河野太郎のパフォーマンスがひどい!「行政改革目安箱」は自分のHPに設置で私物化、閣僚就任会見攻撃も「知る権利」奪う目的

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河野行革相のTwitter


 菅義偉首相がぶち上げた「規制改革」の推進役として行政改革・規制改革相に抜擢された河野太郎が、さっそく大暴走を繰り広げている。就任早々に立ち上げた「行政改革目安箱」の一件だ。

 菅首相は16日におこなった総理就任会見で、河野大臣に「縦割り110番」のようなものを設置することを指示したと明かしていたが、それを受けて河野行革相は17日の15時31分、自身のTwitterでこう宣言した。

〈行政改革目安箱(縦割り110番)を立ち上げました。
無駄な規制、仕事を妨げている規制、役所の縦割りで困っていること等々、規制に関する情報をお送りください。
霞ヶ関の住民からのインプットも歓迎します。〉

 しかし、この河野行革相の呼びかけに対して同日23時ごろまでに3000通以上のメールが殺到し、その約1時間半後、日をまたいだ18日0時28分に河野行革相はTwitterで「受付の一時停止」をアナウンス。18日におこなわれた閣議後会見で一時中止の理由を“1人で返信する範囲を超えたため”とし、「全てのメールに自分で返信するとした手前、昨夜読んだが、100通くらいかと思っていたら食事中に1000通、3000通と増えた」と説明した。

 思いつきではじめたら想像を超える声が寄せられ、対処できなくなったために1日も経たず目安箱を撤収させる──。ようするに、自身の「突破力」アピールのために見切り発車させただけの話だったわけだが、しかしネット上では「即行動に移すのはさすが」「情報が集まったことはいいこと」などと称賛を受けている。

 だが、この河野行革相の言動は、まったく褒められたものではなく、むしろ批判されるべきものだ。

 まず問題なのは、「行政改革目安箱」を設置した場所が内閣府のHP上などではなく、自身のHP上だったこと。つまり、政府として情報提供を募ったのではなく、河野太郎事務所という個人として募ったということになる。その個人が募った情報を、どうやって行政が管理し反映させることになるのか、そうした説明が一切ないまま始められたのである。しかも、「行政改革目安箱」に投稿をおこなうフォームでは、氏名や住所、メールアドレスといった個人情報も「必須」で入力する仕様となっていた。この河野太郎事務所で集められた個人情報は一体どういう扱いになるのか、そうした説明もHP上にはまったくなかった。

 しかし、この個人情報の取り扱いや情報流出も懸念される点について、加藤勝信官房長官は「投稿される方は、セキュリティーの状況も踏まえながら投稿されるんだろう」などとコメント。つまり、責任は国民に丸投げ状態なのだ。

目安箱は「ブロック太郎」のTwitterで呼びかけ、河野批判をしたユーザーは情報遮断

 だが、これがそもそも大きな問題なのは、河野行革相が情報提供の呼びかけをおこなったのがTwitter上だったことだ。河野行革相のTwitterアカウントのフォロワー数は約189万と閣僚のなかでもダントツのトップだが、一方で河野氏は自分に批判的なユーザーをブロックしていると言われ、「ブロック太郎」とさえ呼ばれている。つまり、国民に広く情報や意見を募ろうというのに、ブロックされている人は情報提供の呼びかけツイートを見ることができなかったのだ。

 防衛相時代も「災害時に河野大臣はTwitterで一生懸命情報発信してきた」などと持ち上げられてきたが、その災害情報を受け取れない国民が多くいたように、今回も国民に情報提供を呼びかけようというのに、批判的な人はそもそもそこから弾かれていた──。言っておくが、これは閣僚としてあるまじき態度であり、実際、アメリカの連邦控訴裁判所は、トランプ大統領が自身に批判的な投稿をおこなったユーザーをブロックしていることが違憲だと判決を下している。

 しかし、河野氏は国民をブロックしていることを正当化さえしている。今年2月21日の閣議後会見では、沖縄タイムス記者のアカウントをブロックしていることについて問われると、「誹謗中傷うんぬんはブロックしている」と発言。〈閣僚の考えに合わない人に情報アクセスを制限することにつながること〉についても、「まったく問題ない。個人が暇つぶしでやっているものにとやかく言われることはない」と言い放ったのだ(沖縄タイムス2月22日付)。

 つまり、河野行革相は、公平・公正に国民に呼びかけるべきものを、「個人が暇つぶしでやっているもの」にすぎないと言い張っている場所で、しかも自分にとって都合の悪い人を締め出した閉じられた空間でおこなったのである。その時点で、完全にアウトではないか。

 だいたい、大前提としていま政府が改革すべきは「縦割り行政」などではなく「行政の情報公開」であることは言うまでもない。公文書の改ざんという歴史的犯罪をしでかしながら、このコロナ禍にあっても政府内や専門家の議事録さえ公開されないという異常事態を考えれば、真っ先に行政改革すべきなのは「記録をしっかり残し、国民に開示する」ことだ。

 しかし、森友文書の改ざんを財務省の官僚たちに指示した疑いが濃厚な菅首相はそうした情報開示に対する批判を無視し、むしろ総裁選の最中から「役所の縦割りをぶち破る」などと宣言。「自分の方針に反対する官僚は異動させる」と明言したことが象徴的なように、結局のところ「縦割り打破」というのは官邸支配の強化、忖度政治を加速化させるものでしかないのだが、菅首相の子飼いである河野氏は熟慮もなく菅首相の主張を振りかざし、あたかも必要な改革であるかのようにパフォーマンスを繰り広げているのである。

河野の「閣僚就任会見は各省でやればいい」は会見の意味を全く分かっていない

 このパフォーマンスは、大臣就任時の閣僚リレー会見への批判発言もまったく同じだ。

 深夜に及ぶ閣僚の就任会見について、河野行革相は「各省に大臣が散ってやりゃあ、もういまごろみんな終わって寝てますよね。それを延々、ここでやるというのは前例主義、既得権、権威主義の最たるものだと思いますんで、こんなものさっさとやめたらいいと思います」と批判。翌日にはその様子がさっそくニュースやワイドショーで取り上げられ、テレビのコメンテーターもネット上も「まったくそのとおり」「よくぞ言った」と河野行革相を褒めそやした。

 しかし、「あり方を見直して翌朝におこなうべき」などと言うならまだしも、閣僚が国民の知る権利にこたえる場である会見を「やめたらいい」などと言うこと自体、本来は大問題発言だ。

 しかも、河野行革相は「各省でやればいい」と言うが、省庁で同時にやれば国民がすべての会見を生で見ることができなくなる。さらに、省庁でおこなう会見が個別の政策について掘り下げる場である一方、官邸でおこなう会見のほうは大臣としての資質やどういう政治思想や背景を持っているのかといったことを質す場でもある。実際、かつてはその内閣が掲げる政治的課題や国民から求められている課題、あるいは歴史認識などについて、全閣僚に質すというようなことがおこなわれていた。つまり、会見としての意味合いはまったく違うのだ。

 行政改革を訴える立場なのだから会見日程の見直しを訴えればいい話なのに、時間帯の問題を取り出して官邸会見自体が無駄であるかのように話をずらし、「やめるべき」など叫ぶ──。ようするに、河野行革相の発言はたんに国民に説明する場を減らそうというだけのものなのだ。実際、河野氏は外相時代に会見で記者から受けた日露関係の質問をすべて「次の質問どうぞ」で押し通し、何ひとつ答えないという前代未聞の態度をとった前科があるが、会見を減らそうとすることは大臣としてあるまじきものだ。

 この、「前例主義」だの「既得権」だのを叫ぶことで威勢の良さを見せ、「改革」という名で本来必要なものをぶっ壊すという手法は元大阪市長の橋下徹氏とまったく同じやり口だが、それを菅首相は国政で展開すべく、その役割を河野氏に担わせた。そして実際に、どう考えても批判されるべき「会見やめろ」発言や「行政改革目安箱」が、「さすがのスピード感」「突破力が違う」などと評価されるという状況が生まれているのである。

 これはリベラル層も同じだ。河野氏といえばハト派の重鎮だった父・河野洋平氏の存在や、原発事故以前から脱原発を訴えてきたことなどから「自民党内リベラル」という印象をもっている人も多いが、それはすでに過去のことであり、河野氏はアメを与えられて尻尾を振り、主義主張も簡単に変えて寝返ってきた。実際、最近ではネトウヨの支持をとりつけるために「北朝鮮との国交断絶」を叫んだり、徴用工問題ではわざわざマスコミのカメラの前で駐日韓国大使の発言を遮って「極めて無礼」などと怒り出す“嫌韓パフォーマンス”を繰り広げる始末。さらに、17日の会見では、沖縄に基地が集中している問題について「それをメリットにしていくことを真剣に考えないといかん」などと言い出し、基地の存在によって沖縄の中高生の英語力強化につなげようとする暴言まで飛び出した。

 この調子で河野行革相が持て囃されつづければ、その「突破力」という横暴によって、菅首相が目指す官邸支配の強化や「まずは自分でどうにかしろ」という自己責任社会、ネトウヨ人気を維持するための嫌韓嫌中はどんどん進んでいくことになる。だからこそ、菅政権のなかでもとりわけ河野行革相の言動にはよりいっそう注視する必要があるだろう。

最終更新:2020.09.19 02:21

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