平井卓也デジタル相のNTT接待「きっちり割り勘」は真っ赤な嘘、「文春」から取材受け慌てて支払い! 嘘に嘘を重ねる悪あがきの全貌

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平井卓也公式HPより


 9月1日に発足したデジタル庁のトップに就任したばかりの平井卓也デジタル大臣。平井氏については、東京五輪・パラリンピック向けアプリ(通称オリパラアプリ)でNECへの「徹底的に干す」「脅しておいて」というパワハラ発言の一方、再委託先企業との癒着など、不祥事や疑惑が次々浮上してきたが、ここにきて、もっととんでもない事実が明らかにあった。平井氏自身が、オリパラアプリ受注企業の親会社であるNTTから高額接待を受けていたにも関わらず、隠蔽工作をしたうえ虚偽証言を行っていたのだ。

 デジタル庁では、発足1カ月も経たずして、事務方ナンバー2、次官級の幹部である赤石浩一・デジタル審議官の接待問題が発覚。24日には、接待企業を明かさないまま、民間企業から会食接待を受けたことが国家公務員倫理規程違反にあたるとして、減給10分の1(1カ月)の懲戒処分を発表していた。

 ところが、きょう27日になって、デジタル庁は改めてこの接待問題に関する説明会を開き、赤石審議官が接待を受けたのがNTTだったこと、そして、接待は計3回あり、うち2回は平井卓也デジタル相が同席していたことを明らかにした。そして、会食費は、約半年後の今年6月下旬になって平井氏が割り勘にしているが、事後的であるため、実質的に接待に当たると判断したと説明した。

 これだけだと、デジタル庁と平井大臣が自ら接待を受けていたことを自ら率先して明かしたように読めるが、そうではない。平井大臣がこの問題で嘘に嘘を重ねた結果、つじつまが合わなくなって、デジタル庁も本当のことを認めざるをえなくなったのだ。

 この間、一体何があったのか。平井大臣の卑劣でみっともない醜態を改めて振り返っておこう。

 そもそも、平井大臣のNTTからの高級接待は、今年6月、「週刊文春」(文藝春秋)6月24日発売号の報道から始まっていた。文春は、大臣就任以前に少なくとも計6回、大臣になってからも、昨年10月2日と12月4日、平井大臣がNTTの澤田純社長から会食接待を受けていたと会食接待を受けていたこと、そして、このあとに、同社の100%子会社であるNTTコミュニケーションズがオリパラアプリを受注し、NECが外されたあとも、優遇されていたことを報じた。

「きっちり割り勘」と強弁していた平井大臣 文春の取材のあとに慌てて支払ったことが発覚して大恥

 ところが、平井大臣は「週刊文春」の発売日の翌日、6月25日に開かれた閣議後会見でこの問題を問われ、NTT幹部と8回の会食は認めたが、「日頃から多くの方々としている意見交換」のひとつで、「個別のプロジェクトの調達に関する話はしようがない」「大臣規範にのっとった対応をしており、国民から疑念を招くようなことはない」と強弁。費用についても、以下のように述べていた。

「私の費用負担ですね。私と同席していた事務方の分をきっちりと支払っております。これは先方からの請求どおり、割り勘として問題のないようにきっちり払ったということで、私の会食を対象にするかどうかは、コンプラ委員会が決めることだなと。ですから会食も含めてやっていただいても全然結構なんですけれども、そういうことです」

 平井氏は、会食の費用について「同席の事務方の分も含めて割り勘にしてきっちり払ったからなんの問題もない」と言い切り、「コンプラ委員会で調べるなら調べろ」と啖呵を切っていたのだ。

 しかし、今回、デジタル庁は、大臣になってからの2回の会食の割り勘が会食から半年後の「事後的」であることを認めただけでなく、平井氏が割り勘の支払いが、「週刊文春」からの取材を受けた日であることを明かした。

 ようするに、平井大臣は、「文春」に高級接待を受けていた事実を突きつけられてあわてて費用を払っただけ。泥棒が盗んだものを返したからといって罪が消えないのと同じで、「割り勘」でもなんでもない。閣議後会見での威勢のいい説明は、完全に虚偽だったのである。これで「大臣規範にのっとっている」「国民に疑念を招くようなことはない」などといいはっていたのだから、その厚顔ぶりに呆れ果てるしかない。

 しかも、6月の「文春」報道後の会見のあとも、平井デジタル相の不正隠蔽の姿勢は全く変わらなかった。もはや言い逃れできないような事実が明らかになっても、まだ悪あがきを続けていた。

 それが冒頭で紹介した事務方ナンバー2、次官級の幹部である赤石浩一・デジタル審議官の接待発覚と処分発表だ。

 デジタル庁の前身である内閣官房IT総合戦略室では、この間、オリパラアプリをめぐり「文春」が報じたNTTからの接待も含めて、さまざまな疑惑が噴出したことから、弁護士などを入れて内部調査をせざるをえなくなっていた。その結果、赤石審議官と、やはり「文春」に報じられた向井治紀・元内閣官房IT総合戦略室室長代理(9月1日付けで退職)、そして平井大臣がNTTグループからの高額接待の会食に同席していたことが判明。

 これを受けて、9月24日、デジタル庁は、赤石審議官の国家公務員倫理規程違反と処分を発表、昨年10月2日にひとり約3万円の飲食代と手土産、タクシー代、12月4日はひとり約4万円の飲食代とタクシー代の高級接待を受けていたことを明らかにした。

 ところが、平井デジタル相はこの処分発表の会見の際、自分がその2回の会食に同席して、同じように接待を受けていたことを一切語らなかった。

 それどころか、接待した側がNTTであることがわかると、自分が同席した「文春」の件であることがバレるため、この時点では、企業の名前を明かさないという呆れたやり口をとっていた。

高額接待で赤石審議官の処分を発表をしながら自分が同席していたことは隠した卑怯な平井大臣

 もっとも、昨年10月2日と12月4日は、平井大臣らのNTTから接待を受けた日付であることは新聞各社も「文春」の報道で把握している。当然ながら、処分が発表された赤石氏が接待を受けた相手はNTTで、その席に平井大臣が同席していたのではないかという疑念が持ち上がった。

 まず、ある記者から“今回の赤石氏の処分はデジタル庁準備中に報道された接待と関係があるのか”という質問が飛ぶ。しかし、これに対して、平井デジタル相はこう逃げた。

「赤石さんは直接私の担当ではなかったということもあって、私からはあまり出過ぎた発言はする必要はないだろうと思うので、事務方に訊いてください」

 直属の部下である事務次官級の不祥事が判明したのに、大臣が「出過ぎた発言は必要ない」とはもはや言い訳にすらなっていないが、平井大臣はその後もなりふりかまわず逃げ続けた。

 会見の最後には、朝日新聞の記者が「赤石氏が出席していたその会食に大臣は出席していたのか」と質問したのだが、平井デジタル相はなんと「そのことについても、事務方にお問い合わせ願いたい」と回答を拒否したのである。

 自分が参加しているかどうかの問題なのに、事務方に聞けとは……。ここまでくると、ふだん弱腰の記者クラブもさすがに黙っていられなかったのだろう。東京新聞によると、会見後には記者団が事務方のコンプライアンス担当に説明を要求。すると、〈当初は「個別の会食の参加者は公表対象ではない」などと繰り返し、事実関係に触れたがらなかった。しかし、記者団がさらに追及すると、担当者は一転、「中には大臣が同席していた会食が含まれていた」と認めた〉という。

 そして、24日夕方におこなわれた官房長官の定例会見で加藤勝信官房長官が、平井デジタル相が一部の接待に同席していた事実を認め、大臣給与1カ月分を自主返納すると明らかにした。

 しかし、平井大臣は前述したように、「同席の事務方の分も含めて割り勘にしてきっちり払ったからなんの問題もない」と言い切っており、だとしたら、赤石審議官や自身が処分されたことと矛盾が生じる。報道陣がさらに追及の姿勢を見せていたところ、きょう、突然、デジタル庁で説明会が開かれ、「割り勘」が「文春」から取材を受けたあとの「不正隠蔽」に過ぎなかったことが明らかにされたのだ。

 だが、現段階では当の平井大臣からは、何の説明も謝罪もない。おそらく総裁選のどさくさにまぎれてなかったことにしてしまう作戦なのだろう。

たんに「嘘つき」だけじゃない 高額接待後にNTTグループ優遇で収賄疑惑も

 しかし、デタラメだらけのこの大臣をこのままですませていいはずがない。いっておくが、この問題は平井デジタル相が接待を受けながら、「割り勘」と嘘をついていたことだけではないのだ。

 平井大臣が、NTTの澤田社長から高級接待を受けたのは、昨年10月2日と12月4日の2回だったが、2回目の接待の直後である28日は、平井大臣率いる内閣官房IT総合戦略室はオリパラアプリの開発・運営の民間委託の入札の公示日だった。そして、公示日の直前である24日、NTTコミュニケーションズに事前に仕様書案を提示し、参考見積の提出を求める優遇措置をとっていたことも判明している。

 そして、実際に、オリパラアプリを落札したのはNTTコミュニケーションズを代表幹事とする5社による共同事業体だった。
 
 また、平井大臣は今年5月になってオリパラアプリの事業費減額を打ちだし、「干す」と宣言したNECを外すなどした一方、NTTコミュニケーションズには減額後も全体の6割、約23億円分の受注を確保している。

 タイミングを考えれば、この接待が影響を与えていないと考えるほうがおかしい。会食接待問題を「週刊文春」が報じた際、元東京地検特捜部検事である若狭勝弁護士は「会食の場で大臣の職務権限に絡む話が少しでも出ていれば、業者側から具体的なお願い事をしていなくても、単純収賄罪に該当する可能性があります」とコメントしていたが、収賄に当たる可能性は十分ある。

 また、平井デジタル相をめぐっては、前述したオリパラアプリの再委託先に、オーナーと親密で株まで持っているIT企業の子会社をねじ込み、優遇した利益相反疑惑もある(詳しくは過去記事参照→https://lite-ra.com/2021/09/post-6005.html)。

 まさに、平井デジタル担当相は疑惑だらけなのだ。しかし、総裁選報道が加熱するテレビは「どうせ閣僚が変わるから」とばかりに、本格的な疑惑追及はもちろん、平井デジタル相の醜い嘘だらけの会見すらほとんど伝えていない。

 だが、平井デジタル相は菅義偉首相が辞任の意向を発表するより前の9月1日に、テレビ番組で堂々と岸田文雄氏の支持を表明。菅内閣で岸田氏支持を真っ先に明言した人物。つまり、岸田氏が次期総裁・次期首相となった場合、平井氏を据え置きにすることは十分に考えられるのである。

 また、仮にデジタル相が変わっても、今回あらわになったデジタル庁の隠蔽体質は絶対に看過できるものではない。平井大臣の言いなりに、接待元の企業名を隠すだけでなく、平井大臣のオンライン定例会議の音声データについて、すでに朝日新聞が公開したパワハラがあったもの以外はすべて廃棄していたことも発覚したのだ。

 こんな横暴かつ下劣な人物がデジタル庁のトップである事実ひとつとっても、自民党政権下ではいくら省庁再編・新設したところで利権・不祥事のデパートと化すだけだということがよくわかるというものだが、こうした無責任な大臣をのさばらせてきたのは、疑惑や不正を真正面からただそうとしないメディアの責任も大きい。総裁選のこのタイミングだからこそ、安倍・菅政権下においてわがもの顔で振る舞ってきた大臣の問題をきっちり追及するべきだろう。

最終更新:2021.09.27 09:13

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