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フィフィの蓮舫デマに丸乗りした新聞の責任! 福島瑞穂、辻元清美にも…“物言う女性”へのデマ攻撃を生む安倍忖度と女性蔑視
フィフィのTwitterから
タレントのフィフィが17日、立憲民主党・蓮舫参院議員に対して、こんなツイートをしたことが波紋を広げている。
〈私は問いたい、なぜ平成16年の警察の積極的介入を盛り込んだ児童虐待防止法改正に反対した蓮舫議員が、今回の虐待死の件で現政権を責めることが出来るのか、私はその真意を問いたい。あなたは本当に国民の側に向いているのですか?それ以前に同じ親の立場として問いたい、なぜあの時反対したのですか?〉
蓮舫議員は9日立憲民主党の群馬県連が開いた会合で、千葉県で小学校4年の女児が自宅の浴室で死亡し、両親が傷害容疑で逮捕された事件に関して、「子供一人の命を守れない国は何なのか。あそこまでメッセージを出していて、どうして守れないのか」「どうしていつも、関係閣僚会議が後手後手になり、警察、児童相談所、自治体は連携を取れないのか」と発言したと、産経新聞が報じている。
フィフィはこうした蓮舫議員の発言に反応したのか、〈平成16年の警察の積極的介入を盛り込んだ児童虐待防止法改正に反対した蓮舫議員〉として、〈あなたは本当に国民の側に向いているのですか?それ以前に同じ親の立場として問いたい、なぜあの時反対したのですか?〉と批判したわけである。
ところが、このフィフィのツイートは完全なデマだった。
そもそも、平成16年(2004年)の児童虐待防止法の改正は、児童虐待の疑いのある家庭への強制立ち入り調査など児童相談所の権限を強化する内容で、同年4月26日に衆院を通過、5月25日の参院本会議にて成立した。この改正案は超党派の議員立法、衆参でともに全会一致での可決であり、当時の民主党も党PTでの議論を経て承認している。しかも、フィフィは「平成16年の児童虐待防止法改正に反対した蓮舫議員」などと言って批判しているが、だいたい、蓮舫氏は2004年7月の参院選で初当選なので、法案成立当時は国会議員ですらないのである。
もはや、「言いがかり」などのレベルを超えた完全なデマゴギーであり、悪質なフェイクだ。当然、ネットでは一般のユーザーからフィフィの間違いを指摘する声が相次いだ。また、蓮舫議員自身も18日、自身のTwitterで〈何か誤解が流布されているようです〉として、〈私は議員になってから児童虐待をなくすための活動に力を入れています。2004年夏に初当選し、児童養護施設の視察を重ね、その秋に施行された児童虐待防止法と整合性を取るための児童福祉法改正案について初めての本会議質問を行いました〉と説明している。
こうしたフェイクへの指摘を受けて、フィフィは18日に前後の投稿を含めて問題のツイートの削除。同日午後には、〈蓮舫さんへの質問ツイートに対し立憲民主党から先程直接電話があり、児童虐待防止法改正法案と彼女が当選した時系列に誤認があるとの返答を頂きました。よって謝罪の念をこめツイートは削除という対応を取らせて頂きました。重ねてお詫び申し上げます〉とし、蓮舫議員にも〈直接お詫びのリプをお送りし〉たと投稿したのだが、その後の連続ツイートでは、一般ユーザーに対して〈何度も謝ってもダメなんですか?〉〈何度も何度も謝ってるのに、追い詰められてしまうなんて苦しいです。怖いです〉など、なぜか被害者ヅラをしている(現在は削除)。
近年では月刊誌「正論」(産経新聞社)や『そこまで言って委員会NP』(読売テレビ)などにも登場、Twitterでも生活保護受給バッシングや反リベラル的な発言を繰り返し、極右界隈・ネット右翼らからも一目置かれているフィフィだが、そもそも彼女は、ワイドショーや討論番組で社会的なコメントをしている芸能人である。そこらの一般人と比較すれば自らの言論に負う責任は大きく、当然、その社会的影響力を考えれば、デマを流したことを強く批判されても甘んじて受け入れなければならない。それを〈何度謝ってもダメなんですか?〉などと逆ギレしたのだから、その意識の低さに呆れざるを得ないではないか。
明らかなデマをノーチェックで垂れ流した日刊スポーツ、スポーツ報知
だが、さらに呆れるのは、このフィフィのフェイクを何ら事実の検証をせずに垂れ流したメディアのほうだ。たとえば、日刊スポーツやスポーツ報知は、このフィフィのツイートを紹介する記事をネット版で出したのだが、そのなかで、2004年の児童虐待防止法改正案に「蓮舫議員が反対」などしていなかったこと、そもそも蓮舫氏は当時議員ですらなかったことなど、基本的なファクトチェックをまったくせず、そのままフィフィの言い分を垂れ流していた。
念のため言っておくと、18日夕方までにニッカンは該当記事を削除、「フィフィが蓮舫氏に謝罪 児童虐待問題で事実誤認」という別の記事を配信し、報知は問題の記事の末に〈しかし、児童虐待防止法改正法案は蓮舫議員が初当選した2004年7月11日の参院選の前(04年4月)に可決されており、蓮舫議員は投票できない。一部フォロワーからは事実誤認ではないか?との指摘が出ている〉と短く付け加えている。
だが、それでもちょっと調べれば誰でもデマだとわかるシロモノを、当初なんの検証もせず拡散したことは事実だ。いったい、このスポーツ紙のチェック体制はどうなっているのかと聞きたくなるではないか(なお、朝日新聞デジタルも日刊スポーツから提供されて記事をそのまま掲載していた)。
いや、考えてもみれば、こうしたメディアによるデマ拡散は氷山の一角であり、問題は前述したスポーツ紙だけの話ではない。
たとえば、静岡新聞は今月6日付朝刊の政治評論家・屋山太郎氏によるコラム「論壇」(「ギクシャクし続ける日韓関係」)のなかで、元徴用工による損害賠償について〈この訴訟を日本で取り上げさせたのは福島瑞穂議員〉とした上で、〈福島氏は実妹が北朝鮮に生存している。政争の具に使うのは反則だ〉と記していた。もちろん、「福島瑞穂議員の実妹は北朝鮮に生存している」なる話は荒唐無稽なデマである。
静岡新聞は9日付で〈「徴用工に賠償金を払えということになっているが、この訴訟を日本で取り上げさせたのは福島瑞穂議員」「福島氏は実妹が北朝鮮に生存している」とあるのは、いずれも事実ではありませんでした。おわびして訂正します〉と謝罪・訂正した。外部の執筆者とはいえ、こんなデマをそのまま掲載してしまったこと自体が新聞社として信じがたいミスだ。
デマの背景に安倍政権への忖度と“物を言う女性”を標的にした女性蔑視
なぜ、こんな杜撰なことになっているのか。マスコミがフィフィや屋山太郎氏のデマをそのまま垂れ流してしまった背景のほうを、よく考えなくてはならない。
ひとつの共通点は、フィフィにしても屋山氏にしても、親政権的な発言が目立つ保守界隈の言論人だということだ。周知の通り現在、テレビや新聞・週刊誌等のマスコミでは安倍政権を擁護・賞賛する文化人やコメンテーターばかりが幅をきかせている。ときたま政権批判的な言論が出てくると、たとえばテレビではMCが必死にフォローしたり、別のコメンテーターが政権擁護を加えて“両論併記”的に進行させるのが常だ。
ところが逆に、安倍応援団らが政権に批判的な野党やリベラルな言論に対してバッシングをしかけても、反対意見や別の角度からの意見が語られることなど滅多にない。つまるところ、権力批判の言説には安倍政権を忖度し、過剰なまでに神経を使ってチェックあるいは自重するのに、“政権批判叩き”は何でもありのダダ漏れ状態になっているというわけだ。こうした状況を考えると、今回のフィフィのような“野党バッシングのケース”だと、連中にとって、その中身が事実であるかどうかなんて関係ないのだろう。
また、デマ攻撃の対象にされたのが、リベラル系(とみられている)“女性”という点も偶然ではないだろう。たとえば蓮舫議員は(本人は「バリバリの保守」を自称しているが)、周知の通り、立憲民主の辻元清美議員と並んでネトウヨや安倍応援団からバッシングのターゲットにされがちな女性政治家だ。実際、屋山氏から「妹が北朝鮮に生存」なるデマを飛ばされた福島瑞穂議員や、東京新聞の望月衣塑子記者、精神科医の香山リカ氏、女優の水原希子、タレントのローラなどがネトウヨ・右派論壇から標的にされている。「物を言う女性」が気に食わないという女性蔑視、ミソジニーが背景にあるのではないか。
いずれにしても、今回のフィフィによるデマ発言を、単なるミスとして片付けるわけにはいかないだろう。政権から睨まれる恐れのない“政権批判叩き”“リベラル叩き”言論ならば、どれだけとんでもなデマであっても、マスコミはろくすっぽチェックせず垂れ流す。その現実の歪さをあらためて認識する必要がある。
(編集部)
最終更新:2019.02.19 01:47
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