松井一郎が対立府知事候補攻撃のためにネトウヨサイトのフェイクをRT! 大阪W選挙で維新が見せる詐術

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松井一郎が対立府知事候補攻撃のためにネトウヨサイトのフェイクをRT! 大阪W選挙で維新が見せる詐術の画像1
松井一郎公式サイトより


 4月7日に投開票がおこなわれる「大阪ダブル選」をめぐり、悪質なデマが拡散され、問題になっている。というのも、あきらかなデマ記事を、よりにもよって大阪市長選に出馬している大阪維新の会・松井一郎代表が拡散させていたからだ。

 問題になっているのは、これまでもデマを垂れ流してきたネトウヨサイト「アノニマスポスト」が22日に配信した、こんなタイトルの記事だ。

「【大阪W選挙】大阪府知事選挙 吉村候補にデマを指摘され、ふてくされる小西候補~ネットの反応『嘘がばれて背中向けるって、子供か!』『吉村候補の引き立て役になってるwww』『大阪府民は全員この映像を見た方が良い』」

 そこに貼り付けられた画像は、テレビ番組の映像を切り取ったもので、大阪府知事選に出馬している吉村洋文・前大阪市長と、その吉村氏に背を向けテーブルに肘を突く小西禎一・元府副知事の姿がある。たしかに、この画像だけを見ると、小西氏がふてくされて頬杖をついているようにも見える。

 だが、「ふてくされる小西候補」などというのはまったくの嘘だ。この画像は吉村氏と小西氏をスタジオに招いて生討論をおこなった21日放送の関西テレビのニュース番組『報道ランナー』から切り取ったものだが、実際の放送では、そんなシーンはまったくなかった。

 写真は、小西氏が吉村氏に背を向けたのではなく、吉村氏とは逆のほうに座っている番組キャスターの新実彰平アナウンサーやコメンテーターとして出演していた評論家・宮崎哲弥氏らのほうを見て話しているところ。頬杖をついていたのも、スタジオの解説パネルを見ていたシーンだった。

 たしかに、小西氏はこの番組で発言の誤りを指摘されていた。都構想によって大阪市を廃止して特別区を再編した場合「初期コストが1500億円かかる」と小西氏が発言し、吉村氏からすかさず「初期コストで1500億円かかると言われたんですが、これは間違い」「500億円の初期コストで、よく1500億円と言われるんですが、15年(間)のランニングコストがかかるのをまとめておっしゃってますね」と否定されていた。

 しかし、小西氏が「初期費用1500億円」と言ったのはただの言い間違い。実際、番組では「初期費用558億円」と書かれたボードも掲げられていたし、小西氏自身、この放送より前の19日に自身のTwitterアカウントで〈都構想は初期費用で約560億円、運用費用や人件費を含め約1500億円かかります〉と正確な数字の投稿をリツイートしていた。

 それをネトウヨサイト「アノニマスポスト」は、まったく別のシーンを切り取り、「ふてくされる小西候補」として拡散したのである。

 そもそも、吉村氏も述べているように「初期コストに500億円、15年間で1500億円」もかかるのは事実。その問題を無視して、小西氏が大人げない態度をとったかのように画面を切り取ってデマを流すというのは悪質というほかはない。

 だが、なによりも問題なのは、こんな悪質なデマ記事を、あろうことか前大阪府知事であり、市長選に出馬している松井一郎氏が拡散させたことだ。

 恥も外聞もない松井氏の言動はネトウヨと変わらず、品性のカケラも見当たらない。実際、松井氏は昨年も〈共産党の募金活動は、先ず自分達の経費を差し引くので注意しましょう〉などとTwitterに投稿したが、事実に基づかない虚偽だと共産党大阪府委員会が抗議。松井氏は間違いを認めて謝罪した。つまり、大阪府知事という公職にありながらデマを自ら発信していたのである。

わざわざ「パーミル」という単位を使って予算増を大きく見せる狡猾

 だが、「大阪ダブル選」で松井氏や吉村氏ら維新が見せているフェイク的手法は今回の一件だけでない。もっと決定的な問題で、情報を歪曲して、大阪府民を騙そうとしている。

 たとえば、吉村氏の街頭演説では「子育て・教育への重点投資」と題したボードを掲げていた。そこには「子育て・教育に関する政策的予算を大幅増(大阪市)」と書かれており、平成23(2011)年度の67億円から平成30(2018)年度の537億円へと伸びる棒グラフに大きく「8倍へ」と記されている。一見すると、2011年12月に橋下徹氏が、2015年に吉村氏が大阪市長となり、子育て・教育費が8倍にも伸びたと考えるだろう。

 だが、これは橋下時代から維新が大阪で繰り返し使ってきた“詐術”だ。ポイントは、「政策的予算」という文言。普通に考えて政令指定都市のなかでは横浜市に次ぐ人口の大阪市の教育費が平松邦夫市政の2011年度でたったの67億円というのはおかしい話だが、それも当然。「政策的予算」という、全体の教育予算の一部にすぎない数字を掲げているからだ。

 事実、2015年には当時、大阪市長だった橋下徹氏がCMで「子ども教育予算を5倍に増額」とアピール。平松市政の2011年度は67億円にすぎなかったものが2015年度には336億円にまで増やしたと誇ったが、これは「政策的予算」でしかなかった。実際には、2011年度の「こども青少年費」と「教育費(大学費を除く)」の合計(当初予算)は約2524億円で、2014年度の合計(当初予算)は約2558億円。つまり、微増しただけで、「子ども教育予算を5倍」などというのは完全なデマだったのだ。

 このとき「虚偽CMだ」と批判を受けたこともあってか、維新は「政策的予算」と言うようになったが、そんな専門用語を聞かされても一般の市民にはわからない。そして、この詐術を今回の選挙でも維新は性懲りもなく使っているのだ。

 さらに、いまSNS上で「維新のチラシ」として出回っているものでは、「7年で8倍 こども・教育の予算推移」と書かれ、ここでもこども・教育予算と、一般会計に占める比率が急増しているグラフが掲載されているのだが、よく見ると、グラフの下には「予算比率:パーミル」と記載されているのだ。

 パーミルというのは1パーセントの10分の1を1とする単位のことで、1パーミル=0.1パーセント。鉄道線路の勾配などで使用されるもので、一般人にはほとんど馴染みがない単位だ。つまり、それでなくてもこども・教育予算全体ではなく「政策的予算」にかぎった話なのに、一般会計に占める比率が高いように見せるためにこんな姑息な手にまで出ているのである。ちなみに、チラシにはグラフの出典として「第16回副首都推進本部会議資料」と記載されており、実際にそこでも同様にパーミルの単位が使用されていた。

 こんな大阪府民を騙すような卑怯な手を使い、身勝手なダブル辞任&首長選を仕掛けてまで争点にしようとする「都構想」──。しかも、前述したように、都構想には1500億円もかかるわけだが、それだけ予算をかけても、得られる財政効果はスズメの涙だというのだ。

 そのことを指摘しているのは、立命館大学の森裕之教授。「世界」(岩波書店)4月号に掲載されている森教授の論考によれば、今回、大阪市と府は都構想の財政効果(改革効果額)を140億円としているが、〈このほぼ全てが二重行政とは関係のない民営化・民間委託・経費節約〉だと指摘。つづけてこう言及している。

〈それらを除外した二重行政の廃止自体で生み出される財政効果は全体でたった四〇〇〇万円しかなく、大阪市(特別区)においてはゼロとなっている〉

 初期コストだけでも約500億円もかかるのに、財政効果はわずか4000万円……。この点を踏まえ、森教授は〈「大阪都構想」はもはや検討に値する代物ではない〉と喝破しているが、そのとおりだろう。

 だいたい、松井氏はこの選挙戦で「大阪都構想は大阪市がなくなるという話ではない」「(反対派は)大阪市がなくなると不安を煽っているだけ」などと言い張っているが、大阪市のHPでは「特別区制度」(=都構想)について、はっきりと〈大阪市をなくし、特別区を設置します〉と書いてあるのだ。

 デマサイトの記事を拡散し、功績のアピールで詐術を用い、“大阪市はなくならない”と根本的な部分から嘘をつく。──このような人物たちに、一体、何を任せられるというのだろうか。

最終更新:2019.03.31 12:17

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