角川もジブリも! ドワンゴ川上会長の恐るべき“ジジイ殺し”術

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「もう八十九歳になるのですが、さすが鈴木先生の親だけあって、大変に難しい方です。年寄り扱いされるのが大嫌いなひとで、実際、まだまだ元気なのですが、散歩に連れ出すのも一苦労です」(12年12月27日号)

 そう。川上氏は時折、鈴木プロデューサーの母親の面倒まで見ているようなのだ。このギャップに鈴木プロデューサーはメロメロで、週刊誌の取材にこんな川上評を話している。

「彼は論理の人で、文系を理解できないと言う。けれども、お母さんへの接し方、日記の文章、そしてつねに『人間とは何か』と考える姿勢を見ていると、文学の人としか思えなかった」(「AERA」12年12月17日号)

「(突然弟子入りを申し込まれたことを回想して)今だから、ほんとの気持ちをいうとね──ちょっとうらやましかったんですよ。なぜかと言ったら、ぼくの中にも、どこかにそういう気持ちがあるから。世が世なら……自分が若かったら、同じようなことをするんだろうな、と」(同)

 つまり、今回のKDOKAWAとの統合も、こうしたジジイ殺しの能力を角川会長に対して存分に発揮した結果なのではないだろうか。実際、角川会長も川上氏についての語り口は鈴木プロデューサーとほとんど同じ。川上氏に「(KADOKAWA設立は)出版業界で初めて成立した絶対王政。角川会長は太陽王とか(笑)」とからかわれても、怒るどころか「まったく憎らしいねえ(笑)。全然、腹で思ってもないことを、うれしそうに言うんだよ。だいたい川上くんは、ぼくに焼き餅を焼いているんだ」(「東洋経済オンライン」より)とデレデレしまくっているのだ。

 それにしても、気になるのは今後の展開だ。ジブリのトップに弟子入りしていながら、KADOKAWAの総帥と合体。これは完全に三角関係ではないか。川上氏がKADOKAWA・DWANGO会長就任後も、現在のようなペースでジブリに通い続けるのかどうかはまだ発表されていない。重鎮二人が川上氏をとりあう三角関係の泥沼にはまりこむのか? あるいは、ジブリまでもがKADOKAWA・DWANGO連合に合流する未来もありうるのか? コンテンツ業界の未来がどうとかいう話とはまったく別な意味で、川上氏の周辺からしばらく目が離せそうにない。
(小宮 鰯)

最終更新:2017.12.07 07:34

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