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青木理「戦後最悪の国会」発言にSNSで同意の声殺到! 防衛費増額、入管法改悪、LGBT法…日本の未来を歪める決定の数々
首相官邸HPより
昨日21日、通常国会が閉会した。閉会に合わせておこなわれた会見で岸田文雄首相は、内閣支持率低下の原因となっているマイナンバーカードの相次ぐトラブルについて「新型コロナウイルス対応並みの臨戦態勢」で対応していくと述べた。
「新型コロナ対応並みの臨戦態勢」って、岸田政権はもちろん菅・安倍といった自民党政権下でまともなコロナ対応などやってこなかったというのに、何を言っているのだか。マイナ問題でもコロナ対応同様、結局は自治体や医療機関などが尻拭いを強いられ、さらなる混乱を引き起こすことは火を見るより明らかだ。
だが、国会の閉会をうけて考えるべきは、マイナ問題だけではまったくない。実際、SNS上では、ジャーナリストの青木理が18日放送の『サンデーモーニング』(TBS)で発した一言が大きな注目を集めている。
「(今国会は)戦後最悪の国会だったんじゃないの?って思う」
“悪夢”としか言いようがなかった、あの安倍政権時をも超える「戦後最悪」の国会──。この青木の指摘はまさにその通りで、今国会で岸田政権は今後のこの国の行方を大きく左右する、数々の問題法案を押し通してしまったからだ。
その最たるものが、岸田政権が今国会の最重要法案と位置づけていた防衛費増額の財源を確保するための特別措置法だ。
岸田政権は昨年末の安保3文書で、2023~2027年度の防衛費の総額を43兆円にするとし、新たに14.6兆円の増額が必要であることから、この法案によって税外収入による「防衛力強化資金」の創設を定めることとした。
岸田政権の棄民政策が次々実現…人々の生活を見殺しにして防衛費増額、福島の教訓を捨て原発回帰
そもそも、「北朝鮮のミサイルが北海道に落下する」などという誤報を出した程度の精度しかない国が敵基地攻撃能力の保有など、国民をさらなる危険に陥れるものでしかないだろう。その上、この国には、軍拡のために5年間で43兆円も使えるような余力はない。
しかも、岸田首相は防衛力強化資金を「税外収入による」などと言っているが、この税外収入には、コロナ患者受け入れで大きな役割を果たした公的病院の積立金や、コロナで苦境に立たされた中小企業の資金繰り対策として実施された「ゼロゼロ融資」基金の残金2350億円の返納分が含まれている。いまだ中小・零細企業はコロナで受けた打撃を回復できておらず融資の返済が大きな負担となっていることを踏まえれば、そうしたフォローのためにこそ基金残金は使われるべきだが、岸田政権はそれを軍拡に回すというのである。
加えて、こうした税外収入で確保できるのも4.6兆〜5兆円程度であるため、政府は防衛費増額分をこれまで補正予算の財源とされてきた決算剰余金の活用や増税によって賄う方針だ。しかし、決算剰余金は補正予算の財源が不足すれば国債の発行が増えることになる上、増税分には復興特別所得税の約半分の転用まで含まれている。
軍拡のための増税について、岸田政権は解散総選挙を意識して「2025年以降」へと先送りした。つまり、選挙さえ終われば、社会保障費の削減や消費税増税などを打ち出してくる可能性がある。岸田政権は少子化対策の財源についても年末に先送りしたが、本来、軍拡のための43兆円もの予算は高等教育の無償化、非正規労働者や奨学金返済に苦しむ若者への支援などのために使われるべきだ。だが、岸田政権は「軍需産業支援法案」含め、軍拡へひた走るためだけの法案を今国会で可決、成立させてしまったのである。
さらに、岸田政権が強行した、取り返しがつかない悪法は、このほかにも山ほどある。束ね法案の「GX脱炭素電源法案」では、これまで「原則40年、最長60年」だった原発の運転期間を60年超でも可能に。また、原子力基本法の改定では「国の責務」として「原子力発電を電源の選択肢の一つとして活用する」ことを明記。つまり、福島の教訓を完全に捨て、原発回帰・原発復権へと舵を切ったのだ。
入管法改悪、差別助長するLGBT法…外国人や性的マイノリティの命と尊厳を踏み躙った“反人権国会”
だが、それら以上に今国会を「戦後最悪の国会」たらしめているのは、難民を見殺しにしようという「入管法改悪法案」と、中身が「差別増進法案」にすり替わってしまったLGBT理解増進法案を成立させたことだろう。
詳しくは過去記事をお読みいただきたいが、入管法改悪法案では立法事実が完全に崩れ、齋藤健法相による不祥事隠蔽問題まで発覚したというのに、岸田政権は強行採決を決行。LGBT理解増進法案にいたっては審議自体が自民党議員らによるトランスヘイトを垂れ流す場となり、挙げ句、国会閉会日の21日には、自民党の極右議員らが「全ての女性の安心・安全と女子スポーツの公平性等を守る議員連盟」の設立総会を開催。総会には櫻井よしこや有本香といった安倍応援団のほか、性的マイノリティ差別の冊子配布で問題となった神道政治連盟の打田文博会長も駆けつけたという。じつは、LGBT理解増進法案が衆院内閣委員会で審議入り・即日採決された当日の6月9日、岸田首相は打田会長と同連盟国会議員懇談会の中曽根弘文会長らと面談をおこなっている。
国民生活を無視した防衛費増額財源確保のための法案、軍需産業を支援し武器輸出を推進する“死の商人”国家に突き進むための法案、危険を顧みない原発推進の法案、外国人や性的マイノリティの人権を踏みにじって差別を助長するための法案──。トラブル続出のなかで強行された保険証をマイナカードに一本化する法案も酷いが、それ以外にも今国会ではこれだけの悪法が通ってしまったのである。まさに「戦後最悪の国会」と呼ぶべきものだろう。
ちなみに、原発推進法案やマイナ一本化法案、入管法改悪法案、LGBT“差別増進”法案は、いずれも日本維新の会と国民民主党が賛成に回って与党をアシスト。維新や国民民主は「対決より解決」「(立憲や共産は)反対ありき」などと他の野党批判ばかりしているが、こうした第2自民党の連中がマイナ一本化などの悪法成立に加担したのである。
岸田首相は今秋にも臨時国会で解散するのではないかと囁かれているが、この国会で岸田政権が露呈させた「安倍政権以上」の危険性について、もっと指摘・批判されるべきだ。
(編集部)
最終更新:2023.06.22 07:46
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