杉田水脈がLGBT差別問題から逃亡の裏で“お仲間”の極右集会に参加予定!「南京事件はなかった」のトンデモ主張

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自民党・杉田水脈議員のTwitterより

「(LGBTは)子供を作らない、つまり『生産性』がない」という雑誌でのLGBT差別発言で大きな批判が集中している自民党・杉田水脈衆院議員だが、問題視された7月中旬以降、発言の撤回や謝罪はおろか、公の場で批判に対する自身の見解も明らかにしていない。

 実際、もともと“ネトウヨのアイドル”と呼ばれるだけあって、あれだけこまめに更新していたTwitterも、7月23日に〈自分はゲイだと名乗る人間から事務所のメールに「お前を殺してやる!絶対に殺してやる!」と殺人予告が届きました。これに対して被害届を出しました〉などと投稿して以降は、8月2日に「スタッフの投稿」として、同日発売の「週刊文春」(文藝春秋)8月9日号に掲載された記事について〈記事および見出しの内容はすべて事実無根〉などとツイートしただけだ。

 なお、「週刊文春」の記事は杉田氏の過去の「不倫疑惑」と「母親に育児を丸投げしていた」疑惑を伝えたものだが、文春の取材に対して杉田氏の事務所は、やはりLGBT差別問題については「コメントを差し控えさせていただきます」との回答をメールでよこしただけだったという。

 ところが、そんな杉田議員が来月、「外務省 目覚めよ! 南京事件はなかった その2」というタイトルの講演会で登壇する予定だというのだ。まったく、厚顔無恥にもほどがあるではないか。

 この講演会は、「南京戦の真実を追求する会」なる右派市民団体が主催し、新しい歴史教科書をつくる会などが協賛に加わる集会。お察しの通り、1937年の日本軍による南京攻略戦の際に繰り広げられた捕虜・民間人に対する大量殺戮などの犯罪行為、通称・南京事件(南京大虐殺)の存在そのものを否認する集会だ。当然、外務省および政府の〈日本軍の南京入城(1937年)後、非戦闘員の殺害や略奪行為等があったことは否定できない〉という公式見解も否定することになる。

 主催団体のホームページによれば、この講演会は9月19日、東京・文京区役所の建物内にある多目的ホール・文京シビックホールで催されるという。同施設は自治体の指定管理者制度で民間が運営を代行。ヘイトスピーチと地続きの歴史修正を目的とした集会に公共の施設が使われるというのも首を傾げざるを得ないが、それは置くとしても、杉田議員は例のLGBT差別について、なんら社会的な説明責任を果たしていない一方で、こんな極右集会でリビジョニズムを振りまくことが許されるのか。

 もっとも、LGBT差別で注目を浴びた杉田議員だが、もともと日本軍による慰安婦問題の否定など、筋金入りの歴史修正主義者である。

 たとえば南京事件については2015年、ユネスコの世界記憶遺産に中国が申請した「南京大虐殺の記録」が登録されたことに関連して、〈世界記憶遺産(この呼び方も誤訳?正しくは「世界の記憶」)に目録だけで登録された「南京大虐殺」。そもそもこの事業の趣旨にあっていない。現段階ではここを攻めるしかない日本政府ですが、行く行くはそれ自体捏造であることを発信していけるようになればと思います〉(2017年11月4日のツイート)と述べ、南京事件自体を日本政府として否定すべきと主張した。

 また、日本維新の会時代の2014年4月11日の衆院内閣委員会では、“現在もGHQのプレスコードが失効しているとは思えない”と主張しながら「失効しているのならば、たとえば習近平国家主席がドイツで南京大虐殺で30万人、日本人に虐殺されたというような演説をしたんですけれども、これに対して、では日本の総理なり官房長官なりが南京大虐殺はありませんでしたという事実をどうして反論しないんですか」と政府に質問。菅義偉官房長官から「政府としても、できる限りこの問題については、史実に基づいて客観的にしっかりと広報もできるようにしたい」「そこは思いは同じ」との答弁を引き出している。

南京虐殺否定の自民トンデモ議員が、杉田水脈を「国家の財産」と賞賛

 しかし、本サイトで何度も伝えているように、南京虐殺が「なかった」とする杉田議員らの虐殺否定論は、極右メディアやネトウヨ界隈が叫び続けているだけで、まともな歴史学者ならば一笑に付すトンデモだ。実際、保守派の歴史学者である秦郁彦氏ですら南京攻略戦で捕虜殺害などの残虐行為が行われたことを認めている。

 だが、そうした歴史学的に拒絶されている虐殺否定論を杉田議員が支持しているのは、単に頭が悪いからとか、そういうことだけではない。むしろ「南京虐殺はなかった」というデマは、安倍首相周辺の自民党議員がこぞってがなりたてきたものなのだ。

 たとえば、安倍首相の寵愛を受ける稲田朋美・元防衛相だ。杉田議員が登壇を予定している「外務省 目覚めよ! 南京事件はなかった」という集会のタイトルを見て、ピンときた人も少なくないだろうが、実は稲田氏は昨年12月13日に同じ集会に登壇。「日本の名誉を守るとは、いわれなき非難や事実と違うことに断固として反論することだ」「国益を守ることに政治家としての軸足を置いていきたい」と語っている。

 つまり、その第二弾に杉田水脈議員が登場するということらしいのだが、もう一人、自民党からは昨年に続き、原田義昭衆院議員の参加が予定されている。 

 原田議員といえば、2015年、自民党で歴史認識問題に取り組む「国際情報検討委員会」の委員長として、「南京大虐殺や慰安婦の存在自体を、我が国はいまや否定しようとしている時にもかかわらず、(中国が世界記憶遺産に)申請しようとするのは承服できない」と発言。グロテスクな歴史修正主義が自民党の本質そのものであることを満天下に知らしめた。ちなみに原田議員はその後、TBSラジオ『荻上チキ・Session-22』に出演したのだが、荻上チキ氏によるロングインタビューに対し、南京事件について基本的な知識すら持っておらず、ネトウヨ並みの感情論でしかものを言っていないことを露呈させていた(過去記事参照)。
https://lite-ra.com/2015/10/post-1616.html

 なにより、自民党が杉田氏のようなトンデモ極右を迎え入れたのも、こうした“歴史修正のスピーカー役”を期待したからだろう。そもそも、杉田議員を自民党に引き入れた張本人は安倍首相。櫻井よしこ氏によれば「安倍さんがやっぱりね、『杉田さんは素晴らしい!』って言うので、萩生田(光一・自民党幹事長代行)さんが一生懸命になってお誘いして、もうちゃんと話をして、(杉田氏は)『自民党、このしっかりした政党から出たい』と」(ネット番組『言論テレビ』)いうことになったという。

杉田水脈と安倍政権の歴史修正主義は戦争への欲望と表裏一体

 また、杉田議員は前述の原田議員とネトウヨ雑誌「ジャパニズム」(青林堂)でこれまで2回、対談をしているのだが、2018年2月号(vol.41)での対談では、原田議員が杉田氏の当選を「奇跡的な流れ」「杉田さんのようにポテンシャルのある人材を置いておくのは本当にもったいない」と激賞し、あげく、「櫻井よしこさんのような立派な論客になる道もまだ残ってるし、杉田さんは自民党だけではなく国家の財産ですよ」と歯の浮くようなべた褒めを展開。「国家の財産」どころか「日本の恥」としか言いようがないが、杉田氏はこの対談でこんなことを語っていた。

「安全保障の調査会で自衛隊の郷友会さんが政策提案している中に、慰安婦問題とか南京大虐殺のような歴史戦に、どう戦うのかというのがありました。私は今まで歴史戦は外交の問題だけではないと思っていたのですが、郷遊会の方々は防衛の問題だとおっしゃったんですよ。まったくその通りで、武器を使わない戦いで武力も、国力も、国益もどんどん削がれていきます。防衛・安全保障の観点からこの歴史戦の問題を論じていただきたい、考えていただきたいと思います」

 郷友会とは元軍人や自衛隊員らでつくられ、9条会見や靖国信仰など極めて右派的な色彩が強い団体だが、ようするに、杉田氏は南京事件の否定論などの歴史修正主義を防衛=軍事的なイメージと重ね合わせているらしい。

 本サイトでは日頃から、日本の加害事実を否認し、過去の侵略戦争を正当化しようとする歴史修正主義は、必ずや次の戦争にこの国を導くと何度も言ってきた。マスコミは、杉田議員のLGBTヘイトのみならず、こうした剥き出しの歴史修正主義と、それと地続きにある好戦的な欲望ももっと掘り下げるべきだ。

 そして、LGBT差別の問題にしても歴史修正主義にしても、決して杉田議員個人だけの問題ではない。その背後には安倍政権の政治のグロテスクな本質が見え隠れしている。いずれにせよ、あの杉田議員が極右議員とお仲間に囲まれて「南京事件はなかった」などと再びがなりたてるのを、このまま黙って見ていてよいはずがないだろう。

最終更新:2018.08.20 01:31

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