安倍首相がまた消費税増税で大嘘!プレミアム商品券5000円で庶民を黙らせ、金融所得は増税見送りで金持ち優遇

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首相官邸HPより

 来年10月に消費税を10%に引き上げると宣言した安倍首相が、さっそくバラマキ策を打ち出した。財務省が、低所得者対策として、1世帯あたり2万円で1000円分商品券を25枚受け取れる「プレミアム付き商品券」発行の検討に入ったのだ。

 国民をバカにするのもいい加減にしてほしい。日本経済新聞のデータによると、1世帯当たりの年間消費税負担額は、年収200万円以上300万円未満の世帯で13.1万円。これが消費税10%に引き上げられれば、予測で17万円に跳ね上がる。それをたったの5000円ばらまくことを“低所得者への配慮”などとほざいているのである。

 そもそも、消費税は低所得者であるほど負担が重くなる逆進性がある。日本生活協同組合連合会の調査によると、年収1000万円以上世帯の消費税負担額が収入に占める割合は2.80%だったのに対し、年収400万円未満の世帯は5.72%。低所得者のほうが約2倍も負担率が高くなっているのだ。同じように、軽減税率にしても消費額の高い高所得者のほうが恩恵を受けるものであって、低所得者対策とはとても言えない。その上、たったの5000円のバラマキを「プレミアム」などと称して「やってる感」を演出しようとは、たんなる騙しではないか。

 しかも、だ。低所得者には「5000円出すから我慢しろ」と強いる一方で、安倍政権は驚きの方針を固めた。なんと、株式の配当や売却益といった金融所得への課税については増税を見送る、というのである。

 つまり、日々の生活を送るにも精一杯の低所得者から税金をさらに巻きあげようというのに、不労所得で収入を稼ぐ超高所得者は優遇されたままなのだ。

 そもそも、所得税は年収が高くなるほど税率も上がる累進税率になっているが、金融所得は累進課税を免れており、所得税が最高55%(住民税含む)の税率であるのに対し、金融所得は一律20%でしかない。しかも、高所得者ほど金融所得の割合が多いため、所得税の負担率は年収1億円を超えると右肩下がりになっているのだ。

 昨年、政府は2020年から所得税を年収850万円超の会社員に増税することを決めたが、それによって見込まれる増収は約900億円。対して、金融所得課税を現在の20%から25%に引き上げた場合は、増収は財務省の試算でも2500億円で、数千億~1兆円の増収になるとの試算もある(中日新聞2007年12月12日付)。「税収が足りない」とわめくのなら、この不公平極まりない優遇を真っ先に見直すべきだが、安倍首相はそれを見て見ないふりをするのだ。

 汗水垂らして働く人びとに痛みを押し付け、不労所得によって左団扇で暮らす富裕層は優遇する──。これで消費税引き上げを納得しろというほうがおかしいだろう。

 その上、信じられないのは、消費税引き上げについて安倍首相が「経済に影響を及ぼさないよう対応する」ための具体策として、「引き上げによる税収のうち半分を国民に還元する」「2019年10月1日から認可・無認可あわせて幼児教育を無償化する」などと強調していることだ。

 おいおい、昨年9月に臨時国会の冒頭で解散表明をおこなったとき、「これまでお約束していた消費税の使い道を見直すことを、本日、決断しました」と言い、「子育て世代への投資と社会保障の安定化とにバランスよく充当」「増税分を借金の返済ばかりでなく、少子化対策などの歳出により多く回す」と宣言したではないか。それが「税収のうち半分を国民に還元する」って、話が違うだろう。「半分」というか、そもそも消費税に限らず税金は100%国民のものだが、この人は税を領主さまに納める「年貢」や「地代」か何かと勘違いしているのだろうか。

「消費税は全額社会保障に使う」と同じ嘘を平気で何回も言う安倍首相

 安倍首相の嘘はこれにはじまった話ではない。2014年に消費税を5%から8%に引き上げた際、安倍政権は大々的に「消費税率の引上げ分は、全額、社会保障の充実と安定化に使われます」「社会保障制度は、すべての世代が安心・納得できる全世代型へ」と訴えていたが、蓋を開けてみたら、実際は2014年度の増税によって税収は5兆円増えたのに、社会保障の充実策に使われたのはたったの5000億円。2017年度は消費税増収分8.2兆円のうち、1.35兆円しか社会保障の充実策に充てられていない。結局、社会保障の充実を謳いながら、増税した分の多くは財政赤字の穴埋めに使われてしまった。

 だいたい、安倍首相は、高齢者の医療費や介護保険の負担引き上げ、生活保護の切り下げなど社会保障費を削り倒す一方で、防衛費は増額の一途を辿り、来年度予算編成でも過去最大となる5兆2986億円を要求。その上、本日付けの東京新聞の報道によると、F35やオスプレイなどの購入でこの予算でも足りず、防衛省は2014年以降、本来ならば自然災害や不況対策などのために組まれる補正予算から毎年2000億円前後を追加。軍事ジャーナリスト清谷信一氏は「国の借金が巨額に上り、消費税増税が必要だといいながら、防衛費にじゃぶじゃぶ使えば世論の批判を浴びる。事実上、本予算を小さく見せるために補正予算を使っている」と指摘している。さらに恐ろしいことに、トランプ政権の押し売りで大量の兵器を購入した結果、〈日本の防衛費が将来的に、現在の2倍の11兆円超に達する可能性〉があると、「週刊朝日」(朝日新聞出版)11月9日号は報じている。

 安倍首相は昨年、「安倍政権は10年間にわたり削減されてきた防衛費を再び増加させた」と誇らしげに語ってみせたが、その分、わたしたちの暮らしを支えるための社会保障費はどんどん削られてゆく──。それでなくても貧困世帯は大打撃を受けているのに、さらに消費税引き上げで金をふんだくろうとする言い訳が「半分は還元する」、である。軍備増強のために社会保障が削減され、増税で生活をダイレクトに苦しめた挙げ句、「でも社会保障にも使いますよ」「半分は還元するんですよ」なんて、タチの悪い詐欺のようではないか。

貧困を改憲の言い訳に使う姑息な安倍首相、貧困拡大させてるのは自分なのに

 しかも、社会保障を削減しつづける上に消費税を引き上げれば、格差が広がるだけでなく、将来不安もより一層高まる。そうなると結局は消費が減って、景気はより冷え込むだろう。景気拡大をと訴えるならば、格差を広げる消費増税などもってのほかで、減税あるいは消費税の廃止をした上で、法人税や金融所得税の累進率を上げるべきだ。

 だが、富裕層や大企業の優遇に邁進する安倍首相に、こんな声は届かないのだろう。いや、それどころか安倍首相は、消費増税によって引き起こされるであろう格差拡大をも改憲のダシに使おうとしている。

 昨日おこなわれた代表質問で、日本維新の会・馬場伸幸幹事長から「教育無償化を改憲で国是としてはどうか」と水を向けられると、安倍首相はこう返した。

「自民党が示した改憲4項目のなかにも教育の充実が含まれているが、貧困の連鎖を断ち切り、家庭の経済状況にかかわらず、教育が保障される国でありたい」

 教育の無償化は別に憲法に書き込まずとも、やろうと思えばすぐにやれることだ。第一、「貧困の連鎖を断ち切る」と言うのなら、貧困層がもっとも深刻な打撃を受ける消費増税など実行するはずがない。そうして貧困を拡大させている張本人が、貧困と教育を語り、憲法改正をもち出すとは、下劣にもほどがあるだろう。

 軽減税率やクレジット決済の話題だけをクローズアップするメディアの無批判な報道もあって、消費税引き上げに対しては「仕方がないか」という諦めムードの空気が流れている。一方、金融所得への増税見送りなど富裕層に痛みが少ないという不公平さを、メディアは報じない。「5000円あげるから」という国民を舐めきった姿勢を、見過ごしてはいけないのだ。

最終更新:2018.11.01 10:14

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