コロナ補償で「在日外国人、生活保護受給者に払うな」の排除論が跋扈! ネトウヨ、小野田議員や百田尚樹だけでなく安倍首相も

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小野田紀美Twitterより


 新型コロナウイルスをめぐり、生活者への「一律の現金給付」など幅広い補償を求める声が高まっているが、安倍首相はまったくそんなつもりはないらしい。

 昨日の参院決算委員会で安倍首相は、「現金給付については国民全員に一律で行うのではなく、甚大な影響を受けている中小・小規模事業者の方々やフリーランス、個人事業主の方々をはじめ、仕事が減るなどにより収入が減少し生活に困難を来しているご家庭の方々に、この困難を乗り越えていただき、事業の継続のため、生活を維持していくために必要な額をできるだけ早期に提供したい」と答弁した。

 目の前の家賃や生活費に困っている国民がすでに出てきているのだから、とにかくスピード重視で一律給付するしかないのはバカでもわかる話だが、安倍首相はこの期に及んで金を出し渋り、しかも複雑な申請制度にするつもりらしい。さらに気になるのは、安倍首相がその絞り込み方について「高所得者を除く」などではなく、新型コロナによって「甚大な影響を受けている人」「収入が減少した人」を対象にすると強調していたことだ。

 もしかしたら、安倍首相は、生活に困窮しているとしても、コロナによる収入の減少が証明できない人については、切り捨てるつもりなのではないか。

 それどころか、いま、安倍首相の取り巻き議員や応援団、支持者からは、「在日外国人には現金給付するな」「生活保護受給者にさらに払うなんてありえない」というとんでもない声が上がっている。

 たとえば、ネトウヨ的発言で知られる自民党の小野田紀美参院議員は3月30日、党の新型コロナ対策本部会議で〈一律現金給付等は当然国民に限るよう徹底する旨も要望致しました〉とツイート。そのうえで、「マイナンバー保持者に小切手一斉送付を速やかに行い、事後チェックで違反があれば罰則」というリプライに対して、〈マインナンバーは住民票を持つ外国人も持ってますので、マイナンバー保持=給付は問題が生じます〉と返信した。

 さらに、小野田議員は4月1日にも、〈生活保護についても最高裁は「外国人は生活保護法に基づく保護の対象となるものではなく、同法に基づく受給権を有しない」としています。厚労省の国会を通さぬ通知ゆえ生活保護を外国人に出してますが、憲法が生活を保障しているのは「国民」〉などと投稿している。つまり、「日本で生活する外国人は現金給付の対象から除外しろ」「外国人の生活など保障しなくてもいい」とがなり立てているのだ。

 明らかな国籍差別、人権軽視としか言いようがない。改めて言うまでもないが、「現金給付」の財源は税金だ。外国籍の人々も日本で生活している以上、税金を納めている。当然、政府はその生活を保障するのが当たり前である。しかも、小野田議員が悪質なのは、あたかも「外国人の生活保護受給は違法と最高裁が判断した」かのように言いふらしていることだ。おそらく、これは2014年7月の最高裁判決を言っているのだろうが、実際の判決文の趣旨は、“生活保護法の範疇ではないが、永住・定住等一定の資格を持つ外国人は行政措置として事実上の保護の対象になる”というもの。つまり、行政によるセーフティネットは外国人にも適用されると述べているのである。

 繰り返すが、すべての生活者を保護するのが政府の責務であって、国籍は無関係だ。こんな剥き出しの外国人差別が、政権与党である自民党の新型コロナ対策本部で飛び出しているという事実に目眩がしてくるが、これは小野田議員に限った話ではない。

百田尚樹は「生活保護受給者、年金生活者はコロナで収入減らないから給付するな」

 生活保護受給者排除も同様だ。百田尚樹氏は〈今回のコロナウイルスで収入が減った国民のために、国民全員にお金を給付する話が出ている。それは賛成だが、生活保護の人に給付金を出すのは反対! 彼らは今回の騒動で1円も収入が減ってないのだから〉(3月31日)とTwitterに投稿。吉村洋文・大阪府知事も〈僕ら政治家や全国の公務員、生活保護受給者、年金生活者は、コロナで収入は減らない。ここにお金を配るべきじゃない〉(4月1日)とツイートした。

 ようするに「新型コロナで収入が減った人以外、現金給付する必要はない」というロジックだが、そこに「生活保護受給者」をはめ込むのはあらゆる意味で間違っている。

 言うまでもなく、新型コロナの影響は「得られるはずだった収入が減少した人」のみではない。医療関係に充てる生活費の割合を考えれば、もとより生活に困窮していた人ほど負担が増すのは、少し考えれば誰でもわかる話だ。また、生活保護受給者など家計が逼迫している人たちは、消毒など感染予防に充てるお金を十分に確保できないことは容易に想像できる。さらに言えば、生活保護受給者は入院すると給付額が下がる(医療費は支給される)ため、新型コロナ感染を疑っても検査を避けてしまうケースだって考えられなくはない。それはすなわち、全体の感染拡大のリスク増加にもつながってくる。

 つまり、「生活保護受給者は現金給付の対象外にしろ」というのは、まさに貧困層や弱者の“切り捨て”であるのみならず、感染拡大防止の観点からも最悪と断じざるを得ないのだ。

弱者排除の声に町山智浩は「好きだったマンガの主人公がそんなことをいうか想像して」

 ところが、SNSでは、ネトウヨや安倍応援団が小野田議員や百田氏のツイートに賛同し、在日外国人や生活保護受給者排除をわめきたてる動きが広がっている。

〈3/31時点で日本国内に在住する日本国籍を持つ日本人に限定しないと〉
〈消費税だけで社会保障が受けられると勝手に思い込んでいる在日外国籍の人の多いこと〉
〈在日特権の還付金詐欺している奴らにも出すな!ミサイルの材料になるだけだ!働いて納税している日本国籍の日本人の為に財政支出しろ!〉
〈本当にそうです。一番得してるのは生活保護。あいつらにやる必要などない〉
〈特に、生活保護を受給している『在日外国人』には、必要(余裕)なし〉
〈差別じゃなく区別〉

 映画評論家の町山智浩氏はこうした主張がいかにグロテスクであるかを気づかせるため、ツイッターでこんな呼びかけをおこなった。

〈みんな苦しい時だからこそ、生活保護受給者や外国人を切り捨てようという意見に思わず「いいね」しそうになったら、子どもの頃好きだったマンガの主人公やテレビのヒーローを思い出してください。彼らがそんなことを言うか想像してみてください。〉
〈国民の税金を必要な時に給付しない政府に対して本来向かうべき怒りを、自分よりも弱い年金受給者や外国人に対して向ける人が、あなたの好きなマンガやアニメでヒーローになるかどうか考えてください。〉(4月1日)

 しかし、安倍政権の約7年間でこの国は、大好きなマンガやアニメのヒーローが持っていたような価値観すら破壊され、逆に軽蔑されていたはずの“弱者・マイノリティ攻撃”が喝采を浴びるようになってしまった。それは、安倍政権が極右・差別排外主義に加えて、弱肉強食を是とする新自由主義的経済政策を推し進めてきた結果だろう。利潤追求を何よりも最優先し、弱者を平気で踏みつけられるものだけが生き残れる社会が、人々の価値観を転倒させてしまったのである。

 しかし、愕然とするのは、この新型コロナの感染拡大という危機を目の前にしてもなお、安倍政権とその支持者たちの弱者排除と経済優先の姿勢がまったく変わっていないことだ。

 周知のように、今回のコロナ危機では、同じく新自由主義に支配されていたはずの欧米でも、国民の窮状を直接的に救う手厚い支援策が次々と発表されている。

 たとえば、イギリスでは休業せざるを得ない企業の従業員の給与の8割(最大約32万円)を、フランスでは給与全額を政府が補償。ドイツでは自営業者らに3カ月で最大約108万円となる給付金を一括で受け取れる支援策が発表された。

 “弱者切り捨ての権化”と思われた政治家たちにも変化が現れている。ボリス・ジョンソン英首相は新型コロナをめぐるビデオメッセージのなかで「社会というものは本当に存在する」と語ったが、これは、新自由主義を推し進めたマーガレット・サッチャーの有名なフレーズ「社会というものなど存在しない」のアンチテーゼだろう。また、トランプ米大統領ですら「私のリストで経済はナンバー2だ」「第一に、私は多くの命を救いたい」と明言している(ワシントン・ポスト電子版3月30日付)。

 それに比べて日本はどうか。直接的な支援策はほとんどなく、安倍首相の口から聞こえてくるのは、生活者一人一人の顔を見ない「リーマン・ショックを上回る緊急経済対策」という掛け声ばかりだ。

 ようするに、安倍首相はいまだ経済のことしか考えていないのだ。そして、その経済優先の裏返しとして現れているのが、安倍応援団や取り巻きの弱者・マイノリティ排除なのだ。

 実際、安倍首相が今回の現金給付から、生活保護受給者と在日外国人を排除する恐れは十分ある。「自分は生活保護受給者でもないし、在日外国人でもないから守ってもらえる」と思っている人がいたら、それは大間違いだ。政治権力はもっとも弱い者、声の小さいものから順番に見殺しにしてゆく。さらに危機が進めば、次はあなたたちの番だ。

最終更新:2020.04.02 10:54

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