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講談社「ViVi」の自民党広告は公選法違反か! 安倍自民党の金に擦り寄った講談社を元「ViVi」スタッフも批判
「ViVi」と安倍自民党のコラボ!(公式HPより)
安倍自民党が講談社の女性ファッション誌「ViVi」とコラボレーションした広告企画が、案の定、炎上している。ツイッターには、こんな批判が溢れかえった。
〈なんなんこれ? 自民党のハッシュタグつけてつぶやくとTシャツ貰える、って、まるっきり買収だろ〉
〈ファッション誌からファッショ誌にリニューアルか?〉
〈自民党のおじさんは女性差別が大好きで、嫌韓ばかりだけど、VIVIのみんなは仲良くできるの?〉
〈ソーシャルの場でもたぶん学校ですら政治の話はタブーにしてきて、いきなりどんな世の中にしたい?と漠然とした問いを投げてなんの脈絡もなく特定政党の名前をツイートさせようって、いやほんとにこわいって〉
〈こんなキャンペーンの原資は官房機密費からですか?それって、私らの税金からってことですか?〉
あらためて経緯を簡単に紹介すると、10日に「ViVi」Web版では、「わたしたちの時代がやってくる!権利平等、動物保護、文化共生。みんなはどんな世の中にしたい?【PR】」というタイトルの記事を掲載。この記事では、「ViVi」公認のインフルエンサーである「ViVi girl」9人が「どんな社会にして行きたいか」について回答。「Be Happy」(ハッピーに生きていける社会にしたい!)や、「Open Heart」(お年寄りや外国人に親切な国でありますように)、「Diversity」(いろんな文化が共生できる社会に)といったそれぞれのメッセージを紹介し、最後にはこう呼びかけられている。
〈ViVigirlが考えたメッセージをプリントしたTシャツを一枚ずつ計13人にプレゼント! どんな世の中にしていきたいかをTwitterもしくはInstagramに投稿して応募してね!〉
そして、「ViVi」の公式Instagram・Twitterアカウントでも〈どんな世の中にしたいか、自分の気持ちを #自民党2019 #メッセージTシャツプレゼント の二つのハッシュタグをつけてTwitterもしくはInstagramに投稿してね〉とPRを展開。メッセージを考えたViVi girlsたちもTシャツを着た写真などをアップしている。
記事に【PR】と記されていることからもわかるとおり、この企画は自民党のタイアップ広告だが、前述したように、そこで発信されているインフルエンサーたちの「お年寄りや外国人に親切な国」や「文化共生」といったメッセージは、高齢者の社会保障を削ったり、移民を「外国人材」と言い換えて奴隷労働を是認したりと、自民党の政策とは真逆のものばかり。「差別するのではなく、他の文化を認めて、いろんな文化が共存できるようにしたい」というメッセージもあるが、自民党議員は韓国に対する憎悪を煽ってヘイトを連発している有り様だ。
だいたい、「子どもを3人くらい産んで」などと女性の人権をまるで無視して暴言を吐く議員がゴロゴロしている自民党が、若い女性たちを使い党のアピールを担わせるなど、あまりに下劣な話。炎上するのはあまりにも当然だろう。
しかも、看過できないのは、こうしたメッセージTシャツを「抽選で13名にプレゼント」するという点だ。このTシャツはメッセージだけではなく、袖の部分には自民党のロゴマークも入っている上、「ViVi」Web版記事に掲載されている問い合わせ先も「「#自民党2019」プロジェクト事務局」となっているのだ。
まだ公示されていないとはいえ、参院選を直前に控えたなかで物品を「プレゼント」することは公職選挙法違反にあたる可能性があるのではないか。実際、「AERA dot.」11日付け記事では、上脇博之・神戸学院大学教授が「公職選挙法では、現金や物を渡したり、受け取ったりするだけではなく、事前に受け渡しを約束することも寄付行為として禁止されています」と指摘。さらに、「自民党はすでに今夏の参院選で全国比例で出馬する候補者を発表しています。同法では、候補者の氏名が類推されるような方法での寄付は禁じられており、今回のプレゼント企画は同法に抵触している可能性があります」と語っている。
FF天野喜孝氏起用も…批判の一方で金にあかせた大衆取り込み戦略
潤沢な政党交付金や使途があきらかにされない巨額の官房機密費を抱える安倍自民党が、金にものを言わせて人気インフルエンサーを巻き込み、公選法違反ギリギリの広告展開をおこなう──。あまりに露骨なこの選挙対策には反吐が出るが、問題は、こうした広告展開が炎上したところで、自民党には何の痛手にはなっていないだろうということだ。
今回の「ViVi」とのコラボは、改元に合わせて自民党がスタートさせた広報戦略「#自民党2019」プロジェクトの一環で、特設サイトでは、『ファイナルファンタジー』のキャラクターデザインを手掛けたことでも世界的に有名な天野喜孝氏が安倍首相を侍になぞらえたイラストを掲載。じつは、この特設サイトが開設された段階から、自民党は今回の「ViVi girls」とのコラボも予告していた。
また、テレビでは、ダンスやBMX、落語やファッションなどさまざまな分野で世界を目指す13〜17歳の十代という十代の表現者たちが登場し、そうした未来ある若者たちの輪に安倍首相が加わり「未来をつくりたい」と宣言するCMが大量に流されているが、この映像を企画・制作したのは映像クリエイター集団である「solo」。昨年ブームを巻き起こしたドラマ『おっさんずラブ』の監督や、アジア、アメリカなど海外でも公開された映画『東京喰種 トーキョーグール』の監督、日清カップヌードルやHONDAのCMなどを手がけた映像ディレクターなどが参加しており、メンバーそれぞれが海外の映画賞・広告賞で評価を受けてきた経歴の持ち主だ。
天野喜孝氏に、気鋭の映像クリエイター集団による演出、インフルエンサー集団である「ViVi girls」とのコラボ……。これだけの人材を集めただけあって、今回の自民党の広告戦略は、大企業による広告展開のようなブランド感と、革新感が漂っている。イラストを用いた大胆なビジュアル使いやおしゃれな映像といったカルチャー路線、インフルエンサーによるイメージの拡散といった手法は若者にはとっつきやすいだろう。
今回、広告展開に批判が集まり炎上しても、それは政治に関心のある層にしか届かない。それこそ、この広告展開に接した自民党が狙っている若いターゲット層は「前向き」「なんか新しい」「おしゃれ」といった“イメージ”を自民党に抱くだろう。いくら自民党の政策とかけ離れたメッセージを発信していても、その問題点が届かなければ、それが「自民党」のイメージを形成してゆくのだ。
講談社の酷い弁明、元「ViVi」スタッフは「政党からお金もらって記事を作るなんて」と批判
金と知恵さえあれば、大衆は“買収”できる──。ある意味、独裁のつくられ方をリアルタイムでまざまざと見せつけられているような状態にあるというわけだが、情けないのは、金に釣られて片棒担ぎをするメディアだ。
「ViVi」を発行する講談社の広報室は、今回の自民党との広告企画について「ViViの読者世代のような若い女性が現代の社会的な関心事について自由な意見を表明する場を提供したいと考えました」「政治的な背景や意図はまったくございません」とコメント。自民党の宣伝という特定政党の広告記事を「若い女性が自由な意見を表明する場の提供」と言い募るとは呆れるが、これほど露骨な政党PRを繰り広げておいて「政治的な背景や意図はまったくない」って……。
講談社は大手出版社のなかでもリベラルな空気が残っている出版社だったが、2017年には、ケント・ギルバートの『儒教に支配された中国人と韓国人の悲劇』なる中国人や韓国人への憎悪を煽る悪質なヘイト本を出版、ベストセラーとなった。
老舗の出版業界最大手の講談社が金儲けのために“ヘイト本ビジネス”に手を染めたことについては、社の組合報に「目の前が真っ暗になるほどの絶望を感じました」という社員の批判が掲載されるほどだったが、今回の「ViVi 」の自民党とのタイアップ企画も、同社が“金のためならなんでもやる”というその姿勢をさらに強固にしたということだろう。
そこには、権力を監視・批判するというジャーナリズム精神はもちろん、ファッション誌としての矜持すら、もはや見当たらない。
元「ViVi」編集部のファッションエディターで『直撃LIVE グッディ!』(フジテレビ)でコメンテーターを務める軍地彩弓氏も、この一件についてTwitterでこう批判している。
〈私が作りたかったViVijは、女のこがファッションで自己主張して、いろんなことに関心を持って、人生の一番輝かしい季節を楽しむ雑誌。”社会のことを考えよう”、”動物保護”とか”権利平等”とか語るのはいいけど、政党支持に繋がることは絶対違う。まして、政党からお金をもらって記事を作るなんて、、〉(原文ママ)
だが、こんな倫理観をもつメディア人はもはやごく少数だ。巨額の広告費と気鋭クリエイターやインフルエンサーの投入、そしてメディアの“加担”により、安倍自民党の独裁体制はますます強固になっていくのだろうか。
(編集部)
最終更新:2019.06.12 01:14
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