DHC吉田会長が今度は「NHKの社員はほとんどがコリアン系」「経団連もコリアン系」とヘイトデマ! それでもマスコミは批判せず

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DHC公式オンラインショップより


 DHCの創業者・吉田嘉明会長がまたぞろ犯罪級のヘイトデマをふりまいている。今度はNHKに対して「幹部・アナウンサー・社員のほとんどがコリアン系」「出演者についても、学者・芸能人・スポーツ選手の多くがコリアン系であり、ひどいことに偶然を装った街角のインタビューさえコリアン系を選んでいる」などとネトウヨそっくりの差別陰謀論をわめきたてたのだ。

 DHCといえば、全国のコンビニ・ドラッグストアで化粧品やサプリメントを大量に販売し、テレビでCMをばんばん流している有名企業だが、トップの吉田会長はこれまでも度々差別発言を繰り返してきた。

 昨年12月にも、同社の公式オンラインショップ上のコラムで、サプリ商品で競合しているサントリーについて〈サントリーのCMに起用されているタレントはどういうわけかほぼ全員がコリアン系の日本人です。そのためネットではチョントリーと揶揄されているようです〉〈DHCは起用タレントをはじめ、すべてが純粋な日本企業です〉などと、ヘイトスピーチそのもののデマ文章を掲載、強い批判を浴びている。

 そんななか、この4月9日、NHK 『おはよう日本』が「問われる企業の人権意識」特集で、フジ住宅の従業員に対するレイシャルハラスメント問題ととともにこの吉田会長の差別コラムの問題を取り上げたのだ。

 特集では、企業の実名を出した上で、ヘイト問題に長年取り組んでいるジャーナリスト・安田浩一氏の「絶対に看過できない」というコメントなどもを紹介。DHCに対しては、大きな批判を浴びた上述の差別コラムをいまだ公開し続けていることについて、見解を求めた。

 マスコミにありがちな「どっちもどっち論」に流れることなく、差別を明確に批判したその内容は、真っ当で非常に意義のあるものだったといえるだろう。

 ところが、このNHK『おはよう日本』の取材に対して、吉田会長は12月に問題になった公式オンラインショップ上のコラムに続ける形で、新たな差別デマを書き連ねたのである。文章はまず、こう始まる。

〈NHK「おはよう日本」報道局ディレクター 大渕光彦と称する人物からDHCの候補部に電話が入り、当方の「ヤケクソくじ」の説明文に人種差別の問題が含まれていて、今に至ってもまだホームページに掲載が続いているがその理由を聞かせてくれとのことであった〉
〈名前を聞いて、明らかに在日系が好む日本名であることから、NHKを騙るコリアン系の反日日本人かと思ったが、NHKに問い合わせてみると確かに在籍しているとのこと。〉

「明らかに在日系が好む日本名」「コリアン系の反日日本人」とか、すでに、この時点で在日コリアン差別丸出しだが、あ然とするのは、このあとだ。

〈小生は常々、日本の朝鮮化ということを何よりも危惧しているが、その元凶であるNHKからの問い合わせに小躍りした。〉
〈朝鮮化ということではNHKは最も触れられたくない問題のはずである。これはもう日本国民の誰もが気がついていることであると思うが、NHKは幹部・アナウンサー・社員のほとんどがコリアン系である。出演者についても、学者・芸能人・スポーツ選手の多くがコリアン系であり、ひどいことに偶然を装った街角のインタビューさえコリアン系を選んでいる。予めリストアップしているのである。特徴のある名前とつき出たあご、引きしまった小さな口元、何よりも後頭部の絶壁ですぐ見分けがつく。〉
〈サントリーが日本海を「東海」と言おうが、社員・タレントをコリアン系ばかりにしようと、一私企業であるから誰も文句は言えない。NHKは全国民から強制的に受信料をむしりとっている公的機関であるから放置するわけには行かない。〉

 そう、吉田会長は、NHKの幹部、社員、出演者、さらには、街頭インタビューに出てくる一般人までを、「コリアン系」だと決めつけているのだ。NHKの局員や出演者にコリアンルーツの人がいるとしてもなんら問題ではないし、このように国籍やルーツをあげつらうことは、外国籍や外国にルーツを持つ人々の生存権を奪うことにつながる差別煽動以外のなにものでもない。しかも、「名前や外見ですぐ見分けがつく」などと言っているところをみると、「コリアン系」という言葉を「反日」の比喩として言っているのでなく、NHKが在日コリアンに乗っ取られていると本気で信じ込んでいるらしい。

NHKだけでなく、野党、自民党の一部、経団連も「コリアン系で占められている」というDHC吉田会長

 しかも、吉田会長がコリアン系に支配されていると主張するのは、NHKだけではない。その後の文章には、こんな荒唐無稽なヘイトデマが展開される

〈誰がこんなふうにしてしまったのかというと自民党の一部のコリアン系の国会議員であるが、野党はコリアン系だらけだからNHKのやることには誰もストップをかけない。〉
〈党員のほぼ全員がコリアン系である立憲民主党は、総務省の役人がNTTの接待に応じたかとかのどうでもよい文春の三流記事を盾にして連日のように国会でがなり立てている。そんな場合ではなかろう。国境を侵して侵入している敵には即座に銃撃して追い返すのが常識であろう。〉
〈小生のことをマスコミ(これもコリアン系ばかり)は人種差別主義者だと言うが、人種差別というのは本来マジョリティがマイノリティに対して行う言動を指すのであって、今や日本におけるコリアン系はマイノリティどころか日本の中枢をほとんど牛耳っている大マジョリティである。〉
〈毎日ものすごい数で帰化人が誕生している。数だけの同族でマジョリティではなく、彼らは東大・京大・一橋・早稲田を出ていることから政界・財界・法曹界・マスコミ界という日本の中枢をすべて牛耳っている大マジョリティである。〉
〈小生はもともと経団連の会員であったが、呆れ果てて昨年の12月に退会した。経団連の会員は日本を代表する有名企業ばかりで、コリアン系などいないと思われるでしょうが、ここ数十年の間に続々とコリアン系が増殖して、幹部や一般会員だけでなく、会を支える事務局員までコリアン系で占められるようになった。そのため、彼らは日本のために働いているのではなく、何かあると必ず中国寄りの態度を示し、韓国には常に同情的である。〉

 そして、吉田会長は〈言いたい事はきりがありませんが、NHKに対してひと言感想をと言われれば、「NHKは日本の敵です。不要です。つぶしましょう。」〉と、文章を締めている。

 NHKだけでなく、野党、自民党の一部、さらには経団連までがコリアン系で占められていると書く吉田会長。ネットに横行するヘイトのなかでももっとも質も悪いネトウヨの陰謀論を抽出して煮詰めたような主張だが、しかし、これこそが最近のレイシズムの典型だ。

「サントリーCM出演者は全員コリアン系」発言のときも、テレビは報道せず、DHCのCMを流し続けた

 当然の権利を主張しているマイノリティ、被差別者を、マジョリティ、支配者と思い込むこの妄想の背景には、被差別者、マイノリティは表に出てくるな、主張するな、というグロテスクな排除思想、差別思想がある。

 しかも吉田会長は、“日本にコリアン系が多数いる”とさんざん繰り返した上で、〈国境を侵して侵入している敵には即座に銃撃して追い返すのが常識〉などと、ヘイトクライムを扇動するようなことまで書いている。

 繰り返すが、DHCは、全国のコンビニ・ドラッグストアで化粧品やサプリメントを大量に販売し、テレビでCMをばんばん流している。そんな企業のトップがこんな犯罪的な差別デマを主張することが許されるのか。欧米なら、それこそ会社自体が存続の危機に晒されるような事態だろう。

 ところが、このとんでもないヘイトコラムについて、メディアはほとんど批判していない。ネットでは批判が高まっているが、新聞・テレビの大マスコミでこの問題を報道したのはいまのところ、朝日新聞、共同通信など、リベラル系メディアだけ。テレビは一切報道していないし、コリアン系に支配されているとデマ攻撃にさらされたNHKも『おはよう日本』が報道したきりで、局としては反応していない。

 これは、昨年12月に、吉田会長が同じようにサントリーのCM出演者をコリアン系ときめつけたときも同様だった。ネットで大きな騒ぎになり、〈#差別企業DHCの商品は買いません〉など複数の抗議ハッシュタグがトレンド入り、イギリス・BBCなど海外メディアからも批判報道が相次いだが、やはり報道したのは、東京、毎日、朝日などのリベラルメディアだけ。読売、産経、日経などは完全スルーで、テレビにいたっては一切触れなかったばかりか、そのままCMを流し続けた。

 その結果、DHCと吉田会長は問題のコラムを撤回も掲載し続け、今回、再び同様の主張を繰り返したのだ。

 マスコミはなぜ、DHCの差別問題にここまで及び腰なのか。もちろん、マスコミにはもともと差別問題を“面倒なもの”として避けようする傾向があるが、それでも政治家の女性差別発言などがあれば、ワイドショーなどでも一応、取り上げられることがある。ここまで沈黙するというのは、明らかに異常だろう。

 昨年12月、吉田会長のサントリーに対する差別デマコラムがネットで問題になったとき、コラムニストの小田嶋隆氏が、ツイッターでこう指摘していた。

〈DHCの問題は、単に「差別を拡散する企業が実在している」というだけの話ではない。そういう企業がテレビで番組を持ち、CMを打ち、有名タレントを起用し、コンビニに棚を確保し、新聞に広告を掲載することを許しているこの国の現状こそが問題だと思う。カネさえ払えば何をやってもいいのか、という。〉

テレビがDHCの差別を一切批判しないのは、広告スポンサー料に目が眩んでいるから

 小田嶋氏の指摘するとおり、吉田会長やDHCがどんなひどい韓国ヘイトや歴史修正主義を口にしても、マスコミがなんの追及もしないのは、DHCが大きなスポンサーで自分たちにお金を落としてくれる存在だからだ。

 マスコミは、DHCがくれる莫大な広告料に目がくらんで、問題じたいをなかったことにし続けてきたのだ。

 実際、吉田会長は2016年に「DHC会長メッセージ」のなかで在日コリアンにかんするデマを書き立てた上で〈似非日本人はいりません。母国に帰っていただきましょう〉などとヘイトスピーチを堂々と掲載した(詳しくはhttps://lite-ra.com/2017/01/post-2865.html)が、このときもテレビや新聞は批判どころか、その話題じたいを取り上げることもなく、DHCの広告やCMを流し続けた。

 同じような構図は、DHC以外のヘイト企業でも起きている。

 今回のNHK『おはよう日本』が在日コリアンのパート社員に対してレイシャルハラスメントを行った問題を取り上げたフジ住宅。創業者が「南京大虐殺はなかった」などと歴史修正主義を撒き散らしているアパホテル。院長がTwitterでホロコーストを否定したり「チョン」などという差別語を平気で口にしたりネトウヨ発言を連発する高須クリニック。こうした差別企業や経営者は一方で、CMを大量出稿し、マスコミに巨額の広告料をバラマキ続けているため、マスコミからまったく追及を受けないどころか、ワイドショーなどで「名物経営者」「注目企業」として好意的に取り上げられることすらある。

 ようするに、日本のマスコミがきちんと批判しないため、こうした企業がどんなヒドい差別発言をしても、本格的に責任を追及されず、「ネット上のちょっとした騒ぎ」で終わってしまう、ということが繰り返されているのだ。

 その結果、彼らは今回の吉田会長のように、自分たちを正当化し、さらにヘイトをエスカレートさせているのである。

 そういう意味では、DHC・吉田会長による一連のヘイトデマ、差別的妄想は、広告料に目が眩んで批判を放棄したマスコミにも責任があるといっていいだろう。

 これは、昨年12月のサントリーCM出演者に対するヘイトデマ攻撃のときにもいったことだが、メディアは単なる営利企業ではなく報道機関として、より高い倫理が求められる。広告料に目がくらんで差別をスルーすることは、ヘイト企業にお墨付きを与え、差別に加担することとイコールだ。そのことをマスコミにわからせるためにも、DHC吉田会長の差別発言問題をこのまま終わらせてはならない。

 とくに「幹部・アナウンサー・社員のほとんどがコリアン系」「出演者についても、学者・芸能人・スポーツ選手の多くがコリアン系」と差別デマ攻撃を受けた当事者であるNHKは、差別をなくすためにも、法的措置を含めた毅然とした対応をすべきだろう。

最終更新:2021.04.11 01:01

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