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田崎史郎が萩生田文科相「身の丈」発言をエクストリーム擁護!「問題発言したから英語民間試験の導入を延期できた」
萩生田文科相をエクストリーム擁護する田崎史郎氏(テレビ朝日『羽鳥慎一モーニングショー』11月4日放送より)
2020年度から開始される大学入学共通テストの英語民間試験の導入について「文科大臣が教育格差を容認するのか」と批判が集まっていた、萩生田光一文科相の「身の丈に合わせてがんばって」発言。今月1日になって萩生田文科相は民間試験の導入を延期したことを発表したが、一方で延期理由を「私の発言が直接影響したということではない」と否定し、自身の責任ではないことを強調した。
まったくふざけるなという話だろう。英語民間試験導入に対する批判の声はあがりつづけてきたのに、それを無視して押し切ろうとし、そこで発せられたのが「身の丈」発言だったのだ。にもかかわらず、萩生田文科相は経済格差による教育格差を容認するという暴言の責任はとらないというのである。
しかも、この萩生田発言に対し、安倍政権御用ジャーナリストの田崎史郎氏から信じられないような擁護論が飛び出した。
昨日4日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日)では、大臣が立てつづけに2人も辞任したことと合わせて、萩生田文科相の「身の丈」発言についても取り上げたのだが、そこでまず田崎氏が語ったのは「不用意な発言」という表現。文科大臣が教育格差を容認する行為は「不用意」などと片付けられるものではないのだが、こんなものは序の口だ。
司会の羽鳥が、受験生の居住地域や家庭の経済状況によって格差が生まれることや目的や基準の違う7種類の民間試験を入試に使用することなどの問題点を説明すると、田崎氏はこんなことを言い出したのだ。
「こういう問題があるって浮き彫りになったのは、萩生田さんの発言以降なんですよ。だから萩生田さんの発言はね、これあの、問題なんですよ。なんですけども、この問題にどういう問題があるのかっていうことを浮き彫りにする意味において、非常に効果的だったんですよ」
「どこも報じなかったでしょ? こういう問題」「わかんなかったでしょ? で、こういう問題があるんだってわからせる効果があったんですよ」
さらに田崎氏は、「(萩生田氏は)就任記者会見で生徒を実験台にするような制度にしちゃいけないって話をしてるんですよ」と萩生田氏は英語民間試験の導入に消極的だったと強調し、こうつづけたのだ。
「自分がやりたいことが、はからずも自分の失言によってできてしまうっていうパターンなんですよ」
「柴山大臣のままだったらこのまま実現しちゃってたんですよ。萩生田さんになって、萩生田さんがこういう問題発言したから、こうなってるんですよ」
ようするに、田崎氏は萩生田文科相の「身の丈」発言があったから英語民間試験導入の問題点が浮き彫りになり、そのことで萩生田文科相は「自分がやりたいこと」だった民間試験導入の延期を実現させたのだ、と言い張ったのである。
以前から“エクストリーム政権擁護”に定評がある田崎氏だが、今回もあまりにすさまじくて、絶句するほかない。まず、そもそも萩生田氏は9月の文科大臣就任時点から「私の(就任した)時点で見直しや廃止をするというのは大きな混乱になるので、実施を前提に全力を挙げたい」と宣言。文科省前では大学入試改革の中止を求める高校生らが抗議デモを繰り返してきたというのに、それを一顧だにせず来年4月スタートで押し通そうとしてきた張本人だ。にもかかわらず、田崎氏はあたかも萩生田文科相が「本当は延期したかった」などと印象づけようとしたのである。
英語民間試験導入の延期は“安倍首相の最側近”萩生田を守るため首相官邸が決断
だいたい、英語民間試験導入の延期を決定したのは、萩生田氏の決断などではなく、官邸の決定だった。しかもその理由は「萩生田氏を守る」ためだ。
現に、毎日新聞Web版1日付記事では、延期決定にいたった理由を自民党文教族議員や官邸周辺関係者がこう証言している。
「萩生田氏は安倍晋三首相の側近中の側近。野党は政権に最もダメージを与えられる萩生田氏を攻め、逆に官邸は萩生田氏が次のターゲットにされるのを嫌った」
「萩生田氏を守るために、試験見直しを野党に差し出した」
萩生田文科相が英語民間試験導入の延期を発表したのは今月1日だが、その前日には公職選挙法違反疑惑によって河井克行法相が辞任し、その6日前には菅原一秀経産相も辞任。当然、官邸は“辞任ドミノ”に警戒を強めていたが、なかでも安倍首相が危機感を募らせたのが萩生田文科相の「身の丈」発言だった。
言うまでもなく、萩生田文科相は安倍氏が第一次政権を放り投げ自民党内で求心力を失った時期においてもずっと“忠犬”として尽くしてきた側近中の側近だ。ときには安倍首相の意向に沿って在京キー局に恫喝文書を送りつけたり、ときにはネトウヨネット番組『真相深入り!虎ノ門ニュース』(DHCテレビ)で「消費増税の延期」に言及し衆院解散・総選挙の可能性までちらつかせて観測気球をあげるなど、安倍首相の手となり足となってきた。しかも、萩生田文科相は自身の事務所で教育勅語を掛け軸にして掲げていたと伝えられているように、安倍首相が血道を上げる戦前回帰と“偏向”教科書批判に同調し、一体となって教科書制度の改悪を進めてきた歴史修正主義者である。安倍首相が萩生田氏を文科大臣に登用したのも歴史修正と愛国教育の実現のためであり、実際、「あいちトリエンナーレ」の補助金打ち切りを決定して事実上の検閲をおこなうなど、萩生田氏は安倍首相の期待に見事に応えてきた。
だが、もし萩生田文科相の「身の丈」発言にさらなる批判が高まれば、辞任ドミノが起こりかねない。しかも、すでに国会では、英語民間試験導入をめぐって、核心に迫る追及が本格化しそうな気配があった。
それは、英語民間試験の実施団体である民間業者への“利益誘導”疑惑だ。じつは、『モーニングショー』では、田崎氏もこう口にしていた。
「英検とかベネッセにしてみれば、受験生っていうのはだいたい50万人なんですね。で、2回かけると100万人なんですよ。100万人の需要がバーンと生じるわけ。誰が得をするんだ、っていう。その団体ごとにおそらくね、政治家が付いているんですよ。裏で」
田崎史郎も認めた! 英語民間試験導入の背景に政治家と業者の癒着構造が
じつは、9月28日におこなわれた野党合同ヒアリングでも、民間試験の採用にあたって語学力の国際標準規格であるCEFRに対応しているか確認をおこなう文科省の「英語の資格・検定試験とCEFRとの対応関係に関する作業部会」のメンバー8人中5人が、ベネッセコーポレーションや日本英語検定協会、ケンブリッジ大学英語検定機構といった民間業者の職員だったことが発覚。しかも、これらの業者は民間試験の実施団体に選ばれているのだ。
民間試験として採用されるかどうかにおいてもっとも重要なCEFRとの対応確認を、民間試験で儲かることが確実の民間業者がおこなっていた──。その上、導入延期を決める直前におこなわれた10月30日の衆院文科委員会では、民間試験の活用を議論した文科省の「検討・準備グループ」は当初非公開でおこなわれており、議事録も第1回から9回まで公開されていないと共産党の畑野君枝議員が指摘。「(検討・準備グループの)構成員のほかに、協力や意見を求めた関係者がいるのかということも含めてあきらかにしていただきたい」と追及し、萩生田文科相は「持ち帰る」「一度引き取らせて」と答弁するにとどまっていた。
さらに、英語民間試験導入の大本は、2012年に安倍総裁が自民党内に設置した教育再生実行本部が「大学入試にTOEFL導入」を打ち出したことにあるが、このTOEFL導入に熱心だった当時の本部長・遠藤利明議員は、小中高校の英語教育強化のための外国語指導助手(ALT)利用の旗振り役でもあり、民間のALTを利用する自治体への補助制度が導入、国費が投入されるようになった。しかし、じつは遠藤議員がALT派遣会社の創業者から計955万円もの個人献金を受け取っていたことが2016年に発覚している。
はたして、民間試験導入にいたるプロセスで、一体何がおこなわれていたのか。そこにどんな人物がかかわっていたのか……。つまり、今後国会で追及がつづけば、加計学園問題を彷彿とさせるような政治家による利益誘導疑惑として問題がさらに拡大する恐れがあったのだ。そうなれば、「身の丈」発言にくわえて萩生田文科相の責任追及は激しくなる。火が大きくなる前に、安倍官邸は萩生田氏を守るべく、導入延期を決定したのである。
だが、民間試験導入延期を決めたからといって、これで終わる問題ではない。実際、英語民間試験導入だけではなく、数学や国語の記述式テストも大きな問題が指摘されており、大学共通テストの2020年度実施の中止を求めるネット署名は5万筆を達成しそうな勢いになっている(ちなみに、記述式問題の採点はベネッセグループ傘下の学力評価研究機構試験に委託されることが決まっており、事業者を決める一般競争入札による落札額は約61億6000万円となっている)。さらに、どのようにして英語民間試験導入が決まったのか、そこに政治家と民間業者の癒着はなかったのか、あきらかにしなくてはならないだろう。
(編集部)
最終更新:2019.11.05 12:24
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