安倍首相がまたぞろバノンから「偉大なヒーロー」「トランプより前からトランプ」と絶賛され、世界に恥

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河井克行首相外交特別補佐も大はしゃぎでブログで紹介(ブログ「あらいぐまのつぶやき」より)


 安倍首相がまた、あのトランプ大統領の元側近から絶賛され、世界に恥をさらした。3月8日、スティーブン・バノン前米大統領首席戦略官が自民党本部に講演に訪れ、こう語ったのだ。

「世界中に広がるポピュリストやナショナリストの草の根運動にとって、安倍首相は偉大なヒーローだ。トランプ氏や、(「ブラジルのトランプ」とも呼ばれる)ボルソナーロ氏らよりも前から、安倍首相は先進国のかじ取りをしている初めてのナショナリストだ。トランプ氏がトランプ氏である前に安倍首相がトランプ氏であったとも言えるわけです」(朝日新聞3月8日より)

 バノン氏といえば、アメリカ・トランプ政権の最高幹部である首席戦略官を2017年8月まで務め、トランプ大統領の右腕、「影の大統領」とも呼ばれた人物だが、オルタナ右翼(alt-right)やレイシストたちから熱烈な支持を受ける右派ニュースネットワーク「ブライトバート」の会長でもある。ブライトバートは、大統領選でも「ヒラリーはパーキンソン病」「ヒラリーがピザ店を拠点に児童売買」「ローマ法王が、トランプ支援」などの大量のデマを発信、トランプ大統領誕生をアシストした。バノン氏は、米国では極右思想の持ち主として批判される一方、本人は「ポピュリスト」を自認し、CNNなどのマスコミ報道対して「フェイクニュース」との攻撃を繰り返している。

 そんな世界的ネトウヨの親玉から、「トランプ以前からトランプ」「世界初ナショナリストが先進国のかじ取り」と呼ばれるとは……。(ちなみに、バノン氏は自民党本部での講演のあと、安倍首相の「ビッグスポンサー」でトンデモ極右思想の持ち主として知られるAPAグループの元谷外志雄代表と対談、今月開業予定の「アパホテルプライド〈国会議事堂前〉」を視察したという。)

 だが、バノン氏が安倍首相をこう評するのははじめてのことではない。バノン氏は、2017年12月に来日した際、渋谷区で開催された右派系シンポジウム「Japanese Conservative Political Action Conference 2017」(J-CPAC)に参加。CPACはアメリカの草の根右派運動で、J-CPACはその日本版という位置付けらしいが、こんなことを語っていた。

「安倍首相は、私が尊敬するリーダーの一人で、そのナショナリズムは本当に素晴らしい」
「私は、大きく言って、安倍首相は“トランプ以前のトランプ”(Trump before Trump)ではないかと思っている」

 オルタナ右翼の総帥的な人物から、“トランプよりもトランプらしい”と絶賛されるのは、実に不名誉な“ポスト・トゥルース時代の先駆者”の認定だが、今回はそんな人物を、政権与党が党本部に招いて、「ポピュリストやナショナリストの偉大なヒーロー」などという安倍礼賛をありがたく拝聴したのである。

 もはや自民党そのものがネトウヨ化しているという証明だが、それは安倍首相も同様だ。トランプ大統領と似ていると言われることを恥じるどころか、むしろ、その極右ポピュリズムとの共通性を自ら表明しているらしい。2017年の産経新聞によると、安倍首相はトランプ大統領との初会談の際にこう語りかけたのだという。

〈昨年11月の米ニューヨークのトランプタワーでの初会談で、軽くゴルフ談議をした後、安倍はこう切り出した。
「実はあなたと私には共通点がある」
 怪訝な顔をするトランプを横目に安倍は続けた。
「あなたはニューヨーク・タイムズ(NYT)に徹底的にたたかれた。私もNYTと提携している朝日新聞に徹底的にたたかれた。だが、私は勝った…」
 これを聞いたトランプは右手の親指を突き立ててこう言った。
「俺も勝った!」
 トランプの警戒心はここで吹っ飛んだと思われる。〉(2017年2月11日付)

 ようするに「俺は朝日新聞に勝った!」「あんたもニューヨーク・タイムズに勝った」「だから仲間だぜ」ということらしい。

欧米メディアでは安倍首相の極右思想が批判の的に

 だが、こんなトランプ以前のトランプ、極右ポピュリズムの先駆者という評価に悦に入っているのは本人と自民党、安倍応援団だけだ。

 国際社会では、まともな欧米メディアからは、むしろ、その極右政権ぶり「歴史修正主義者」と批判を浴びてきた。

 たとえば、2015年5月、国際的な影響力を持つフランスの高級週刊誌「L’Obs」は日本会議を極右団体と評したうえで、安倍首相との親密な関係をもちだして、こう書いている。

〈経済的改革者のイメージとは程遠く、日本の総理大臣は大日本帝国への回帰を目指す極右、歴史捏造主義団体と一心同体である〉
〈地方周辺で活動していると思われていた極右団体が、日本の政治活動の中心にやってきた〉

 また、同記事では安倍政権と日本会議の関係について、政治学者、中野晃一による次のような分析も紹介している。

〈(安倍晋三は)日本人に戦後の平和主義的で自由で民主的な憲法の根本的な改変を日本人に売り込む、そのことだけを目的にアベノミクスの成功を求めているのではないかと疑われている。そして、彼が1997年の創設時から参加している日本会議が憧れてやまない大日本帝国の秩序を(日本人全体へ)押し付けるために〉

 2015年6月、これまた国際的な影響力を持つ英国の経済誌「The Economist」も日本会議と安倍政権の危険な関係を報じた。記事のタイトルは、「Right side up」というもので、「日本会議」を〈戦時下日本を理想化〉し、〈戦前の天皇崇拝の復活〉や〈日本の再軍備〉を目指して活動する“困った人たち”の集まりだと解説。〈戦時下日本の侵略行為を示すものに対して、嘆願書やクレームの電話などで反対キャンペーンを行い〉、それが〈中国や韓国のナショナリストに、日本の軍国主義が復活しつつあると主張する口実を与えている〉と指摘した。

 そして、〈(日本会議は)憲法改正に必要な国民投票の実施を目指し、100万人の署名を集めている。憲法9条を撤廃し、伝統的な家族観を大事にするような憲法を求めている。2012年に作成された自民党改憲草案は、こうした日本会議の主張をいくつも採用している〉と、現在進行中の日本会議の「憲法改正」を求める活動が、今後の安倍政権に大きな力を与えるのではないか?という不安を示唆していた。

 フランスのル・モンド紙も、2017年10月20日の電子版に「安倍晋三、受け継がれし歴史修正主義」(Shinzo Abe, le révisionnisme en heritage)と題した特集記事を掲載。約3000語に及ぶ長文で、内容は安倍晋三の家系や生い立ちを紹介しながら、安倍の歴史修正主義の危うさをこう強調していた。

〈安倍氏は歴史修正主義者(révisionniste)である。たとえば、彼の礼賛する憲法改正は、日本の帝国主義の復興を目指し、1930年代初頭から第二次世界大戦終戦までの日本軍が犯した残虐行為の数々を過小評価ないしは否定しようとする広大な企てのなかの一つだ〉

ルモンドが喝破した安倍首相の歴史修正主義の本質

 さらにル・モンドは、日本でも大正時代には民主化運動や反戦運動が盛んだったことに触れたうえで、戦後日本が大正デモクラシーと似た傾向に回帰したことを「日本の歴史の断絶」として否定的に捉える右派の文脈のなかに安倍を位置づけている。

〈1945年の敗戦は、日本の歴史の深い断絶となっている。しかしその断絶は、1910〜1920年に日本が経験していた民主主義への回帰と軍国主義の拒絶を導いた。安倍晋三を生み落とした日本の右派は、国際社会におけるコンプレックス(劣等感)から解き放たれ、経済的にも軍事的にも強い、ある種のJapon éternel(引用者注:悠久不滅たる神国日本というような意味)を取り戻すため、戦後という“ページをめくって”この断絶を抹消したいのだ。「Japan is back!」。安倍氏は第二次政権初期の2013年(引用者注:2月、米ワシントンのシンクタンクSCICでの演説)に、そう宣言している。歴史的観点からみれば、安倍氏が権力にいたる道において目立った事実として残るであろうことは、激しい外交活動と経済政策よりも、その侵略戦争や戦争犯罪を否認するニュアンスを帯びた歴史修正主義だ〉

 ほかにも、安倍首相の極右的政治姿勢を指摘する海外メディアは山ほどあり、いまや安倍政権=極右政権という認識は、国際社会のデフォルトになっている感すらある。

 このうえに、バノン氏の「トランプ以前からトランプ」発言などが広く紹介されれば、そんな危険人物を長々とトップに座らせている国として、日本の国際的評価はさらに下がっていくことになるだろう。

 しかし、この危機感は日本国内では全く共有されていない。それは日本のマスコミが、安倍政権に忖度して、その極右思想、反民主主義的な政治姿勢をほとんど批判しないからだ。実際、東京新聞など一部を除いては、安倍首相を名指しして歴史修正主義者と呼ぶもほとんどない。海外メディアから安倍政権が「極右」「ナショナリスト」「歴史修正主義」などとたびたび批判されていることについても、ベタ記事で触れる程度。森友問題でも、海外メディアは、安倍首相と極右思想の関係をこの問題の本質とする報道が多く見られたが、日本の新聞・テレビ報道ではその点をクローズアップするものはほとんどなかった。

 このままいけば、トランプどころではない。国際社会で日本が「民主主義国」のカテゴリーから外される日もそう遠くないかもしれない。

最終更新:2019.03.10 02:34

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