安倍首相が「サイバー攻撃受けただけで武力行使可能」の暴言! 丸山穂高問題に反省なしの維新も協力で“戦争できる国家”へ

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またも暴言!安倍首相(首相官邸HPより)


 またも安倍首相から危険な発言が飛び出した。16日におこなわれた衆院本会議で、「サイバー攻撃だけでも武力行使が許される」という認識を示したのだ。

「サイバー攻撃のみであっても、たとえば、物理的手段による攻撃と同様の極めて深刻な被害が発生し、これが相手方により、組織的、計画的におこなわれている場合には、武力攻撃に当たりうる」
「政府としては、サイバー攻撃による武力攻撃が発生した場合には、憲法上、自衛のための必要最小限度の範囲での武力の行使が許されると考えている」

 国際的にもサイバー攻撃を武力攻撃と見なして自衛権を行使した事例はない。それは4月25日の参院外交防衛委員会でも河野太郎外相が認めていることだ。にもかかわらず、安倍首相は「サイバー攻撃でも武力行使可能」と宣言したのである。

 そもそも、「サイバー攻撃」はそれが個人によるものなのか、それともテロ組織、あるいは国家によるものなのかを特定することは困難だ。だいたい、「物理的手段による攻撃と同様の深刻な被害」とはどの程度のものなのか、そうした判断基準についての慎重な議論さえ国会ではおこなわれていない。つまり、安倍首相の恣意的な判断で「武力行使可能」となる可能性だってあるということだ。

 あまりにゾッとする話だが、安倍首相の本音は、とにかくどんな口実を使ってもいいから先制攻撃ができるようにしたい、ということだ。

 あまり大きな問題になっていないが、安倍首相は昨年2月の衆院予算委員会で、専守防衛について「純粋に防衛戦略として考えれば大変厳しい」と言い、「あえて申し上げたい」と前置きして、こんな主張を繰り広げていた。

「(専守防衛は)相手からの第一撃を事実上甘受し、かつ国土が戦場になりかねないものでもあります。その上、今日においては、防衛装備は精密誘導により命中精度が極めて高くなっています。ひとたび攻撃を受ければこれを回避することは難しく、この結果、先に攻撃したほうが圧倒的に有利になっているのが現実であります」

 さらに、昨年12月に閣議決定された新しい防衛大綱と中期防衛力整備計画では、海上自衛隊の「いずも」型護衛艦を改修して事実上「空母化」することを明記。安倍首相は表向き「専守防衛を堅持する」などと言いながら、なし崩しに専守防衛の否定、先制攻撃の容認を進めており、この「サイバー攻撃を受けただけで武力行使可能」もその一環なのだ。

 しかも、この安倍首相の姿勢に全面協力しているのが、あの「戦争」発言の丸山穂高議員を生んだ「維新」だ。じつは、安倍首相が「サイバー攻撃でも武力行使可能」と答弁した衆院本会議でも、質問に立った日本維新の会・森夏枝議員がまったく同様の主張をしていた。

「日本は専守防衛を国是としています。しかしサイバー攻撃を受けた場合はダメージが大きすぎるため、反撃することができないケースが考えられます。通常戦力の場合のような抑止力に当たるものが存在せず、攻撃した者勝ちとなります。サイバー攻撃の分野においては、専守防衛という姿勢では国民を守ることができないことが想定されているわけです。この分野においては専守防衛の適用除外にすることを検討すべきと考えます」

安倍首相の言い分を代弁し、サイバー攻撃への武力行使を主張した維新

 丸山穂高議員による「戦争」発言がこれほど非難を浴びている最中だというのに、「サイバー攻撃では専守防衛の適用を除外しろ」と主張する──。専守防衛は武力行使を禁じる憲法に基づいた防衛戦略の基本姿勢のはずなのに、こんなタイミングで、維新は堂々と否定してみせたのだ。

 維新に反省などまったくないことがこれでよくわかるというものだが、これは安倍首相との連携プレーと考えるべきだろう。

 維新はこれまでも、安倍首相の「やりたいこと」「本当は言いたいこと」を代弁して“野党からの提案”なる既成事実をつくる役割を担い、安倍政権はその役割に支えられてきた。カジノ法案ではともに手を取り、共謀罪や入管法改正案といった重要法案でも維新は与党との修正協議に合意し賛成にまわるなど安倍政権をアシスト。とくに象徴的だったのが、共謀罪だ。

 共謀罪が衆院法務委員会で強行採決された際、最後の質疑に立ったのは、あの丸山穂高議員だった。法務委員会の委員でもない丸山議員を最後の質疑者として維新は送り込んだわけだが、そこで丸山議員は「もういいでしょう! これまでもう30時間以上、質疑した」「これ以上、ピント外れの質疑ばかり繰り返し、足を引っ張ることが目的の質疑はこれ以上は必要ない!」と暴言を叫び、「私の質疑の終了後、直ちに採決に入るようお願い申し上げたい」と号令をかけると、与党はあれよあれよと強行採決に踏み切ったのだった。

 維新は「責任野党」などと言いながら、結局、法案の問題点を根本から追及することもなく「やってますアピール」の対案や修正案でお茶を濁し、「足を引っ張るだけ」と野党への批判を繰り広げ、安倍政権をアシストしてきた。

 そして、ここにきて、維新の安倍首相の“戦争できる国家”づくり、悲願の改憲への協力姿勢はさらに露骨になっている。

橋下徹「安倍首相は頑張ってきたから最後に憲法改正したっていい」

 維新の松井一郎代表は今年の憲法記念日に発表した談話で「憲法は、国民的課題として常に議論され、必要であれば国会が発議し、国民投票をもって改正する。それが立憲主義の姿」などと宣った。さらに、“陰の指導者”と呼ぶべきポジションにある橋下徹氏はもっと露骨で、大阪W選挙のあと、公明党が改憲の妨げになっており、維新が安倍首相の改憲に協力するべきだ、と提言。憲法記念日翌日に産経新聞に掲載されたインタビューでは、こんな本音まで語った。

「いろいろな形で安倍政権の協力を得てきた維新は、憲法改正案の考え方は異なるとはいえ、安倍さんが実現したいと強く願っている憲法改正に協力するための行動を起こすべきでしょう」
「政治家は自分の思いを実現するためにトップを目指す生き物です。安倍さんはこれまで、外交・経済などで頑張ってきたのだから、最後の最後くらいは自分が本当に実現したいこと、すなわち憲法改正に挑戦したって罰はあたらないと思います」

「頑張ってきたから憲法改正に挑戦していい」とは国民主権を否定するような暴言ではないか。

 改憲以前に、専守防衛を否定し、先制攻撃を解禁するチャンスを虎視眈々と狙う総理大臣と、野党の役割を放棄する「権力の補完勢力」。こうした連中によって、戦後、平和憲法に基づいて守られてきた専守防衛という基本姿勢も、憲法改正によって壊されてゆくことは間違いない。ただの跳ね上がりである丸山議員の発言よりも、安倍首相と維新による本当の“戦争のできる国家づくり”に徹底した批判が必要だろう。

最終更新:2019.05.20 11:59

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