松本人志とは真逆! マツコ・デラックスがネットカフェ難民問題に「もっと公的サポートを」と真摯な提案

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『5時に夢中!』(TOKYO MX)ホームページより


“権力者に媚び、弱者を叩く”発言ばかりをくり返す松本人志が、またもやとんでもない発言をし批判が殺到している。

 問題の発言は、「ネットカフェ難民」を特集していた、今月18日放送『ワイドナショー』(フジテレビ)でなされた。

 番組では、平日にネットカフェで寝泊まりする利用者約15300人のうち4000もの人が住居のない寝泊まり客であるという東京都調査の数字を紹介しつつ、新宿歌舞伎町のネットカフェを取材。そのネットカフェでは64の個室のうち8割の部屋を1カ月以上の長期滞在者が利用しており、ブースの仕切りの上に靴や衣類などが置かれていたVTRの様子は、その実態を端的に表していた。

 これを受けたスタジオではコメンテーターの古市憲寿氏らによりフリーターの高齢化問題や福祉による支援の必要性が話し合われていたのだが、それを不機嫌な表情で聞いていた松本は話を振られるとこのように吐き捨てたのだ。

「わからんようにちょっとずつ狭くしてやったらどうですか?」
「みんな優しいなぁ、話を聞いてると。俺、若干イライラしてきてんねん。ちゃんと働いてほしいから」

 ネットカフェに長期滞在している人たちは働いていないわけではなく、働いても都会で家を借りるほどの収入を得ることができないので、それでも雨風をしのげる場所としてネットカフェを利用している。さらに家を借りられるほどの収入が得られるような定職には、住所がないと採用されないという問題もある。生きるためのギリギリの選択肢としてのネットカフェなのだが、それを「ちょっとずつ狭くしてやったらどうですか?」とは、どういうことか。

 ようするに松本は、一生懸命働いてもそれでもなお、一日一日をギリギリで生きていかざるを得ない人たちの実情を理解しようともせずに、強者の立場から、怠け者はネットカフェから叩き出せと言っているわけだが、挙げ句の果てにはこんな冷徹なことまで言い出した。

「路上でまずは始まるんやろうね。でも、路上で始まるほうが俺はなんか、チャレンジしてる感じがするけどね。路上なら頑張るんじゃないかな? なまじっか、これ(ネットカフェ)があるからさぁ! こんなもん蟻塚みたいなもんやから。みんなちょっと甘いなぁ」

 この発言には批判が殺到して炎上しているが、残念ながら現在の日本でこのような「自己責任論」をぶつのは松本だけはない。20日には落語家の桂春蝶がこのようにツイート。

〈世界中が憧れるこの日本で「貧困問題」などを曰う方々は余程強欲か、世の中にウケたいだけ。
この国では、どうしたって生きていける。働けないなら生活保護もある。
我が貧困を政府のせいにしてる暇があるなら、どうかまともな一歩を踏み出して欲しい。この国での貧困は絶対的に「自分のせい」なのだ〉

松本人志とは違い、マツコ・デラックスはネットカフェ難民の置かれている状況を正確に指摘

 その「生活保護」だって今年の10月からは約7割の世帯で減額されることが決まっている。また、生活保護受給者を相手にしたバッシングはとどまるところを知らず、生活保護受給者に対して常に「不正受給」との罵声が浴びせられる状況になっていることはご存知の通りだ。

 この状況を見て、なぜ、〈この国では、どうしたって生きていける〉などと言えるのだろうか。

 これらの自己責任論を振りかざす芸人たちと180度真逆だったのがマツコ・デラックスだ。

 1月29日放送『5時に夢中!』(TOKYO MX)では、『ワイドナショー』が扱うよりもひと足先に、同じ東京都の実態調査を記事にした東京新聞の誌面を取り上げ、ネットカフェ難民問題をテーマにしていた。

 そのなかでマツコは、東京都調査の「インターネットカフェなどに泊まる理由」というアンケートの答えとして、「住居がない」が25.8%、「住居喪失の恐れがある」が2.1%という数字が出されていることから、ネットカフェユーザーの3割もの人が住居に関する障害を抱えていることを問題視。そして、彼らはその状況からなかなか抜け出すことのできない「負のスパイラル」にあることを同時に指摘していた。

「3割以上もの人がなんらかの形で家に困っている人たちなのよ。これだからさ、もはやネットカフェの業者のほうにとっても立派なお客さんなわけじゃん、これ。3割以上を占めているわけだから。なかにはさ、もちろん、こういう生き方が好きでやっている人もいると思うけど、なかには、家の更新とかできなくなっちゃって、敷金礼金とかもなくて、で、そのスパイラルに入っちゃって、なかなかそこから出られずにいるって人も多いと思うのね」

マツコ・デラックスが提示したネットカフェ難民の抱える「履歴書の住所」問題への解決策

 こういった境遇に置かれた場合に困るのが就職活動だ。履歴書に現住所を記入することがままならないため、就職しようにもなかなか採用までこぎつけることができない。そうなれば、ネットカフェ難民から抜け出すだけの金銭的な余力を得ることはできないのは言うまでもないだろう。その解決策として、マツコはこのような提案をだす。

「これだけお客さんになってるんだったら、たとえば、ネットカフェの会社で住所をひとつでもいいから、なんか私書箱的なさ、ちゃんと住所のやりとりができるものをサービスで提供するとかしてあげると。たとえば、履歴書にさ「(まんが喫茶)マンボー新宿東口店」とか書けないじゃない? 面接受けてもさ、履歴書にも書けないわけよね、住所を。そうなってくると、そういうきちんとしたやりとりが必要じゃない仕事しかやれなくなっちゃったりとかするじゃない? だから、そういうことをそろそろ、民間だけに任せているとそれはそれで彼らもかわいそうだからさ、いろんな公共的な団体が関わってもっとそういうサポートをしてあげなきゃいけないのかなとは思う」

 また、マツコは、ネットカフェの長期利用者が増えている背景に、地方の就職難も見る。地方に就職先がないため、都市部に出て、ネットカフェに滞在しながら職探しをしてみたが、都市部でも就職先になかなか巡り会えないというケースだ。

「まずネットカフェを足がかりにって思ってたら、やっぱり厳しくて、なかなか家を借りれなくて、そこから出れない、みたいなことも多いよ。だから、みんな(身なりを)綺麗にしてるのよね。これぐらいのポーチに化粧品のセットとかちゃんと入れてさ、着替えもちゃんとクリーニング出してさ、三着ぐらいを着回ししててさ、すごい綺麗に住んでるのよ。そういう人にはチャンスを与えてあげる方法を見つけてあげたほうがいいなと思う」

 このケースは確かに多いだろう。採用面接のたびに田舎から都市部に出てくるのでは交通費がかかり過ぎるし、職探しの期間中ずっとビジネスホテルなどに泊まるのは相当の余力がないと難しい。親戚や友人が都市部に住んでいない限り、ネットカフェを拠点に職探しせざるを得ないという人は多いだろう。

 これは〈自分のせい〉なのか? そういう人たちがギリギリ生きていく支えになっているネットカフェは「蟻塚みたいなもん」なのか?

 ネットカフェ長期滞在者は怠け者なのだからホームレス状態から根性を叩き直させるべきという松本らの意見と、ネットカフェ難民が置かれている状況を客観的に見つめて「負のスパイラル」からの脱却策を提示するマツコ・デラックス。

 どちらの意見がより正確に社会を見つめているものなのか、言うまでもないだろう。そして、国は貧困層が置かれているこの状況を一刻も早く改善させなくてはならない。

最終更新:2018.02.25 11:51

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