腐敗の現場

横田 一

メディア定点観測

メディア定点観測

編集部

ネット右翼の15年

ネット右翼の15年

野間易通

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

左巻き書店の「いまこそ左翼入門」

赤井 歪

政治からテレビを守れ!

政治からテレビを守れ!

水島宏明

「売れてる本」の取扱説明書

「売れてる本」の取扱説明書

武田砂鉄